先日、鎮痛剤が突然効かなくなった。食道癌が悪化したものと思いこんだ私は悶々として痛みに耐えた。1週間ほどしてから薬の名称を見て驚いた。同じ成分名ではあったがメーカー名が違っていたからだ。薬局が間違えたのか意図的に変更したのかは分からないが医師が指示したのとは違う薬が処方されていた。
ジェネリックとは特許期限が切れた薬の後発薬だ。しかし特許期限が切れたからと言ってどのメーカーでも同じ薬が作れるという訳ではない。製法までは公開されていないから主成分以外の副成分や不純物はそれぞれ異なる。更に悪いことには原産国表示が義務付けられていないから、ジェネリックの多くが韓国や中国などの技術レベルの低い零細企業によって作られている。こんな粗悪な輸入品が国内メーカー名を騙って販売されている。
私は国際分業を否定しない。食料品は勿論のこと工業製品も人件費の安い発展途上国に委託しても構わないと考える。しかしこんな産地偽装まで許容して良いとは考えられない。薬は国民の生命・健康に直結する商品だけに厳しく規制される必要がある。輸入食品の危険性についてなら大騒ぎをするマスコミが輸入薬品について沈黙を守っているのは全く不可解だ。
以前にも書いたことだがパソコンに「効かないジェネリック」と入力すれば検索キーを叩かない内から「ロキソニン」という固有名詞が表示される(8月24日付け「ゾロ薬」)。なぜロキソニンのジェネリックはこれほど酷評されているのだろうか。鎮痛剤だからだろう。人は鎮痛効果に対しては特に敏感だ。
解熱剤に対してなら人は寛大だ。熱が下がらなくても「もし飲んでいなければもっと高熱になっていただろう」と勝手に好意的に解釈する。自覚症状の無い高血圧症のために服用する降圧剤に至っては更に寛容であり「服用しているから効いているに違いないし今後も有効だろう」と無条件に信じる。
人が鎮痛剤に対してシビアであるのは痛みに対する恐怖があるからだ。痛覚は損傷についての警鐘であり人は本能的に痛みを恐れる。痛みがあればたとえ多くのことを犠牲にしてでもそれを緩和しようとムキになる。痛みは四六時中知覚され続けるから忘れることができない。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」類いの一過性の不快であればすぐに忘れて気にしなくなる。
食事において味の良し悪しは食べてすぐに分かるが栄養価の優劣は何年も食べ続けて初めてその差が現れる。鎮痛剤であれば飲んで1時間以内に痛みが緩和されれば効く薬、そうでなければ効かない薬と判定されるだろう。その一方で、自覚症状の無い病気に対する薬を誰も判定しない。本来病気ではない生活習慣病の大勢の偽患者に、有効性がかなり疑わしい輸入ジェネリックが大量に投与されて大きな市場が作られている。偽患者にまともな薬など必要無いのかも知れないが、余りにも馬鹿馬鹿しい前近代的な非文明現象だ。偽患者と偽薬が主役になって最低の物語が作られている。
ジェネリックとは特許期限が切れた薬の後発薬だ。しかし特許期限が切れたからと言ってどのメーカーでも同じ薬が作れるという訳ではない。製法までは公開されていないから主成分以外の副成分や不純物はそれぞれ異なる。更に悪いことには原産国表示が義務付けられていないから、ジェネリックの多くが韓国や中国などの技術レベルの低い零細企業によって作られている。こんな粗悪な輸入品が国内メーカー名を騙って販売されている。
私は国際分業を否定しない。食料品は勿論のこと工業製品も人件費の安い発展途上国に委託しても構わないと考える。しかしこんな産地偽装まで許容して良いとは考えられない。薬は国民の生命・健康に直結する商品だけに厳しく規制される必要がある。輸入食品の危険性についてなら大騒ぎをするマスコミが輸入薬品について沈黙を守っているのは全く不可解だ。
以前にも書いたことだがパソコンに「効かないジェネリック」と入力すれば検索キーを叩かない内から「ロキソニン」という固有名詞が表示される(8月24日付け「ゾロ薬」)。なぜロキソニンのジェネリックはこれほど酷評されているのだろうか。鎮痛剤だからだろう。人は鎮痛効果に対しては特に敏感だ。
解熱剤に対してなら人は寛大だ。熱が下がらなくても「もし飲んでいなければもっと高熱になっていただろう」と勝手に好意的に解釈する。自覚症状の無い高血圧症のために服用する降圧剤に至っては更に寛容であり「服用しているから効いているに違いないし今後も有効だろう」と無条件に信じる。
人が鎮痛剤に対してシビアであるのは痛みに対する恐怖があるからだ。痛覚は損傷についての警鐘であり人は本能的に痛みを恐れる。痛みがあればたとえ多くのことを犠牲にしてでもそれを緩和しようとムキになる。痛みは四六時中知覚され続けるから忘れることができない。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」類いの一過性の不快であればすぐに忘れて気にしなくなる。
食事において味の良し悪しは食べてすぐに分かるが栄養価の優劣は何年も食べ続けて初めてその差が現れる。鎮痛剤であれば飲んで1時間以内に痛みが緩和されれば効く薬、そうでなければ効かない薬と判定されるだろう。その一方で、自覚症状の無い病気に対する薬を誰も判定しない。本来病気ではない生活習慣病の大勢の偽患者に、有効性がかなり疑わしい輸入ジェネリックが大量に投与されて大きな市場が作られている。偽患者にまともな薬など必要無いのかも知れないが、余りにも馬鹿馬鹿しい前近代的な非文明現象だ。偽患者と偽薬が主役になって最低の物語が作られている。