後悔先に立たず。
しかし過ぎ去ったことをくよくよと考えている余裕はなかった。とにかく今のニャーが自分に一番してほしいこと、それだけを考えよう。ニャーはいつもと変わらない柔和な表情で、病人(猫)らしくゆっくりとゆっくりと行動した。たまにこっちの顔を見て鳴くその声は、いつものハスキーボイスに戻っていた。しかも最後にきゅっと上がる甘えるときの鳴き方だ。ところが家に帰ってからのニャーは、その時間の半分をトイレで過ごすことになるのです。
病院で膀胱をすっかり空にしてもらったニャーは、しばらくは尿意もないだろうという予測に反して真っ直ぐトイレに向かってしゃがみ込んだ。5分、10分、やがておもむろに出たその跡には何もなかった。しかしニャーはとんぼ返りでまたトイレに。そんなことを4度繰り返し、最終的に2、3滴のオシッコを残した。量が少なすぎて回収すらできなかった。
ニャーはそれから部屋を出て、ゆっくりと移動しながら1、2階のトイレを渡り歩いた。と、3回目のトイレで初めて2cm大のオシッコ玉を残したのです。それからニャーは自分の定位置、コタツ布団の上でしばらく休んでまたトイレを渡り歩いた。コタツ布団の上には、15cm大の血尿による染みが2ヶ所に残った。
そう、病院帰りのケースの中でも血尿を漏らしていたのです。あーあ、と妻の諦め顔。それからの妻は幾度となくコタツ布団を洗う羽目になるのですが、何をするにも家族の協力がなければできないのだとつくづく思います。オバンだけではない、他の猫たちだってニャーの変化や非日常の様相を察して精一杯気を遣っているのでした。
ニャーが療養室(急ごしらえの専用部屋)以外のところでトイレに行くと、必ずついて行ってその跡をチェックした。ニャーは静かになりたいときは療養室に入るので、そのときが保護者の一服の時間だ。1時間に5回くらいはトイレに行く。尿意があるのか、何か気持ちが悪いのかわからない。でもそうしないと落ち着かないのだろう。トイレにいるときはむしろ安心したような表情だった。何も出ないときもあるが、大抵は2cm径(4cc)ほどのオシッコ玉を残した。
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ニャーの梯子トイレ
どんなにトイレを変えても、出ないものは出なかった
翌朝までに35個のオシッコ玉を回収。ニャーはぐっすり眠れたのかどうか。前日に吐いて以来は、一切の食べ物、飲み物にも口をつけなかった。 と、10時頃になってニャーのオシッコが出なくなった。トイレに座っても座っても何もでない。こっちの顔を見ては切なそうに鳴いた。気持ちが悪いのか、思うようにならなくて助けを求めているのか。夕方の診察の予定を急遽午前に変え、直ちに病院に向かった。
案の定、また尿管が詰まっていたのだ。膀胱には3分の1ほど残っているとのことで、やはりニャーは尿意に反して出ないのが情けなかったのだ。いや、相当な痛みもあったに違いない。前日同様にカテーテルで詰まりを解消して膀胱洗浄、200ccの輸液と抗生剤を皮下点滴してもらった。その時再び入院について聞かれたが、やはり連れて帰る決断をした。オシッコは十分ではないがそこそこ出ているので、新たな輸液を点滴できたことが心強かった。でも、自分の判断が致命的になりはしないかという不安も残った。
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疲れると自室の寝床で休みます
それからの1日は前日の繰り返しでした。今度は53個のオシッコ玉を回収したが、大きさは相変わらず小さくて2cm玉程度。一度に少しづつ、回数で頑張った努力の賜物だ。ここにきて大きくなってきたもうひとつの問題は食べないこと。もう3日近く飲み食いしていないことになる。はっきり言って、先生推奨でニャーのために用意した療養食(ヒルズのs/d)はとてもニャーが食べるとは思えなかった。ニャーは日頃から偏食少食で、気まぐれなので食べるかどうかもわからない。
しかしそのときのニャーは療養食どころか何をあげても食べなかった。それで強制給餌を試みたのです。自分には、1年に亘るテツの介護で強制給餌にはプロ級(?)の自負がある。まずはモンペチのスープを10ccほど流し込むと、ニャーはその勢いで5粒ほどのs/dを食べた。そのときは無理をしないでそれ以上は止めたけど、将来に望みをつないだのでした。
3日目もやはりカテーテルを入れて詰まりを解消し、後に同じ処置をしてもらいました。当初7.5だったpHは7.0まで下がっていた。オシッコの総量はよくても、出方に問題があると先生は言った。もっと普段と同じようにジャージャー出ないとね。でもいつになったら出るのだろうか。詰まりを解消したばかりでもなかなか出ない。出ない理由は、詰まりだけではないのではないか。不安は尽きなかった。
