第十四話、≪試験≫
「では、今日は一時間目総復習の後、二時間目にテストを行います。」
「テストは、ペーパーテスト40分、振袖の着せ付けと桧扇20分です。」
「ペーパーテスト後、モデル役は長襦袢を羽織ったまま用意して、
着せ付け役は長襦袢を着た状態に準備して待って下さい」
とうとう、着付けのテストが、緊張の中始まった。
ペーパーテストはどんな問題が出たか、なぜか全く覚えていない。
ただひとつ覚えているのが、
『将来、着付けとどのように係わって行きたいか』
というような問題かどうかは覚えていないが、そんな答えを書いた記憶が残っている。
・・で、着せ付けの方はというと、
『桧扇』というと、振袖用変わり結びの基本型の一つ「立て矢系」の一種である。
三基本型中、一番形が整えにくい分野でもある。
基本型1.「文庫系」・・(一番簡単なんだよね~ 基本は。)
例)文庫・片流し・一文字・雅・平安桜
基本型2.「お太鼓系」・・(左右バランスがちょいと難しいかなぁ)
例)ふくら雀・後見・扇重ね・花筏・熨斗太鼓
基本型3.「立て矢系」・・(上下バランスかなり難しく、整えにくいんだよね~)
例)立て矢・桧扇・リボン立て矢・立て矢蝶
さすがに、最終段階試験にふさわしいものを選んでくる。
しかも、長襦袢からだともう時間が足らない。
幸いなことはベルト使用 これが腰紐使用なら到底無理
猛練習の甲斐あって、なんとか間に合った。
たった一枚の、私が自分で買った振袖をこんなに使うことになろうとは・・
その強い怨念・・いや!因縁のこもった振袖がなんだか私をここまで
導いてくれたような気さえしたものだった。
しかも、二年前の成人式には、姪っ子にも貸してあげて喜んでくれた。
その前にも誰かに貸した覚えがある。
我ながら、くたびれにくいものを選んだものだと、今になって思う。
(当時、ただ気に入って購入しただけだと思うが・・)
やっぱり、着物って素晴らしい
つづく。。。