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「留まる人が望む視点」

2023-07-27 22:31:37 | モルモン教関連

 

以下、箇条書き風ですが、最近数カ月のコメントを見て私の望むところを記してみます。

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   モルモン書など聖典や教会の教え、そして教会のあり方を批判的に(critically)見ることは問題ありません。

 JSの見神やBofMの歴史性(historicity)に疑問を感じて、信じられなくなった人の落胆や裏切られたという思いには同情を感じます。その気持ちはよく理解できます。

 ただ、教会の持つ積極的な影響などから、また知人、友人、身内などのいる共同体に留まることを選んでいる人たちもいます。それで、脱信仰の心境にある人は「真偽の判断を一時おいて」、相手や場をわきまえて発言するのが良識的な生き方だと思っています。

    特定の宗教を是認・擁護することも否定もすることもなく、その宗教や教えをまた社会における存在意義などを吟味する宗教社会学の視点で臨みたいものだと考えます。

    「真偽の判断を一時おいて」suspend judgment を説明した画像。
左の鳩:suspend judgment を言い換えると?
右の鳩:寛容になる、相手の身になる、理性に耳を傾ける、恩恵を与える目で見る、両側面を見る、心を広く持つ。

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関連して

[最近出版された参考文献を紹介します]

1「モルモニズムの基礎をなす文書: 主要な初期文書を検証する」、教会歴史部門職員、ジョセフ・スミス文書事業文書係編。2018年。オックスフォード大学出版。

 モルモン書の本文批評、ジョセフ・スミス訳の批判的分析、教義と聖約の生成についてなど、13章。 

 

2「モルモン書に対するアメリカ研究者の見方」、エリザベス・フェントン(バーモント大教授)、ジェレド・ヒックマン(ジョンズホプキンス大教授)編。2019年。オックスフォード大学出版。

 地中に埋められた書に対する19世紀米市民の憧憬(どうけい)、アメリカはイスラエル(選民)で新大陸は約束の地、モルモン書はアメリカ版「歴代誌」(偽典)など、17章。

 

3「旧約聖書の生成: 創世記 - 申命記」デビッド・ボコボイ著。2014年。グレッグ・コッフォード出版(ソルトレーク市)

 末日聖徒にモーセの五書の資料説を紹介し、創世記から申命記を批判的に読むことを勧めている。またモルモン書、モーセ書、アブラハム書に高等批評を適用すればどうなるかを書いている。ジョン・ウェルチが好意的序文を寄せているのが目にとまります。

 

以上の英文書名

1 “Foundational Texts of Mormonism: Examining Major Early Sources,” edited by Mark Ashurst-McGee, Robin Scott Jensen, Sharalyn D. Howcroft, Oxford University Press, 2018.

2 “Americanist Approaches to the Book of Mormon” edited by Elizabeth Fenton and Jared Hickman, Oxford University Press, 2019.

3 “Authoring the Old Testament: Genesis - Deuteronomy” by David Bokovoy, Greg Kofford Books, 2014

 

 *取り上げる余裕がありませんでしたが、Mormonism の分析に intertextuality (間テキスト性), narratology (物語り論) が係わってきます。


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159 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (たまWEB)
2023-07-28 07:36:12
「米国モルモンの4人に1人が末日聖徒イエス・キリスト教会からの脱会を考えたことがあるとの調査結果
2023年5月19日

末日聖徒イエス・キリスト教会の信者は、宗教性、礼拝出席率、その他の指標において、アメリカ人の中で最も高いランクにある。
しかし、調査に対するモルモンの回答は、他のいくつかの分野では宗教性が弱まっていることを示しており、結果はまちまちである。
PRRIの調査は2022年8月に行われ、アメリカの成人5,872人を対象に行われた。どんな小さなサブグループでも誤差は大きいが、この結果は示唆に富んでいる。

まず、多くの米国末日聖徒が朗報と考えるであろうこととして、末日聖徒は、祈りを捧げ、少なくとも年に数回は教会に通い、宗教指導者と面会する人の割合が、
どの宗教よりも高いということで、1位または同率1位となった。
..
「末日聖徒は、世俗化の影響から免れることはできないでしょう。とデックマンは予想外の発見について語った。
全体として、私たちは社会学者がアメリカ社会で "宗教の変化 "と呼ぶものを発見したと思います。
宗教的伝統を変えるアメリカ人が増えており、それは末日聖徒にもある程度追いついています」。

