第十話、≪確認≫
「明日○月○日、午後一時からでしたね。間違いございませんね
では、お伺い致しますので宜しくお願いします。」
「はい、お待ちしております。」
「では今日、午後一時前に最寄りの駅に着いたら一度お電話しますね。」
授業の約束日・時間は、前回には取り付けておくのだが、一度、
家を出る時、慌ててしまって、うっかり確認の電話をするのを忘れたことがあった。
時間どおりにお宅へ伺ったのだが、お留守だった。ということがあった。
それからというもの必ず、確認の電話をするようにしていた。
ところが・・である。何度かけても電話に出ない
家に行っても留守。学院にも連絡なし。
ーーーうっそ~ 信じられな~い
(な~に考えてんでしょ!)
ーーー折角着物着て来たのに~ (やっと、着付けできる!言ってたのにぃ。)
と、初めは思うのだが、すぐに 、
『急な用事でもできたのだろう。もう帰って来るかも、後10分・・』
と思い直して、電話のある喫茶店で好きな本を読みながら待っていたり、
初めて来た所だったら、近くを散策したりして楽しんでいた。
いつまでも腹立たしく思うのは心に余裕がないから・・・
どんなに悪態をつく人でも、必ず一つは良いところがあるもんだ。
そう思って付き合ってみると、あ~ら 不思議・・
どんどん、良いところが見えてくるのである。
当時まだ、携帯電話も今のように広まってなかったので、
公衆電話が連絡手段だったが、探すのも一苦労だった。
・・・もしあの頃、ブログをやっていたなら、
カメラ片手に、ブログネタでも探しながら散策できて、
もっと楽しかったかも知れないなあ。。。
つづく。。。