今回は、氏の「東京裁判論」です。私は「復讐裁判」だと考えていますが、氏は「文明による裁判」と述べています。ファシズムの日本が、文明国によって裁かれたと、そういう意味なのでしょうか。
「ポツダム宣言には、俘虜を虐待する者を含む、」「いっさいの戦争犯罪人に対しては、厳重な処罰を加えるべしと、ある。」「すでにドイツでは、昭和20年11月20日、」「ニュールンベルグ国際軍事裁判所が、開廷されていた。」
「戦争裁判のうち、最も重要なのはA級戦犯の裁判で、」「極東軍事裁判所条例によれば、平和に対する罪(A)、通例の戦争犯罪(B)、人道に対する罪(C)に関し、」「個人責任を裁くこととしていた。」
「東京裁判は、昭和21年5月3日に開かれ、この日起訴されて被告席に並んだ者は、」「いずれも日本を動かしてきた人物である。」「中でも発狂した大川周明は、水色のパジャマを着て、」「落ち着かずに座っていた。」
この辺りは、多くの本が出ていますから、知っている人が多いと思いますが、氏の著書に沿って転記します。
「原告はアメリカ、イギリス、ソ連、中国、フランスなど、11ヶ国であった。」
キーナン主席検事の起訴状朗読の後、日本側弁護人の清瀬一郎氏による異議が出されたが、全て却下されます。続いて6月24日に行われたキーナン氏の、冒頭陳述が紹介されています。
「被告らは、文明に対して宣戦した。」「民主主義とその基礎を破壊しようとして、侵略戦争を計画し、」「準備し、開始した。」「被告らは多くの人々を殺し、征服し、奴隷化してきた。」
このような理由で日本が裁かれるのなら、イギリス、オランダ、フランスも同罪です。武力に勝る彼らが、無抵抗なアジアの国民を一方的に殺戮し、奴隷化した事実はどうなるのでしょうか。もう一度、先日のデータを確かめて見ましょう。
〈 イギリスの植民地と統治期間 〉
ビルマ ( 124年間 ) マレーシア ( 123年間 ) インド ( 99年間 )
〈 オランダの植民地と統治期間 〉
インドネシア ( 300 ~ 350年間 )
〈 フランスの植民地と統治期間 〉
ラオス ( 80年間 ) カンボジア ( 60年間 ) ベトナム ( 79年間 )
「今行われようとしているのは、通常の裁判ではなく、」「全文明を破滅から救うための、文明の断固たる闘争の一部である。」「被告らを裁くのは、文明である。」
キーナン氏がこのような演説をしていたとは、知りませんでしたが、現在氏については、次のような情報があります。
「キーナンは、警察業務を統括する司法省刑事部局長に就任し、ギャングや誘拐犯等の検挙、取り締まりを指揮し、司法長官補にまで昇進した。」
「第二次大戦後に、それまでの功績を買われ、トルーマン大統領から、」「日本の戦争犯罪者捜査の、法律顧問団団長に任命された。」
「キーナンは司法省での経験を活かし、日本軍閥に対して、」「〈 ギャング退治 〉の意気込みを以って臨み、満州事変前後から敗戦までの日本の動きを、」「〈 犯罪的軍閥 〉による、侵略戦争の推進と考えた。」
いくら左系の学者と言っても、ここまで自分の国がおとしめられて、黙っていられるものでしょうか。氏が本を書いた当時は、まだ、キーナン氏に関する情報が公開されていなかったのかもしれません。
「この裁判で、国民の知らない多くの事実が明るみに出された。」「開戦に至るまでの事情、経過や、占領地での残虐行為が、」「これほどまとまった形で、国民に知らされたことはなかった。」
裁判資料に基づいて、氏の著作が執筆されているのだと思いますが、「文明による裁判」という言葉は、どこから生まれているのでしょう。占領地の残虐行為とは、おそらく「南京事件」を指しているのでしょうが、今では捏造事件という意見が大勢を占めています。
「この裁判では、多くの被告の責任逃れの発言が目立った。」「ドイツの裁判では、被告は、自分がやった、」「自分が指示したと、自己の行動に確信を持っているように、」「胸を張って答えた。」
「これに対して東京裁判では、被告や弁護側の主張の辻褄を合わせていくと、」「最終責任が、どこかへ行ってしまうか、」「わからない例が多かった。」「しいて言えば、天皇の責任ではないということであった。」
独裁者のいたドイツと日本を、一緒にして語るのは間違いだと、まだ氏は気づいていません。陸海軍の対立をあれほど説明していながら、キーナン検事の法理論の破綻に触れません。
「キーナン検事の法理論」とは、
「28人の被告の、全面的共同謀議により、」「侵略戦争が計画され、準備され、実施された」、という理論です。総理大臣が短期間で何人も変われば、責任の所在も不明になって当然です。ヒトラーという一人の独裁者が、戦争の開始から終了までいた国と、日本の違いを、氏はなぜ読者に説明しないのでしょう。
「裁判では、連合国側の不法行為や、戦争責任の問題は取り上げられず、」「証拠の採用や、さらには判決の内容にも問題が多く、」「文明の名を借りた報復裁判、勝者の裁判という批判も高い。」
「しかしそのために、国民を戦争と破壊に追いやった、」「指導者の責任追及を忘れ去ったり、」「戦争法規違反や、占領地での不法行為、」「残虐行為に、頬かむりすることがあってはならない。」
これが、氏の「東京裁判論」のまとめです。キーナン検事の冒頭陳述と双璧をなす意見、と私には思えます。やはり氏は、駆除すべき「反日左翼学者」です。あまり自分の意見を述べますと、GOO事務局から「不適切表現」の指摘をされるので、ここで終わりましょう。( あやかさんへのご返事は、諸般の事情により、今回のブログで替えさせて頂きたく。ご理解ください。 )
左系学者について、私が説明しなくとも、「ねこ庭」を訪問される方々には伝わると思います。長いシリーズも本日で終わり、明日からは別の本を読みます。