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今日も元気で頑張るニャン

家族になった保護猫たちの日常を綴りながら、ノラ猫たちとの共存を模索するブログです。

ニャーの正月危機・その1 ~素人判断の危うさ~

2019年01月07日 | ニャー
本年最初の記事は、突発の出来事で急遽変更となりました。
ニャーです。3日には自分(オジン)に代わって新年のご挨拶を果したニャーの急変。今はある病気と闘っている最中です。先生は「猫が頑張って平穏を保っているけど、人間だったら危篤状態」だと。そしてこの2、3日が正念場と言うのです。今やわが分身となりつつあるニャーが何故、突然こんなことになってしまったのか。

それは新年の挨拶記事を書いた翌日のことでした。
店から戻るのが遅れて夜になってしまい、猫トイレの掃除をしているとニャーがやって来た。掃除を始めると大抵は誰かがやって来て「早くしろ」とせかされる。きれい好きのニャーは特にそうだ。しかしそのときは待てなかったらしく、向かいにあるシステムトイレに入った。当初は断固拒否していたシステムトイレ、最近は思い直したのか使っているのを時々見ていた。ニャーはじっと動かず神妙な顔をしている。あっ、これは便秘だなと直ぐにわかった。


システムトイレにて、これがすべての始まりだった

トイレ掃除の後はがっつく猫たちに食事を与え、今度は人間の食事を始めた。するといつも横にいるニャーがいない。あれっ、と思って探しに行くと、まだ同じ姿勢でシステムトイレに入っていた。かれこれ40分。いくらなんでも長すぎる。何かトラブルでもあったのか・・妻と二人で様子を見たがわからない。そっと持ち上げるとニャーはそのまま出てリビングに向かった。その後何もないように思われたが、しばらくするとまたニャーがいない。今度は砂トイレの中でじっとしていた。

かなり重度の便秘だと思った。でも、かつての3匹時代に幾度も便秘と闘う姿を見てきたので、いずれは自分で解消するものだと思っていた。実際、トイレに行ったり来たりのニャーもその夜は静かだった。ただ、お尻を床に擦り付けるように移動したりという、便秘のとき特有の行動は見られなかった。


ぐったりした表情のニャー

翌朝、ニャーは朝からぐったりしてトイレにも行かなかった。感じとして便秘が解消したようには見えなかったが、もう疲れたのだろうか。朝少し食べたものは昼近くに全部吐いたけど、ニャーは日頃からとてもよく吐く猫なので気にはしなかった。 と、ニャーが突然ワオーッと叫んだのです。それはおよそニャーの声ではなかった。周りの猫たちにも一気に緊張が走る。ニャーは静かに横たわりながら、30分おきくらいにその雄たけびを続けた。

思った以上にやばい便秘だとそのとき初めて悟った。かつて得た知識、それにネットで調べて、とにかくニャーの便秘解消を補助する処置をした。少量のオリーブオイルを飲ませ、お尻にも塗って、ひたすらお腹に"「の」の字マッサージ"を続けたのです。ニャーは特に拒否しませんでした。自分(オジン)が傍にいることが安心なようでもあった。マッサージはニャーが少しでも嫌がれば直ぐに止めた。止めては始めを繰り返す。時折お尻にオリーブオイルを塗る。しかしニャーの状態はまったく改善しなかったのです。

そのうち、ニャーの雄たけびが次第に頻度を増してきた。声はもう完全に潰れて、テンちゃんの怪獣声を超えて壊れた機械音のようになっていた。お腹をさすっているときにその雄たけびが始まると、全身が硬直するほど力んでいることがわかった。それは、かつてハナと過ごした最後の晩、次第に頻繁に、そして次第に長くなるあの間欠痙攣に似ていた。いやな予感が走る。ことによると、便秘が原因ではないのかもしれない。


暗いところで横たわって時々叫んだ

病院を調べると、新年はその日から診療を始めていた。早速電話し、夕方の部の診察に出かけたのです。正月明けで混んでいて、診察時はもう夜になっていた。先生はニャーのお腹を触診して言った。「これは便秘じゃない、膀胱がパンパンになっている。結石ですね。」そして、オシッコはいつから出てないのか、としつこく訊かれた。

尿管結石? まずは自分の勘違いが恥ずかしかった。何よりニャーに申し訳なかった。自分も2度ほど経験しているからその苦痛はよく知っている。1度目は会社で、2度目は自宅で、ともに七転八倒しながら救急車で運ばれた。ニャーはその苦痛に耐えていたのだった。そして尿毒症という、生命の危険に直結した病気。

多頭飼いでは誰のオシッコかもわからず、先生の質問には答えられなかった。すると先生曰く、もう少し事態を重く見た方がいい。猫のオシッコは1日出なければ腎臓に逆流してダメージを与え、2日出なければ尿毒症になり、3日出なければ生存確率もかなり低くなる。腎臓は、一度機能を喪失すると2度と回復しない臓器なのだと。

