日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
このプラットフォーム上で思いついた企画を実行、仮説・検証を行う場。基本ロジック=整理・ソートすることで面白さが増大・拡大
 



スウェーデンが生んだ世界的な巨匠監督、イングマール・ベルイマン。
1982年公開の『ファニーとアレクサンデル』を最後に、映画からは引退を表明して今日に至っていました。

金曜夕刊の映画評でこの新作を知り、いてもたってもいられなくなって昨日の初日を観てきました。
というのは、カミングアウトすると、私個人史での歴代映画ベストワンは、その『ファニーとアレクサンデル』なのでした....


『第七の封印』『野いちご』『処女の泉』『沈黙』『叫びとささやき』などで有名なベルイマン監督ですが、なんと今回の内容は1974年に作った『ある結婚の風景』の続編で30年後の設定。
主演はその『ある結婚の風景』の主演2人、リヴ・ウルマンとエルランド・ヨセフソン。

引退したはずではないかというのはまったく野暮でして、すでに引退してから20年以上が経過しているのでした... そりゃ時効ですなあ!

30年後の続編映画が作られる例は珍しいのではないでしょうか。
実は『ある結婚の風景』は観ていたものの、ほとんど内容は忘れていましたが、全く問題なく内容が理解できましたのでその点は心配ありません。


映画が始まって、まず印象に残るのは、画面が非常に鮮明なこと。
始まりのリヴ・ウルマンの独白の時点でそう感じていると、しばらくして自然の森林の風景が映るのですが、その鮮やかさもこの話が現代で進行しているストーリーであることを改めて感じさせます。

ベルイマンといえば、モノクロかまたはかすみのかかったようなじめじめした画面が多いのですが、この映画ではハッキリクッキリ。
それもそのはず、この映画デジタルで撮られ、フィルムに変換することなくデジタルで上映されているそう。

話の方も、ハッキリクッキリ?! 
親、妻、息子、娘のそれぞれの葛藤を、独白あるいは2人の会話から浮かび上がらせるのですが、シンプルかつ説得力ある映像に仕上げるベルイマンの演出力に全く衰えはないどころか、そのシャープさは「冴え」「充実」「円熟」という言葉がどんどん頭に浮かんでくる出来です。
1シーンですが、デジタル技術だから可能というカットがあり、このへんもクスリとさせられました。とても88歳の人とは思えません(制作時は82~83歳)

ということでいろいろ考えさせられる、「サラバンド」。
音楽の使い方も素晴らしいし、見終わってからしばらくしてもあのシーンはこういうことか~と何度も楽しめる、最近では数少ない骨太な映画としてお勧めしたいと思います。


蛇足:当ブログではMozartネタが多いので。
   ベルイマンは K.620「魔笛」を映画化しています。久々にVTR引っ張り出そうっと。


コメント ( 7 ) | Trackback ( 0 )



     


 
編集 編集