広範な世俗化が根本的な理由であることに加えて、もう一つ考えられるのは人口動態である。とデックマンは言う、
モルモンは他の宗教グループよりも若い傾向があり、GenZの脱会率は一般人口よりもはるかに高い。
ですから、年齢が要因であってもまったく不思議ではありません」。

DEEPL https://religionnews.com/2023/05/19/one-in-four-us-mormons-has-thought-about-leaving-the-lds-church-study-shows/
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興味ある情報 (NJ)
2023-07-28 07:58:24
DEEPL の訳は読みやすく、よくできていますね。GenZの脱会率のところ、確認してみたいです。

いつも貴重な情報を有難うございます。
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By Common Consent (オムナイ)
2023-07-28 09:44:54
>「真偽の判断を一時おいて」、相手や場をわきまえて発言するのが良識的な生き方だと思っています。
ーーー
ありがとうございます。
末日聖徒の信仰に心を寄せる側にも同じことが言えると思います。自戒して今後も勉強させていただきます。

ダイアログ誌のブログBCCのアバウトページを思い起こさせます。

https://bycommonconsent.com/info-contact/
当サイトについて

By Common Consent (BCC)は2004年にモルモンのグループがモルモンのトピックを投稿し、議論するための思慮深く、楽しく、合理的な場所を提供するために始めました。
時を経て、このビジョンを共有する新しい投稿者が加わりまた。

私たちは真実、理性、正直さを求め、信仰についての見解を述べています。
しかし、BCCはモルモンでない人も含め、すべての人のための慈愛に満ちた話し合いの場です。
過去の投稿を読んだり、議論に参加したりすることをお勧めします。
ーーーーー
奇しくもこちらのブログも2004年スタート。
ブッシュ大統領の再選に抗議して3ヶ月お休み宣言。
勇ましい!

当初はコメント欄0(ゼロ)が多いですね。
20年の継続、素晴らしい。
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集団に属する理由 ()
2023-07-28 12:47:32
宗教に限らず、人がその集団に属する理由は一律ではないと思う。

それぞれに、それぞれの理由がある。

会社に属するのも、「収入を得るため」だけではない。

学校に行くのも勉強のためだけではない。

家族だって、愛だけで繋がってるわけでもない。

モルモンがモルモンである理由も各自違うはずだ。

「信仰」といっても。モルモンの場合、そもそもが、入信時点で正確で十分な情報を与えられていない。

教会側は、たぶん「十分な情報は必要ない」と考えてるのだろう。

理性的ではなく「御霊の導き」という不条理なものを納得した気分にさせればいいだけだ。

ただ、人間の習性として、一度属してしまうと抜けようとは思わないのだと思う。

入るのは簡単だが、出るのはけっこううっとおしいことになるから。
返信する
教会に行く理由は人それぞれ ()
2023-07-28 13:41:46
>脱信仰の心境にある人は「真偽の判断を一時おいて」、相手や場をわきまえて発言するのが良識的な生き方だと思っています。


やっぱ真偽の判断はおいておけないですね。

民主主義っていうのは、「反対しない」っていうのは「賛成」の数の中に入れられてしまうんですよ。

だから、NJさんも「忠実で熱心な会員」の一人になってる。

私みたいにいちゃもんばかりつけてる人間でも、定期的に教会に行ってると、熱心な信者になってるんですよ。多分数字上は。

私も、オムナイさんも、あじフライさんも、「活発会員」の数の中に入れられてる。

オムナイさんが「末日聖徒は他の教会に負けていない!」って言ってる時の数の中に私も入ってるんですよね。(今度から抜いといてね)

ま、私もそれぐらい教会に貢献してるんですから、レッスンの時に少しぐらいきつい突っ込みを入れても赦されるって思います。

ま、その楽しみの為に行ってるって気もしますけど。

私が教会に行く理由なんてそれぐらいしかないんで。
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Unknown (あじフライ)
2023-07-28 15:48:27
>脱信仰の心境にある人は「真偽の判断を一時おいて」、相手や場をわきまえて発言するのが良識的な生き方だと思っています。