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本日のニャー ①
体力の問題も一層深刻だ。4日目の今日は強制給餌を3度行いました。ペースト状の介護食を1回に15ccほど。その辺りが今のニャーにはいっぱいのようだった。強制給餌は本人(猫)が嫌がって本格抵抗する前に止めないと悪いイメージがついてしまう。キャパが小さいときは回数でカバーするしかないのです。肝心のオシッコ玉は44個で大きさは小さく感じた。何より、トイレに座り続けても2、3滴しか出ない"空振り"が多かったように思えた。
しかし夕方の診察では、詰まりはなかったと先生は言った。50ccくらい膀胱に残っていたのを全て出した。詰まってないのに何故一度に少ししか出ないのか、先生も首を傾げた。しかし全体量として出ているので望みはある。今日は結局これまでと同じ皮下点滴をしました。
先生のまとめ;
・食欲が出ないのはまだ尿毒が残っているから
・尿毒があるということは腎機能が戻っていない
・食べなければオシッコのpHが下がらない
・pHが下がらなければオシッコが詰まるので外科手術で出るようにするしかない
※外科手術とは、尿管が細くなっているあそこ(お○ん○ん)を切除することです。
結局、最大のポイントは食欲の復活だ。食欲の復活は体力の点だけでなく、腎機能の復活を予見する意味でも重要なことだったのです。ただ、ここまできてバタバタしても仕方ない。この4日間処置を続け、明日は腎機能の再チェックをすることになっていたからです。
さて、今夜は運命の前夜。さらなる強制給餌をしていいものかどうかも迷った。ニャー自身の食欲が明日の検査結果を左右するのです。こればかりは本人(猫)の問題なので、保護者にはどうすることもできない。購入したs/dがニャーの嫌いなチキン味だったことも恨めしい。いずれにしても改善しなければ入院だ。その判断は明日です。
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本日のニャー ②
その3へと続きます。
しかし過ぎ去ったことをくよくよと考えている余裕はなかった。とにかく今のニャーが自分に一番してほしいこと、それだけを考えよう。ニャーはいつもと変わらない柔和な表情で、病人(猫)らしくゆっくりとゆっくりと行動した。たまにこっちの顔を見て鳴くその声は、いつものハスキーボイスに戻っていた。しかも最後にきゅっと上がる甘えるときの鳴き方だ。ところが家に帰ってからのニャーは、その時間の半分をトイレで過ごすことになるのです。
病院で膀胱をすっかり空にしてもらったニャーは、しばらくは尿意もないだろうという予測に反して真っ直ぐトイレに向かってしゃがみ込んだ。5分、10分、やがておもむろに出たその跡には何もなかった。しかしニャーはとんぼ返りでまたトイレに。そんなことを4度繰り返し、最終的に2、3滴のオシッコを残した。量が少なすぎて回収すらできなかった。
ニャーはそれから部屋を出て、ゆっくりと移動しながら1、2階のトイレを渡り歩いた。と、3回目のトイレで初めて2cm大のオシッコ玉を残したのです。それからニャーは自分の定位置、コタツ布団の上でしばらく休んでまたトイレを渡り歩いた。コタツ布団の上には、15cm大の血尿による染みが2ヶ所に残った。
そう、病院帰りのケースの中でも血尿を漏らしていたのです。あーあ、と妻の諦め顔。それからの妻は幾度となくコタツ布団を洗う羽目になるのですが、何をするにも家族の協力がなければできないのだとつくづく思います。オバンだけではない、他の猫たちだってニャーの変化や非日常の様相を察して精一杯気を遣っているのでした。
ニャーが療養室(急ごしらえの専用部屋)以外のところでトイレに行くと、必ずついて行ってその跡をチェックした。ニャーは静かになりたいときは療養室に入るので、そのときが保護者の一服の時間だ。1時間に5回くらいはトイレに行く。尿意があるのか、何か気持ちが悪いのかわからない。でもそうしないと落ち着かないのだろう。トイレにいるときはむしろ安心したような表情だった。何も出ないときもあるが、大抵は2cm径(4cc)ほどのオシッコ玉を残した。
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ニャーの梯子トイレ
どんなにトイレを変えても、出ないものは出なかった