実際、後でわかったのがCRE(クレアチニン)の値が5,0。これは腎機能が90%近く喪失していることを示す数値だ。BUN(尿素窒素)も基準の3倍ほど高く、尿毒症の併発も明らかだった。ニャーの場合は急性なので、うまく早く処置すれば戻る可能性も半々だと言うのです。唖然とする保護者に構わず先生は直ちに処置に入った。それはオシッコの出口からカテーテルを入れて、詰まりを物理的に解消する方法でした。


ニャーは麻酔なしで処置を受けた

処置しながら先生が説明してくれた。何かの原因で膀胱内で細菌が繁殖し、膀胱炎を起こした。膀胱の厚みが正常の3倍以上に腫れているので炎症は明らかだ。その細菌がPHをアルカリ性に変え、溶けていた塩類が析出し始めた。いわゆるストルバイトです。たまに炎症した膀胱の内壁が剥がれて詰まることもあるが、殆どの場合はこのストルバイトが詰まりの原因でオシッコが出なくなる。するとオシッコは腎臓に逆流して腎臓の機能が阻害される。これが急性腎炎。さらに腎臓が機能しなくなると尿毒症が起こる・・。この大元の原因はいろいろあるけど、一番多いのがストレスだと。

えっ? ストレス・・・? ガーンと頭を打たれた気がしました。あれだけ自分との蜜月を求めていたニャーなのに、みうだハリーだリンだと邪険にする度に叱り続けた。それは追い詰められたニャーがぶるぶると震えるほど激しい叱り方だった。自分でもわかっていた。その都度反省し、今度こそやさしくと思いながらまた叱る。その繰り返しの中で、ニャーの自分に対する態度が変わってきたのでした。みうやリンを庇護するこの保護者を、じっと見ていたのもニャーだった。ニャーがこんなになるまで追い詰めた元凶は、自分の行動しか考えられなかったのです。

処置を終えた先生が言いました。こんなにいい子は見たことがない。我慢強くて大人しくて、麻酔なしで処置できた子は大変珍しい。人の顔をじっと見ていて、こっちの気持ちが伝わるようだった。痛いときや嫌なときは暴れたりする前に表情で教えてくれる・・・。さすがは先生だ。日頃から自分が感じていたニャーの特性をしっかりとつかんでいた。何だか嬉しくて自慢にすら思ったが、そんな大事な相棒をこんな目に遭わせてしまったこの保護者はいったい・・・。

ニャーの処置は、カテーテルで尿管を開通させて膀胱洗浄を行った後、200ccの輸液と抗生物質を皮下点滴しました。とにかく膀胱の炎症を治めること、毒素を除去すること、そしてPHを下げてストルバイトを溶出させること、それに尽きます。それらの工程は時間との勝負でした。そのためには一にも二にもオシッコをどんどん出す必要がある。そして輸液を入れ続けて体内を置換洗浄するわけです。

先生に、入院させる気はないかと聞かれました。尿管にカテーテルを入れ放しにしてオシッコを垂れ流しにする。そうすれば輸液をどんどん入れられるので早く正常に戻せる。腎臓が回復する可能性も高くなると言うのです。自分は考えに考え、やはり連れて帰ることにしました。何よりニャーにこれ以上寂しい思いをさせたくなかった。そしてハナやくものことが脳裡を過ったのです。2匹とも入院先を見舞ったとき、まさかこれが最後になるなんて夢にも思わなかった。死亡通知は本当に青天の霹靂だった。あの2匹を寂しく逝かせてしまった後悔は、一生消えることはないだろう。だからニャーは、何が何でも家で治す。

その思いは妻も同じだった。家に帰ると、ニャーのために最高の部屋を用意しました。最近は妻が寝室代わりに使っているかつてのみうの部屋。ニャーの生活用具一式に十分な暖房。それでもその部屋にこだわる事なく、ニャーが望めば今までと同じようにどの部屋でも過ごさせる。ただし保護者が監視できないときは専用部屋で我慢してもらう。寝るときは、最近オジンに代わって蜜月のオバンが一緒です。


特製、ニャーの療養室

ニャーと保護者の目標は、とにかく普通にオシッコが出るようになること。ストルバイトが溶出するまでは、開通したといってもいつまた詰まるかわからない。今度オシッコが出なくなるようなことがあったら即入院。先生にはそう言われている。とにかくオシッコだ。念仏のようにそう言いながら、ニャーのオシッコ記録をつけることにしたのです。

ニャーはというと、病院での処置以降は落ち着いたようでいつもの柔和な顔に戻っていた。ただ、さすがに疲れたのだろう、ぐったりとして動かなかった。その横でオシッコだオシッコだと気張る保護者。しかしニャーの闘いは、保護者が思うほど容易なものではなかったのです。


リビングのピアノの上で
ニャーが望めばいつもと同じように過ごさせています



その2へと続く。
※ニャーの闘病は現時点でまだ続いていており、予断を許さない状況です。従ってこの話の結末がどうなるか、自分にもまだわかってはいません。


ただ今のニャー
殆どトイレに入り浸りだけど果たしてオシッコは・・


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