具体的に誰のことを言わんとしているのかわかりませんが、私に関しては『脱信仰の心境』にはありませんよ

例えば、聖書には歴史的事実でない伝承や、後代の創作もある、と理解しながら信仰生活を続けているクリスチャンは大勢おります

同様に、モルモン書はジョセフの創作であると理解しながら信仰生活を続けているのが私なのです

私は青少年時代に改宗した人間ですが、当時、どこのワードにも若い人が多く活気に溢れていました、しかしせっかく縁あって改宗した人たちがどんどん去っていくのを見て、何とかしたいものだと常日頃思って来ました、それで、ようやく問題があるのは教会の側だと結論に至りました

教会批判することがあるのはそう言う思いに基づくものです

・・・とこうやって率直な心情を吐露すると、決まって「私は現在の教会の状態こそ未来に向かっていると思います」的な言いがかりをつけて来るアンポンタンがいるのですね、当然、応酬ですね

まぁそれはともかく、教会を去るか留まるかは、教会が真実かどうかじゃないですよ、教会が嘘をついてきたから、と言うのでもないです

それは表面的な理由であって、本心じゃない、でないと私のような人間が残っている理由が説明できないでしょ? この辺はまだまだNJさんも事実が見えておられないなぁと思います
返信する
共通項 (NJ)
2023-07-28 17:32:13
>例えば…・・私なのです(4行)

了解しました。共通項です。

>私のような人間が残っている理由、・・この辺はまだNJさんも事実が見えておられない

はい、だいぶ理解できて良かったと思っていますが、仰るとおり対面で存じ上げないこともあって、豚さんのことが分っているようにはいきません。

私は多分に観察者、研究者の見方がにじんでいると自覚しています。

率直なコメントを有難く読ませていただきました。
返信する
間テキスト性 (オムナイ)
2023-07-29 05:07:23
>Mormonism の分析に intertextuality (間テキスト性)

うぐぐ。。また聞きなれない言葉。。

いだだきます。(食傷気味)消化できるか。。
豚師匠:しょうかしょうか。(と言うであろう)
。。210くらいまでw

https://www.thegospelcoalition.org/themelios/review/reading-between-texts-intertextuality-and-the-hebrew-bible-literary-currents-in-biblical-interpretation/

間テクスト性とは何ですか?
これは、最近まで多くの聖書学者が問うことのなかった質問です。
・・・
この斬新な視点は、歴史的発展や影響の問題に邪魔されずに、
別のテキストへの言及からさらなる重要性を引き出す 1 つのテキスト内のさまざまな要素を
議論することに興味がある批評家にとって、非常に貴重であることがわかります。
・・・
従来の現代の文法史的解釈よりも古代および中世の聖書解釈にはるかに近いことを認識することが重要です。
ーーーーーーー
https://ldsperspectives.com/2018/08/22/intertextuality-book-mormon/
・・・
BYU の学部で古典を専攻していたフレデリックは、モルモン書のインターテクスト性を研究することに興味を持ちました。
彼は自分が発見したことについて他の学者と議論したいと考えていましたが、
モルモン書の歴史性を攻撃していると考える人々からの抵抗に遭遇しました。
・・・
モルモン書の新約聖書の要素についての議論を、それらが単に歴史性について語っているか
どうかという議論を超えて拡大したいと考えています。
・・・
私たちはモルモン書について、弁明や歴史性を否定する方向に傾斜していない優れた学術的研究の道がないことに少し不満を感じていました。
ーーーー
あれ?ちょっとだけ理解できます。NJさん、師匠の指導の賜物ですね。

最近引用した文書にこうあります。

私自身はジョセフが実際に英語の言葉を見たと信じていますが、
ジョセフが見た英語のテキストは文字通り物理的な道具ではなく、心の目で見たものであった可能性もあります。いずれの解釈においても、・・・


私(オムナイ)もモルモン書の歴史性を信じていますが、
ジョセフ・スミスの心で解釈したと言う意味での啓示の可能性もあると思っています。

イエスと弟子たちは、自分たちの教えを裏付け、キリストにおける自分たちの成就を実証するために、
旧約聖書の一節を頻繁に参照したり引用したりしました。
歴史的事実としてはそのように発言、書き留めはなかったかもしれない。

