俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

子供

2016-09-13 09:56:54 | Weblog
 人は、分からないことに対して試行錯誤で対応して、時には誤った対応が偶然功を奏することがある。誤った対応をして良い結果に至る筈は無いのだが意外とそんなことは多い。神頼みをしても無駄だが、たまたま宝くじが当たったり試験に合格したりすればそれをご利益だと思い込む。同じようにたまたま病気が治ってしまったばかりに有害な行為が治療方法として定着してしまう。水銀などの毒物が薬として用いられたり瀉血のような有害な行為が長く治療方法として行われたりした。
 人は全く知らないことに対しては謙虚であり得るが、中途半端に知っていることについてまるで専門家のように発言したがる。碌に知らない原子力について口出しをしたばかりに危うく日本を崩壊させかけた馬鹿な首相もいた。我流の料理しか知らない主婦がプロの料理人気取りをするし、個人事業者は一国一城の主である自分を過大評価して経営のプロだと思い込んだりする。しかし主婦も個人事業者も呆れるほど勉強をしていない人が大半であり実際にやっていることはデタラメだ。
 誰もが子供時代を経験しているから子供や学校についてすぐに口を挟もうとするが大半は的外れだ。子供時代の記憶は歪められ易いから事実にさえ基づかない。児童心理について全く学んでいない人が自分の歪んだ記憶に基づいて全く役に立たない教育論を説く。
 彼らは木を剪定(せんてい)すれば真っ直ぐに伸びるように人も脇道に逸れないようにコントロールするだけで健やかに育つと信じている。しかし脇道に逸れることは成長のためには欠かせない。大人はそんな子供時代の記憶を抑圧してしまうが誰もが失敗を通じて成長する。
 大人と比べれば子供は異常な動物だろう。感情の起伏が激しく落ち着きが無く奇妙な考えに捉われ易い。これらの性質は経験を積み重ねることによって社会に適応できる性質へと育てられるのであって決して病気や異常行動ではない。だから決して治療しようなどと考えるべきではない。これらを薬などによって矯正することは自然な成長の妨害になる。
 日本でも子供に対して抗精神病薬を使うべきでないことは医師としての常識だ。しかし藪医者は薬に頼る癖が付いているからすぐに薬を使う。抗精神病薬は一時的に症状を緩和するが本当の治療効果は無い。薬を使いたがる医師は成功体験があるから薬を使うのだがそれは神頼みのような誤った治療方法だ。
 癌の治療と精神病の治療はよく似ている。どちらも原因が分からないまま闇雲に試行錯誤に励んでいる。だからしばしば有害なことが有益とされている。
 児童の異常行動の大半は放っておいても治る。むしろ放置されることによってこそ治る。それは成長のためのプロセスでありそれを欠けば却って歪な人間に育ってしまうだろう。児童の異常行動を薬で治そうとすることはロボトミー手術のようなものだと理解すべきであり本人のためにならない。それ以前にそれが本当に異常な行動なのかどうかを疑う必要がある。社会によって飼い馴らされた大人のほうが異常であることは決して少なくない。