今日も元気で頑張るニャン

家族になった保護猫たちの日常を綴りながら、ノラ猫たちとの共存を模索するブログです。

<男の鑑> 強くやさしくおおらかに ~一周忌追悼テンちゃんヒストリー・1~

2020年06月15日 | (故)テン
その1.出会い、九死に一生、そしてリード生活の始まり 

テン、あれからもう1年になるんだね
お前が長い眠りについたあの瞬間
時の流れが少し止まった
まるで昨日のことのように覚えているよ

お店時代、いつもオジンの仕事を見守ってくれた

テンちゃんと出会ったのは3年半前の正月
置き餌の匂いに引かれたのか、事務所までたどり着いた
しかし食べ物がどこにあるのかもわからず
事務所の前をうろついていた

初めての出会い

連絡を受けてシャッポの捜索から慌てて帰店して
初めてその子を見たときは衝撃だった
まさに傷だらけの満身創痍、ヒゲは切れ目は塞がっていた
それでもよちよちと、スタッフの気配を追っていた

目が見えてなかった

スタッフの一人が抱きかかえると
顔が張り子のように、叩けば音がするほど固かった
しかし腕の中で態勢を整え、落ち着くと顔を埋めてくる
飼い猫だったんだと、誰もが思った

店長さんに抱かれると落ち着いた

スタッフが集まって湯タオルで全身を拭いた
毛が抜け落ちて赤くただれた皮膚が痛々しい
べたついた山盛りの目やにを丁寧に拭き取ると
中からつぶらな瞳が出てきた

めったに見せないつぶらな瞳

当日は休院で事務所にお泊り、しかし翌朝動かなくなっていた
慌てて病院に連れていくと、「こりゃさすがにダメかもしれない」
ノラにそこまでやるんですか? と聞かれた
迷うことなく頷いた

病院で手当てを受ける

極度の脱水症に低体温症、重度の疥癬、FIV陽性・・
病院から戻った後のスタッフの献身的な介抱
それに応えるように、テンちゃんは少しづつ回復した
そしてついに、疥癬ダニの完全駆除までこぎつけた

落ち着きが出てきた頃

でも塞がった目が完全に開くことなく、ゴジラ顔になった
耳も聞こえているのかどうか、反応が鈍い
そして声は、ひしゃがれただみ声が直ることなく
スタッフから「怪獣の声だね」と揶揄されるようになった

ゴジラ顔が"売り"になった

1ヶ月ほどの間、テンちゃんは事務所の中で暮らしました
8畳ほどの中に机やラックにロッカーが並んで狭苦しい
でも、療養中のテンちゃんには十分だった
命の恩人のスタッフには、怖がるどころかとても甘えん坊だった

知る人ぞ知る甘え上手

しかし元気になるにつれて、テンちゃんが出たがるようになった
ダイフクにカブキにモドキにミセミケ・・
夜になるとやって来るよそ者たちが気になって仕方ない
そうは言ってもまだ治療中の身、放すわけにはいかなかった

外の連中が気になる

ある日、リードをつけて一緒に外に出てみた
初めはリードをつけただけでパニックになる
少し慣れてもお客さんが近づくと
リードが切れるか首が切れるか、暴れに暴れて保護者が何度も流血した


リードに少し慣れたけどまだぎこちない

それでも、外に出ればいいことが沢山ある
「10歳から12歳くらいか」と言われたテンちゃんの
ノラ生活がどのくらい長かったのかは知らない
自然の風、自然の匂い、自然の光景・・・それはテンちゃんの故郷だった

草むらでの休息が大好き(店裏にて)

諦めずに、保護者付き添いのもと何度も何度もリードの練習をした
やがてリードを気にしなくなり、お客さんが近づいても気にしなくなった
そしてついに、テンちゃんはリードの達人(猫)と言われるまでになったのです
同時に、押しも押されぬお店の看板猫になっていました

テンちゃんはお花屋さんの看板猫になりました


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