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伊藤貫の真剣な雑談 - 45 ( ウクライナ内政関与への反対意見 )

2023-08-18 08:38:39 | 徒然の記

〈 クリントン大統領の政策 〉

  1.  ロシア国有財産の民営化
 
  2. 「NATO東側不拡大の約束」破棄
 
 今回はまず最初にクリントン政権が、「NATO東側不拡大の約束」を破棄した状況に関する彼の雑談を紹介します。
 
  ・1990 ( 平成2 ) 年と1991 ( 平成3 ) 年、クリントン政権の国務省局長が、アメリカはNATOを東に拡大しないとロシアと二度約束した。
 
  ・その後クリントンはユーゴのコソボ紛争に、国際法違反の一方的軍事介入をし、ロシアの友好国だったセルビアを叩きのめした。バルカン半島でロシアが影響力を行使できなくするための、軍事介入だった。
 
  ・一方的な軍事介入は米露政府間の約束を破ることだったので、米国駐露大使だったマトロックが、なぜこんな汚いことをするのかと怒った。これに対するホワイトハウスの担当官の返事が酷かった。
 
   「サインして署名したわけでもない口約束は、いくら破っても構わない。」
 
 マトロック大使は、クリントン政権の態度は、嘘をつく、薄汚い商売人の態度だと怒ったそうです。「NATO東側不拡大の約束」を破棄したクリントン大統領の政策をさらに進めたのが、オバマ大統領でした。
 
〈 オバマ大統領の政策 〉
 
  1.  親露派大統領ヤヌコビッチ氏の追放工作
 
  2.  米国兵によるウクライナ兵の指導・訓練と武器援助
 
1. 項目目の件に関する、彼の意見を紹介します。
 
  ・親露派のヤヌコビッチが大統領に当選すると、CIAと国務省が彼を失脚させるため、即刻大量の工作員をウクライナに送り込んだ。暴動とクーデターを起こさせ、ヤヌコビッチの追放に成功した。
 
  ・暴動とクーデターの指揮を取っていたのが、オバマ政権の国務次官補代理だったビクトリア・ヌーランドだった。バイデンとヌーランドはこの時から、仲が良かった。( ネオコンの彼女は、バイデン政権で国務次官補に昇格しており、この政権下で紛争が高まっても不思議ではない。)
 
   クリントン、オバマ政権がウクライナの内政に首を突っ込んだことに関する6人の反対者の意見を、例の如く楽しそうに、得意そうに喋ります。何がそんなに嬉しいのか知りませんが、「祭りの薬屋」が並べる順に従って紹介します。
 
〈 1.  ジョージ・ケナンの反対意見 〉
 
  ・ロシアとその周辺国に国境線を引くことは、困難であり、その必要性もない。
 
  ・過去800年から1000年の間、ロシア人、コサック人、グルジア人、ウクライナ人、ベラルーシ人、タルタル人などは、混在して生きていた。
 
  ・出たり入ったりして暮らしていたから、現在住んでいる彼らでさえ、国境線を引くことができない。なんで、今頃アメリカ人がそんなことをするのか。紛争のタネになるだけである。
 
  ・クリントン政権のやったことは、悲劇的な愚行、大失敗である。ロシアを外交的に追い詰めていく必要性はどこにもなく、ロシアと対立する必要性も、どこにもない。だからアメリカが、ウクライナをNATOに入れることに反対する。
 
  ・過去400年間の歴史から見ると、ロシア人にとって最も大切なものはナショナリズム ( 民族主義 ) とインペリアリズム ( 皇帝による独裁主義 ) だ。
 
  ・彼らに自由主義や民主主義を押しつけても、無理だし成功しない。
 
〈 2.  ヘンリー・キッシンジャーの反対意見 〉
 
  ・ロシアの拡張主義と、自分の国だけは特別に優れているから何でもやれるという例外主義は、アメリカの拡張主義と例外主義にそっくりである。
 
  ・アメリカ人、中国人、ロシア人は、自分たちが世界の中心であると思いたがるところが似ている。だから3ヶ国は同盟関係になれない。なぜなら彼らは、同盟を結んだ相手を必ず目下として扱うからだ。
 
  ・ウクライナはフィンランド同様、どこの国にも属さない中立国にすべきである。
  ・ゴルバチョフはアメリカにおだてられて、グラスノスチとかペレストロイカなど馬鹿げたことをやっている。スローガンを掲げれば、ロシアが生まれ変われるという幻想を抱いている。
 
  ・彼はワルシャワ条約を廃止し、衛星国の独立を認め、ソ連邦を解体するという間違いを犯した。
 
 ここで「祭りの薬屋」が、コメントを入れています。
 
  「キッシンジャーはゴルバチョフを批判したため、アメリカでは評判が悪くなった。後に無名の頃のプーチンと出会い、ゴルバチョフに関する意見が一致し、それ以来二人は意気投合した。」
 
〈 3.  ジャック・マトロック大使の反対意見 〉
 
  ・ウクライナは西と東では、言語、宗教、民族が異なる。
 
  ・過去700年間独立国であった経験がないから、独立国を運営する能力に欠けている。
 
  ・アメリカが手を突っ込んでも、解決不可能な問題に関与するだけである。
 
  ・ロシアが自由主義的な国家、民主主義的な国家になると期待することはできない。
 
  ・過去の歴史を見てもそうだから、内政干渉をせず、彼らの勝手にやらせておけば良いのだ。
 
 スペースがなくなりましたので、残る三人の意見は次回に紹介いたします。
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