〈 クリントン大統領の政策 〉
1. ロシア国有財産の民営化
2. 「NATO東側不拡大の約束」破棄
タイトルに沿って、伊藤氏の雑談を機械的に紹介します。なまじコメントを入れると、私情が混じり、彼の意見を曲げそうな気がします。冷静さが求められる大事なところなので、味気ない叙述に我慢してもらいたいと思います。
〈 1. ロシア国有財産の民営化 〉
・クリントンは、大量のアメリカのウォール・ストリートの金融事業者とハーバード大学でイスラエルと深い関係を持つユダヤ人経済学者を集め、ロシア国内の金融業者とグルになり、急速なロシア国有財産の民営化を進めた。
・この改革によって、計画に参加した少数の者たちが巨万の富を得た。参加したロシアの金融業者の多くは、イスラエル国籍を持つ二重国籍のユダヤ人で、オルガーキー ( オルガルキ ) と呼ばれるロシアの大富豪になった。
・この間にオルガーキーは、自分たちが作ったヘッジファンド、プライベート・エクィティイファンド組織を介して、15から22兆円の資本をスイスとイスラエルを通じて、ロシア国外に持ち出した。
・当時アメリカの全民間金融事業者の所有資産が22兆ドルだったのに対し、オルガーキーの金融資産が11兆ドルになっていたことを考えると、彼らがこの改革でいかに巨額のロシア資金を懐にしていたかが分かる。
・改革後の数年間でロシアのGDPが45%低下し、国民の約4割が極貧状態に追い込まれた。国民の平均寿命も、一挙に10才以上縮まった。
「ねこ庭」で入手できるのは、マスコミの報道とネットの情報と廃棄図書なので、伊藤氏の説明を黙って聞くしかありません。アメリカの強い要求によって、中曽根首相が国鉄、電電公社、専売公社などの国営企業を民営化したことや、小泉首相が郵貯の民営化をしたことなどが思い出されます。以来日本は経済の活力を失い、世界第二位の経済大国の地位を失っていますから、伊藤氏の雑談がまんざら間違いではないだろうと推測するだけです。
政府の説明が巧妙だったのか、マスコミの洗脳が功を奏したのか、日本国民の多くは政府を批判しても、あまりアメリカに怒りを向けませんでした。まして野党は、アメリカのアの字も言わず、自民党政府を激しく攻撃しませんでした。しかしロシア国民は違っていたようです。どこまでが事実か分かりませんが、「祭りの薬売り」が次のように説明しています。
・エリツィン政権が終わった後、アメリカの民主主義を支持する国民が1割になってしまった。
・8割の国民は、民主主義というのはごく一部の金持ちだけが得をする、非常に腐敗したシステムであると考えるようになった。
・ロシア国民の88%は、エリツィン政権をアメリカとイスラエルに操られている傀儡政権に過ぎないと考えていた。
・クリントン政権の政策の結果、普通のロシア国民は、世界の中で最も憎い国がアメリカと考えるようになった。
彼の説明が事実なのか、雑談なのか分かりませんが、クリントン政権の政策について、米国政府高官と学者たちが厳しく批判している言葉を、彼が喋っています。次回は厳しい批判を紹介し、「祭りの薬売り」の雑談の真偽についてはそのあとで検討します。