これだけのいい一日をおめぐみくださったのですから、わたしに文句のあろうはずはありません。
日は東から昇り、西に沈んで行きました。わたしはそこに暮らして、それを嬉しい嬉しいで受け止めていられたのでした。
ふふふ、ふふふ。それでも文句をつけて、ぶつぶつ言います。幼いままです。
これだけのいい一日をおめぐみくださったのですから、わたしに文句のあろうはずはありません。
日は東から昇り、西に沈んで行きました。わたしはそこに暮らして、それを嬉しい嬉しいで受け止めていられたのでした。
ふふふ、ふふふ。それでも文句をつけて、ぶつぶつ言います。幼いままです。
三月のわたしの投稿詩 「ある春の日の蜘蛛の糸」
ある春の日のことでございます
地獄にいる悪人のカンダカの目の前に
極楽の蓮の池から一条の蜘蛛の糸が
するすると降りて来たのでございます
ところがカンダカ一人で
地獄を抜け出せるわけがありません
地獄の悪人たちはうようよいます
ああだこうだと差別をするのは人間
仏様は差別をなさるはずはないのです
仏様は次々と地獄にいる悪人の数だけ
蜘蛛の糸を下ろされたのでありました
一人の悪人カンダカを助けるためには
こうするほかにはありませんでした
己一人が助かりたいのこの世の悪心も
彼に生じさせずにすんだのでありました
悪人の数の蜘蛛の糸はこうやって
極楽の下に位置するべき地獄が
あろうことか極楽と同じ高さに
するすると吊り上ったのでございます
春の日は静かに美しく暮れて行きました
*
N新聞の読者文芸に投稿していた作品です。入選はかないませんでした。佳作の最後に選んで頂いていました。