日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

星美学園短期大学 公開講座「イタリアの歌(カント)の世界-カンツォーネだけじゃない!? イタリア民謡の多様性-」に参加して様々な歌を聞いてきました(2018.12.1)@星美学園短期大学

2018年12月20日 | イタリアの歌・音楽

星美学園短期大学 公開講座「イタリアの歌(カント)の世界-カンツォーネだけじゃない!? イタリア民謡の多様性-」に参加して様々な歌を聞いてきました(2018.12.1)@星美学園短期大学

イタリアといえば「オペラの国」というイメージがありますが イタリアは実は民謡の宝庫でもあり しかもカンツォーネとして有名なナポリ民謡だけでなく 北から南まで地方ごとに 実にユニークな民謡があるのですね 
この日はイタリア各地の民謡を 音源や映像とともに満喫してきました!

      *     *     *

私はこの10月にイタリア文化会館で聞いた サルデーニャの音楽グループ「Galanìas」のコンサートで買ったCDもこの日持って行きました( `ー´)ノ

やはりありました! 8.のサルデーニャの子守歌アンニンニア(Anninnia) これは多分コンサートで聞いた記憶があります またユネスコの無形文化遺産となった「カント・ア・テノーレ(canto a tenore)」もありました♡ 

講座では スライド 音源 映像 そして現物の楽器もご持参くださり ダンスのステップまでご披露してくださり♡ そして最後は歌に合わせてみんなで口ずさみ すっごく印象的な講座でした!!

1. ロンバルディア州クレモナのヴィロッタ(villotta)

ヴィロッタは女声三声ですが 踊りの歌でもあります 「平行三度唱」が北部の歌(カント)の特徴だそうです 

1967年の音源を聞かせていただきました (歌い手がいなくなってしまう前に 研究者が音源を録音・収集したのだそうです) 

バグパイプ(北イタリアでは一般にピーヴァ/piva) チャルメラ(イタリア語ではチャラメッラ/ciaramella) 小型アコーディオンのオルガネット(organetto)の写真も見せていただきました 

また1949年制作の映画「にがい米(riso amaro)」の映像も懐かしく見ました 田植えの仕事中は話ができないため 歌で言い争いをしたシーンで つまりは仕事歌ですね


2. ロンバルディア州のカンタストーリエ(Cantastorie)


吟遊詩人であるカンタストーリエ(今はもういないそうです)が アコーディオンやシンバル・ドラム類タンバリン ギター等に合わせて 悲しいダム建設現場事故「マットマークの悲劇」を歌います 人々はそれをニュースとして聞くのですね お金は歌だけでなく 歌詞(事件等のストーリー)の書かれたチラシを売ることでも得ていたそうです

3. カンパーニャ州のタンムッリアータ(Tammurriata)

ナポリあたりのタンバリン(tammorra) またトリッケッバラッケ(tricchebballacche)という木を打ち鳴らす楽器に合わせて踊ります

オリーブの木の手作りのカスタネット(castagnette)も回していただきました♡
旋法と はりつめた発声が独創的で タランテッラ(毒蜘蛛ダンス) のステップを踊っていただきました! 激しい振りで 若くないと踊るの大変です...

また 背丈ほどもあるザンポーニャ(zampogna)等も...

4. バジリカータ州マテーラの女声独唱(UĚJ-ELÌ)

これも研究者が音源を収集したもので 1954年の少女の民謡を歌う音源を聞かせていただき 旋法と はりつめた声が印象に残りました 

5. シチリア州パレルモの御者の歌(carrittera)

シチリアの中でも高度に発展した独唱のひとつで 御者同士で歌を競い合っていたそうで 馬車の音も聞こえてくる とても臨場感あふれる歌でした (1954年)

旋法的で はりつめた発声 無拍の歌で メリスマというこぶしをきかせています 

6. シチリア州カルタニセッタの 硫黄鉱山の歌 (surfarara)

劣悪な環境で働いていたシチリアの最後の硫黄鉱山が 1970年代に閉鎖されるまで 仕事のつらさを忘れるために歌った歌です
つらい気持ちを吹き飛ばすために歌うしかなかったとわかるような 男性独唱の歌声でした 「忘れる」はscuordum,scurdavu というシチリア方言のようです

