I.シローネの「vino e pane」邦訳の「葡萄酒とパン」そして翻訳者の若き日の著書「風は国境を知らない」を読みました
第5回須賀敦子翻訳賞受賞者の斎藤ゆかり氏の訳された「フォンタマ―ラ(Fontamara)」をイニャツィオ・シローネ(Ignazio Sirone)の原作との対訳で読み ネットで映画🎥も観ました
引き続き シローネの「vino e pane」と 斎藤ゆかり訳の「葡萄酒とパン」を対訳で読みました こちらもとても面白く 最後はページをめくるのもドキドキしながら読了しました📖
この先 主人公のピエトロ・スピーナ(Pietro Spina)はどうなってしまうのだろう? それは続編である『雪の下の種(il seme sotto la neve)』にあるとのこと ただこちらは原書のみなのです😥 なのでざっとwikipediaであらすじを読んだのですが またまた苦難の道が...
「葡萄酒とパン」について...
神学校の生徒時代にアブルッツォの地震で両親を亡くした彼は 共産党の党員となり海外に移住するも非合法にイタリアに戻り潜伏する その時は素性がばれないように人相まで変えており 30代の若さには見えなかった
療養中の神父に変装して生まれ故郷アブルッツォ州のピエトラセッカに滞在する
神父として村の宿に滞在する中 2人の村の娘と出会う また学生時代の旧友 恩師 恩師から委ねられた同じ境遇の青年との関わりが描かれるも その青年の獄死と 素性がばれて追っ手から逃げるために山に逃げ あとを追う娘はとうとう...
この小説はシローネがスイスに亡命し療養中に書かれた第2作で 主人公に作者自身の若き頃を重ねているため 神学校 親の職業 イタリアのエチオピア戦争(1935~36)勃発当時のイタリアの状況等が反映されている
1938年に書かれたあと 大幅な改定を経て 1955年に決定版が出た
作者は改定に次ぐ改定を施すため ある時列車の中で向かいに座った女性が 自分の著書を読んでいるのを偶然見てしまい 緊張のひとときを過ごしたという冒頭の「読者へ」のくだりが なんとも興味深かった📖
イニャツィオ.シローネの「vino e pane」は こちら
ちなみに表紙の絵は主人公ではなく 主人公と親しくなる女性の顔でした
(私が読んだのは1987年版です)
あらすじ(イタリア語)は こちら
邦訳の「葡萄酒とパン」(斎藤ゆかり訳/2000年発行)は こちら
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続いて 翻訳者で2023年第5回須賀敦子翻訳賞を受賞された斎藤ゆかり氏の 20代の頃に書かれたデビュー作「風は国境を知らない」を読みました:
私とほぼ同い年の著者が 若き頃にイタリアに留学し みずみずしい感性で様々なことがらを母親に書き送り生まれたこの本は 80年代当時のイタリアで様々な国籍の学生たちと学ぶ中で得た経験と出会い それまで考え続けてきた平和運動についての法王との謁見等の展開 また携帯電話すらない80年代の海外旅行の苦労(私も経験してきました)等が綴られておりました
「風は国境を知らない」(斎藤ゆかり著)は こちら