翌朝までに35個のオシッコ玉を回収。ニャーはぐっすり眠れたのかどうか。前日に吐いて以来は、一切の食べ物、飲み物にも口をつけなかった。 と、10時頃になってニャーのオシッコが出なくなった。トイレに座っても座っても何もでない。こっちの顔を見ては切なそうに鳴いた。気持ちが悪いのか、思うようにならなくて助けを求めているのか。夕方の診察の予定を急遽午前に変え、直ちに病院に向かった。
案の定、また尿管が詰まっていたのだ。膀胱には3分の1ほど残っているとのことで、やはりニャーは尿意に反して出ないのが情けなかったのだ。いや、相当な痛みもあったに違いない。前日同様にカテーテルで詰まりを解消して膀胱洗浄、200ccの輸液と抗生剤を皮下点滴してもらった。その時再び入院について聞かれたが、やはり連れて帰る決断をした。オシッコは十分ではないがそこそこ出ているので、新たな輸液を点滴できたことが心強かった。でも、自分の判断が致命的になりはしないかという不安も残った。
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疲れると自室の寝床で休みます
それからの1日は前日の繰り返しでした。今度は53個のオシッコ玉を回収したが、大きさは相変わらず小さくて2cm玉程度。一度に少しづつ、回数で頑張った努力の賜物だ。ここにきて大きくなってきたもうひとつの問題は食べないこと。もう3日近く飲み食いしていないことになる。はっきり言って、先生推奨でニャーのために用意した療養食(ヒルズのs/d)はとてもニャーが食べるとは思えなかった。ニャーは日頃から偏食少食で、気まぐれなので食べるかどうかもわからない。
しかしそのときのニャーは療養食どころか何をあげても食べなかった。それで強制給餌を試みたのです。自分には、1年に亘るテツの介護で強制給餌にはプロ級(?)の自負がある。まずはモンペチのスープを10ccほど流し込むと、ニャーはその勢いで5粒ほどのs/dを食べた。そのときは無理をしないでそれ以上は止めたけど、将来に望みをつないだのでした。
3日目もやはりカテーテルを入れて詰まりを解消し、後に同じ処置をしてもらいました。当初7.5だったpHは7.0まで下がっていた。オシッコの総量はよくても、出方に問題があると先生は言った。もっと普段と同じようにジャージャー出ないとね。でもいつになったら出るのだろうか。詰まりを解消したばかりでもなかなか出ない。出ない理由は、詰まりだけではないのではないか。不安は尽きなかった。
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本日のニャー ①
体力の問題も一層深刻だ。4日目の今日は強制給餌を3度行いました。ペースト状の介護食を1回に15ccほど。その辺りが今のニャーにはいっぱいのようだった。強制給餌は本人(猫)が嫌がって本格抵抗する前に止めないと悪いイメージがついてしまう。キャパが小さいときは回数でカバーするしかないのです。肝心のオシッコ玉は44個で大きさは小さく感じた。何より、トイレに座り続けても2、3滴しか出ない"空振り"が多かったように思えた。
しかし夕方の診察では、詰まりはなかったと先生は言った。50ccくらい膀胱に残っていたのを全て出した。詰まってないのに何故一度に少ししか出ないのか、先生も首を傾げた。しかし全体量として出ているので望みはある。今日は結局これまでと同じ皮下点滴をしました。
先生のまとめ;
・食欲が出ないのはまだ尿毒が残っているから
・尿毒があるということは腎機能が戻っていない
・食べなければオシッコのpHが下がらない
・pHが下がらなければオシッコが詰まるので外科手術で出るようにするしかない
※外科手術とは、尿管が細くなっているあそこ(お○ん○ん)を切除することです。
結局、最大のポイントは食欲の復活だ。食欲の復活は体力の点だけでなく、腎機能の復活を予見する意味でも重要なことだったのです。ただ、ここまできてバタバタしても仕方ない。この4日間処置を続け、明日は腎機能の再チェックをすることになっていたからです。
さて、今夜は運命の前夜。さらなる強制給餌をしていいものかどうかも迷った。ニャー自身の食欲が明日の検査結果を左右するのです。こればかりは本人(猫)の問題なので、保護者にはどうすることもできない。購入したs/dがニャーの嫌いなチキン味だったことも恨めしい。いずれにしても改善しなければ入院だ。その判断は明日です。
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本日のニャー ②
その3へと続きます。