大分県の広報を見ますと、次のように書かれています。
「今回の補欠選挙は、参議院議員(大分県選出)が辞職したことにより実施する選挙です。(比例代表選挙はありません。)」
1. 選挙日・投票方法等
【告示日】 令和5年4月6日(木曜日)
【投票日】 令和5年4月23日(日曜日)
つまり大分県選出の参議院議員が任期途中で辞任したため、急遽実施することになったものです。理由をウィキペディアが、次のように補足説明しています。
「(4月9日投票)の大分知事選に立候補の意向を表明している安達澄(きよし)参議院議員(無所属)が、3月上旬に議員辞職する意思を固めた。」
ウィキペディアは安達氏を無所属と書いていますが、令和元年の参議院選挙では立憲民主党、国民民主党、社会民主党の推薦と日本共産党の支援を受けて当選した左傾議員です。
優勢と言われていた自民党の有力議員を後半で追い上げ、辛勝で勝ち取った議席だったそうです。その安達氏が任期途中での辞任ですから、敗れた自民党議員は好機を逃さず、捲土重来と立候補するはずです。安達氏の予想通り、自民党の有力議員が動き始めました。
つまりこの自民党の有力議員が、立憲民主党にメインターゲットとされている礒崎陽輔氏です。三期目を目指していた氏を安倍元首相、菅元官房長官、二階幹事長が相次いで応援しましたが、後半になり形勢を逆転され安達氏が当選したのだと言います。有力視されていながら、新人の安達氏に敗れたのですから、屈辱の敗北だったに違いありません。
安達氏が昨年の11月に、大分県知事選挙への立候補を表明し、礒崎氏が参院補欠選挙に向けて準備に入った矢先、「小西文書」が国会に持ち出されたことになります。「小西文書」が公表されなかったら、礒崎氏の当選は確実視されていましたので、事情を知る人たちは青山氏を含め、次のように語ります。
「今回の〈小西文書〉のメインターゲットは、礒崎元秘書官と大分の補欠選挙です。」
しかも文書を、国家公務員の守秘義務違反を犯して小西氏に渡したのが、現職の総務省官僚だというのですから、ゴシップだらけの事件になります。こうした事情を早い時点で指摘していたのが、高橋洋一氏で、自分が持つ「高橋洋一チャンネル」で、遠慮なく喋っていました。
「こんな話は、大手マスコミにはできませんよ。たとえ分かっていても、言えませんからね。本音の話は、ネットだからできるんです。」
笑いながらの話なので本気にしていませんでしたが、調べるにつれ、納得する気持ちが出てきます。いくら特種でも、個人絡みのゴシップは低俗週刊誌の分野ですから、大手マスコミは誇りが邪魔して報道できないのかも知れません。
ネットに、次のような情報がありましたので紹介します。
「2023 ( 令和5 ) 年3月2日、立憲民主党・参議院議員の小西洋之は記者会見し、安倍政権が2016 ( 平成28 ) 年2月に行った放送法の〈 政治的公平 〉の解釈変更は、礒崎が主導したとする総務省の内部文書を公表。」
「文書には礒崎が2014年~15年の4カ月間にわたって、再三、解釈を改める必要はないと言いながら、実質的な放送法の解釈変更を迫る様子が克明に記されており、小西は3月3日以降、参議院予算委員会で与党を追及した。」
読めば分かる通り、小西氏の攻撃の矛先は礒崎氏に向けられています。その流れを変えたのが、青山氏が指摘する通り高市氏の発言でした。
「文書作成時に総務大臣だった高市早苗が、〈 捏造でなければ、議員を辞職する 〉と表明する事態にまで発展するが、総務省は3月7日、小西が公表した文書と省内に保存している行政文書が同一のものであることを認め、78ページの文書全文をホームページに公開した。」
「同日、礒崎は共同通信の取材に応じ、総務省と意見交換したことは事実だと認めた。」
今にして思えば、岸田総理と松本総務大臣は思案の首をひねったに違いありません。文書が捏造となれば総務省関係者が重い処分となり、捏造でなければ高市氏の辞任につながります。
「何分にも8年前のことなので、当事者の記憶が定まらず、正確性が確保されておらず、精査中です。」
「内容が正確であることを前提に議論することは、難しい。」
曖昧な答弁が繰り返された理由も、苦渋の結果だと分かりました。参議院補欠選挙への党の推薦が出ないこととなり、出馬の芽を潰された礒崎氏も、今は余計なことを言わないのが無難な時です。結果として立憲民主党は、礒崎氏再選を阻止し、もしかすると氏の政治生命もダメにしたのかも知れず、本来の目的を達しています。