今日も元気で頑張るニャン

家族になった保護猫たちの日常を綴りながら、ノラ猫たちとの共存を模索するブログです。

<男の鑑> 強くやさしくおおらかに ~一周忌追悼テンちゃんヒストリー・2~

2020年06月16日 | (故)テン
その2.人気者看板猫と野生の矜持と 
(本日6月16日はテンちゃんの命日です)

テンよ、お前が捨てられたのか脱走したのかそれは知らない
だけど家猫だったお前が
その後にどれだけ過酷な運命と試練に耐え、そして生き抜いてきたのか
お前が何も言わなくても、その背中が語っていた

リード付でも屋根に上るくらいは朝飯前

テンちゃんのリードは2連結で合計3mと超ロング
スペースに余裕のある店内ではまず絡むことがない
草地や日陰日向を考慮して繋げる場所を選ぶ
30分もしないうちに、スタッフが必要に応じて場所を移動する

ヤシの木の大鉢の上がお気に入り

こうして昼は店内、夜は事務所というテンちゃんの店猫生活が始まった
保護者のオジンを中心に、頻繁に散歩にも付き合った
お客さんは繋がれているテンちゃんにはやさしい
甘え上手のテンちゃんも、目一杯愛想がよかった

朝、事務所でスタッフを待つ

評判が鰻登りだったテンちゃんには、もうひとつの顔があった
閉店後に毎夜続けた夜の見回り
ダイフクやモドキに出会うと、唸る間もなく一気に襲い掛かる
繋がれた大型ラックを倒したり、鉄製のS字フックを伸ばして外したりもした


看板猫お勤めの後は夜の見回り

人も猫も誰もが怖れた攻撃性と、実際に残した数々の武勇伝
やがてテンちゃんには「番長」の異名がついた
まず唸り合いという、猫社会の喧嘩のルールを無視した戦法
卑怯ではあるけど、家猫だったテンちゃんが生き抜くための手段だったに違いない

事務所前の店内を見渡せる場所から監視

愛嬌のある甘えん坊、番長の異名を持つ威圧感
秋になると、そんなテンちゃんのもとに小さな訪問者が現れた
生後2ヶ月ほどの子猫は、テンちゃんに出会うなり後追いを始める
後に「ちび太」と名付けられるその子猫を、テンちゃんがどう扱うのか注目された

テンちゃんの後追いを始めたちび太

威嚇して振り払うテンちゃん
そのたびに恐怖の表情で固まる子猫
しかし子猫は諦めなかった
そしてついに、テンちゃんはその子を受け入れた

ちび太との共同生活

それからテンちゃんの子育てが始まった
睡眠中、食事中、トイレ中まで無遠慮に絡んでくる子猫
テンちゃんは自分の時間すら持てない
それでもテンちゃんは、子猫の成長を見守り続けた

傍若無人なちび太に翻弄される

春になると、大きくなったちび太に絡まれて転がされることもあった
あのテンちゃんが何故怒らないのか、スタッフ一同不思議だった
やがて手術を受けたちび太は保護者の家に引っ越し
テンちゃんは、再び穏やかな日常を取り戻したのです

ちび太とのお別れの日、最後のツーショット

平穏が続く店猫生活を経て、テンちゃんは変わった
好戦的な面が影を潜め、歳とともにボケたのか物事に疎くなった
そしてやけに頑固になった
不満とかワガママとは違う、何かこだわりがあるようだった

日課の散歩も随分遠くまで行くようになった

そんなテンちゃんを、どうしても家に迎えたいと常連さん
気が進まなかったが、断り切れずにトライアルに伺った
予想以上にいじけたテンちゃん、姿を隠したままの先住ネコちゃん
再トライアルの約束をして、その日は帰った

ケースに逃げ込んだ初めてのトライアル

テンちゃんのこだわりとは、「自由」ではなかったか
リードから解放するには家猫になるしかない
慣れた環境で余生を過ごすか、家猫になってリードからの解放か
保護者は迷ったが、結果的にテンちゃんが再トライアルに向かうことはなかった

店内でくつろぐ

その頃、テンちゃんの動きに生彩がなくなって食欲も落ちていた
回復するどころか悪化の一途で、年明けから療養のためわが家に移ることに
わが家に迎えたテンちゃんはいつもと変わることなく
家の連中もテンちゃんを暖かく迎えてくれた

念願叶ってオジンの膝の上

ニャーの結石などでバタバタが続き、1月下旬になってようやく通院
CREの値が測定限界を超え、診断は末期と思われる慢性腎不全
「治る見込みはない」という先生の言葉に、ショックを隠せなかった
そんなになるまで気付かなかった自分を責めた

ニャー(手前)とも不思議と仲がよかった



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