しかし、新約聖書が素晴らしい聖典であることには変わりない。

同じことがモルモン書にも言えると言うことでしょうか。
返信する
キリスト教シンパ層 (オムナイ)
2023-07-29 09:52:26
>オムナイさんが「末日聖徒は他の教会に負けていない!」って言ってる時の数の中に私も入ってるんですよね。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73699
米国ではいま、多くの教会が急速に閉鎖に追い込まれている。
米国人がキリスト教から離れ始めているからである。
米社会でいったい何が起きているのか。

http://www.kirishin.com/2023/07/11/61194/

〝所属なき信仰者〟の実態に迫る 教会は「停滞」から「衰退」へ 2023年7月11日

礼拝出席30人以下の教会が過半数
「キリスト教シンパ層」の存在を明記

都市部と地方の教会の格差、少子化と信徒の高齢化、価値観の多様化による一致の難しさが進みました。
そのあたりで足踏みしているところをコロナ禍に襲われたのです」
ーーーーーー
末日聖徒だけの教勢を見ると確かに成長率、礼拝出席数とも停滞と言えると思います。

アジフライさんが若かった頃の活況は将来の日本の末日聖徒では復活しないと思います。

しかし、それは教会の方針や我々信者の信仰のあり方の責任ではないと思ってます。

有り体に言えば時流であり、その情勢の中で最善を尽くして、
よく耐えていると思ってます。

>礼拝出席30人以下の教会が過半数
と言う時代は来るかもしれませんが、今ではないですね。

こちら興味深かったです。

http://repository.seinan-gu.ac.jp/bitstream/handle/123456789/501/hs-n7v1-p139-162-fuk.pdf?sequence=1&isAllowed=y

クリスチャンは、教会の本質に属し、教会とは何かという自己反省的な問いを伴いながら、
常に「新しい教会理解」によって規定されねばならない、と主張します。
教会とは何かとクリスチャンとは何かという2つの問いは連動しているのです。
・・・
彼らは何らかの理由で積極的に教会に行こうとしません。
その代わり、例えば、一人で聖書を読み、祈ることを大切にし、
個人的にキリスト教を信じている(自称「クリスチャン」)と考えています。
このような人たちのことを「キリスト教シンパ」、もしくは「キリスト教シンパ層」と呼びます。
彼らのもつ信仰は、教会の公の場で告白されたものではなく、
個人的な、キリスト教に対する、またはイエス・キリストへの思いがベースとなっていると考えられます。
・・・
このような人道主義を基礎とした個人主義的社会では、
共同体の形成は困難である、と指摘します。
つまり、自分一人で聖書を読み、キリストを信じるだけではよろしくない、

キリスト教は、お互いに愛し合うことを大切にし、人と人とのつながりや共同体、そして、それは教会をつくっていくものだと理解できます。
ーーーーー
最後の晩餐での主の言葉、
あなたがたに新しい戒めを与えましょう。
互いに愛し合いなさい。
わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。(ヨハネによる福音書)

黄金律どすなぁ。
末日聖徒の共同体は多くのユニットでこれを実現できているように思います。
教会に出席するしないに関わらず、ここに指標を置くべきでしょうね。
返信する
自立・自律を説く教会・・ (たまWEB)
2023-07-29 13:55:37
「教会の福祉の目的は会員が自立するのを助けること、貧しい人や助けの必要な人を世話すること、そして 奉仕を行うことである。
物質的かつ霊的な自立の原則を応用するときに,世界中の会員は祝福を受けます。 ... 会員は,自立支援訓練で用いられる動画や資料を
自立とは,自分と家族のために,霊的および物質的に,生活に必要なものを供給する能力であり,決意であり,努力です。会員の自立の度合いが高まれば,もっとよく奉仕できる ...
自立の計画をする際にわたしたちが行う最初のステップは,救い主に頼ることです。わたしたちの信仰が主に向いている時,わたしたちの思いと手は働く準備ができています .

lds 自立
https://search.yahoo.co.jp/search?p=lds%20%20%E8%87%AA%E7%AB%8B&ei=UTF-8

究極の自立は、教会やビショップリックからの自立も含む??!!
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