旋法 はりつめた発声 そして無拍(拍子がない)歌で メリスマというこぶしをきかせています 

無拍の生まれた背景は歌・声楽とのこと 言葉(歌詞)を節づけて歌うには 歌い手の息の長さにあわせながら歌う方が自然で たとえばクラシック音楽の源泉であるグレゴリオ聖歌も無拍の歌です
一方 拍子は踊りのための音楽から生まれ 踊りのステップから2拍子 3拍子といった拍子拍が出てくるとのこと


7. シチリア州カルタニセッタの口琴 マッランザヌ(marranzanu)

この口琴はシチリアでは「マッランザヌ」といいますが サルデーニャの口琴は 「サ・トルンファ(sa trunfa)」と言います (GalanìasのCDにも収録されていました)

マッランザヌを実際に持ってきてくださり演奏してくださいました!!
この「マッランザヌ」は鉄製の小さな楽器で 弁をはじいて出した基音を 口の中で形を変えながら自然倍音を響かせるというもので 大変興味深いです

アイヌのムックリ(竹製)等 口琴はアジアを中心に色々な国にありますが 一番盛んなのはモンゴルの方だそうです  
(注: 「トゥバ共和国」など モンゴルとロシアにかかる中央アジア北部で口琴が盛んです/講師より補足)

8.シチリア州カターニァの子守歌 アンニンニア(Anninnia)

イタリア語で子守歌はニンナ・ナンナ(ninnananna)といいますが サルデーニャ語ではアンニンニア(Anninnia)というのですね

3つの音(ソ、ラ、シ)くらいで構成されていて それがサルデーニャ音楽の核とのこと
多分 これがGalanìasのコンサートで聞いた子守歌だと思います♡ とても素朴な歌でした

9. サルデーニャ州のカント・ア・テノーレ(canto a tenore)


サルデーニャ島中部の男声四重唱 旋律はオーゲ(oche) voceのことですね 
そしてあとの3人は ハーモニー(mesu oche, contra, bassu)で ビン、ボン、バン等のハーモニーを歌います 風の音や山羊の声等をまねたりもするそうです 私はいつもネットで聞いています♡ サルデーニャでは 小さな子供でも踊るのです♡

踊り(ballo)の為のテノールで 皆が踊りたそうにしている間は ずっと歌っているのだそうです!
このステップも披露してくださいました 丸い大きな踊り手の円が 少しずつ震えながら動いてゆくのだそうです

そしてこのカント・ア・テノーレは 2005年に ユネスコの無形文化遺産に選ばれました!!

ラウネッダス(launeddas *音が出ます)も バックに流れていました 

循環呼吸奏法(fiato continuo)」の技術を小さい頃から学ぶのだそうです これは私は「サルデーニャの儀式のパンのセミナー&初めてのラウネッダス演奏&タロスでビュッフェランチ (2016.10.2)@日本サルデーニャ協会」のイベントで初めて聞きました 息を吸うのと吐くのを同時に行うという神業のようなものです

そして サルデーニャ(イタリア全般もそうですが)の伝統が 否定から再興へと変化していったことも聞きました

戦後は伝統の否定で サルデーニャ人としての劣等感から 伝統的な祭りなどが衰退してゆき この時とにかく音源を収録・収集したのだそうです 
そして70年代伝統の再評価がなされ ローカル・ラジオやテレビ局の放送が始まりましたが 中でも「Sardegna Canta(サルデーニャは歌う)」という番組は40年以上 今でも続いているそうです!!


最後に Andrea Parodiが歌う「Non Potho Reposare(僕の心は休みなく)」を 参加者みんなで口ずさんで終了しました!! やっぱり歌うって気持ちいいですね(#^.^#) この歌はサルデーニャの第2の国歌ともいえる歌なのですって 

この歌は アンドレア・パローディがTAZANDA(タゼンダ)というグループでリリースしたCD「Il sole di TAZENDA」の中に入っています


また来年を楽しみに 今まで知らなかったイタリアを知ることのできる公開講座も今年はこれで終了 名残惜しいです...


公開講座「イタリアの歌(カント)の世界-カンツォーネだけじゃない!? イタリア民謡の多様性-」は こちら

すばらしい公開講座を開催してくださいました星美学園短期大学様に 心よりお礼申し上げます

* 写真はサルデーニャの ラウネッダスの演奏 (渋谷Tarrosにて)


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