日本では販売価格を自由に設定することができる。これは小売事業者の特権でありメーカーや卸売り事業者が決めることは禁じられている。但し2つの例外がある。書籍・CD・煙草などは独占禁止法の例外として再販売価格維持が認められており、健康保険対象薬の価格は健康保険法に基づいて厚生労働省が「薬価」を定めることができる。だから健保とは無関係の取引であれば薬の販売価格は小売店に決定権がある。
社会主義国などでは価格が統制される商品が少なくない。食品やエネルギーなどの必需品がその対象とされることが多い。
ここで奇妙なことに気付く。統制価格も自由価格も物価抑制効果が期待されているということだ。価格が統制されている煙草や新聞・雑誌などは日本中どこでも同じ価格でありかなり特殊な条件下であっても高値での販売は認められない。だから統制したほうが物価が安くなると思われ勝ちだが、必ずしもそうではない。統制価格制度の元では安く売ることも禁じられるから、土曜日の夕刊を発行しない地域の朝日新聞の月決め価格が、土曜日の夕刊を発行している地域と同額という奇妙なことも起こる。
統制価格制度の元では、仮に350mlのコーラの小売価格が100円と決められればどの店でもそれ以外の価格では売ってはならない。しかもこれはコカ・コーラやペプシ・コーラといったメジャーな商品だけではなく総てのコーラが規制対象になる。価格競争が無ければ品質やブランド力に優る商品が圧倒的に勝つ。コーラの市場はコカ・コーラとペプシ・コーラによって独占されることになるだろう。
価格競争が自由であれば違った動きが現れる。コカ・コーラやペプシ・コーラ以外の第三のコーラが値下げを仕掛けるだろう。ブランド力で劣る商品は価格差を設けることによって少しでも市場シェアを獲得しようとする。せめて価格訴求をしないことには生き残れない。味とブランド力に見合う価格まで値下げされた時点から第三のコーラが売れ始める。つまり販売価格の自由があったほうが消費者には選択の幅が広がり、メーカーとしては市場参入の余地が生まれるということだ。
こう考えれば価格統制は必ずしも有効ではないように思える。むしろ上限価格だけを設定したほうが有効だろう。
価格が統制されている健保対象薬では大きな問題が拡大しつつあると思える。ジェネリック医薬品の価格は先発薬の半額程度に設定されており、元々ブランド力の無さを低価格によって補おうとする価格訴求品だ。ところがジェネリック同士での価格競争は認められていない。元々品質やブランド力ではなく価格訴求力だけに頼った粗悪品を統制価格制度の元で拡販しようとすれば販売価格ではなく卸売物価での競争になる。消費者にとっては何のメリットも無い原価競争がジェネリックによって仕掛けられる。商品知識において圧倒的に優位な薬剤師が患者を意のままに操ることはたやすい。仕入れ値の安い商品、つまり海外メーカーに作らせた粗悪品を拡販することによって薬局の利益は大きく拡大する。先発薬をジェネリックに変更するためには患者の承認が必要だがジェネリックの銘柄の変更であれば薬剤師の意のままだろう。
薬価を下げるために導入されたジェネリックではあるが、一方では統制価格制度のせいでジェネリック同士での価格競争が禁じられ、もう一方では原産国表示をさせないという誤った政策によって輸入品のシェアが歪なほどに高まってしまった。その結果として医療費が減らないままで品質低下のみが促進されるというとんでもない事態へと向かいつつある。
社会主義国などでは価格が統制される商品が少なくない。食品やエネルギーなどの必需品がその対象とされることが多い。
ここで奇妙なことに気付く。統制価格も自由価格も物価抑制効果が期待されているということだ。価格が統制されている煙草や新聞・雑誌などは日本中どこでも同じ価格でありかなり特殊な条件下であっても高値での販売は認められない。だから統制したほうが物価が安くなると思われ勝ちだが、必ずしもそうではない。統制価格制度の元では安く売ることも禁じられるから、土曜日の夕刊を発行しない地域の朝日新聞の月決め価格が、土曜日の夕刊を発行している地域と同額という奇妙なことも起こる。
統制価格制度の元では、仮に350mlのコーラの小売価格が100円と決められればどの店でもそれ以外の価格では売ってはならない。しかもこれはコカ・コーラやペプシ・コーラといったメジャーな商品だけではなく総てのコーラが規制対象になる。価格競争が無ければ品質やブランド力に優る商品が圧倒的に勝つ。コーラの市場はコカ・コーラとペプシ・コーラによって独占されることになるだろう。
価格競争が自由であれば違った動きが現れる。コカ・コーラやペプシ・コーラ以外の第三のコーラが値下げを仕掛けるだろう。ブランド力で劣る商品は価格差を設けることによって少しでも市場シェアを獲得しようとする。せめて価格訴求をしないことには生き残れない。味とブランド力に見合う価格まで値下げされた時点から第三のコーラが売れ始める。つまり販売価格の自由があったほうが消費者には選択の幅が広がり、メーカーとしては市場参入の余地が生まれるということだ。
こう考えれば価格統制は必ずしも有効ではないように思える。むしろ上限価格だけを設定したほうが有効だろう。
価格が統制されている健保対象薬では大きな問題が拡大しつつあると思える。ジェネリック医薬品の価格は先発薬の半額程度に設定されており、元々ブランド力の無さを低価格によって補おうとする価格訴求品だ。ところがジェネリック同士での価格競争は認められていない。元々品質やブランド力ではなく価格訴求力だけに頼った粗悪品を統制価格制度の元で拡販しようとすれば販売価格ではなく卸売物価での競争になる。消費者にとっては何のメリットも無い原価競争がジェネリックによって仕掛けられる。商品知識において圧倒的に優位な薬剤師が患者を意のままに操ることはたやすい。仕入れ値の安い商品、つまり海外メーカーに作らせた粗悪品を拡販することによって薬局の利益は大きく拡大する。先発薬をジェネリックに変更するためには患者の承認が必要だがジェネリックの銘柄の変更であれば薬剤師の意のままだろう。
薬価を下げるために導入されたジェネリックではあるが、一方では統制価格制度のせいでジェネリック同士での価格競争が禁じられ、もう一方では原産国表示をさせないという誤った政策によって輸入品のシェアが歪なほどに高まってしまった。その結果として医療費が減らないままで品質低下のみが促進されるというとんでもない事態へと向かいつつある。