日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
このプラットフォーム上で思いついた企画を実行、仮説・検証を行う場。基本ロジック=整理・ソートすることで面白さが増大・拡大
 






読み始めると、まず驚きのキーワードが登場する = ホームグロウン・テロリスト
テロリストの実行犯が実は、隣に住んでいた、この国生まれの人物だったりするという驚き!

そのベースにあるのは、ネットの罠にはまり突然に家出し、イスラム国に志願・合流する若者たち。
しかもそれは男性だけでない。
女性たちも見知らぬイスラム国に行き、戦闘員の妻(!)になるのだ!

ホームグロウン・テロリスト というコンセプトを最初に考えたのは、アル・スーリという人物。
このキーワードを核に、1600p もの大著で理論化、ビン・ラディンに戦略転換を求め、その理論が実践化され現在に至っている…


欧州だけでなく、中東・アジアで広がっているのは「サラフィー主義」
懐古主義の一派で、神だけに絶対権威を認め、偶像崇拝を否定するコチコチの考え方。
「聖戦」の一言で何でも正当化されてしまう過激派につながる。

そして事件は、伝統的に移民に寛容な国・街、例えばイングランド ロンドンで多発。
フランスの情報当局からは「ロンドニスタン」と皮肉られるほど(流石フランス!)
1990年以降、過激派の発信地化していたロンドンで2005年、遂に大事件が発生。
地下鉄、バスでの爆破テロは、52人の死者、700人以上の負傷者が出た。
この一連の爆破も、 ホームグロウン・テロリスト による事件だった。

もちろんロンドンだけでなく、スペイン マドリッド、オランダ、デンマーク他にも拡散。
各国の警察はテロ対策法の設定や強化に踏み切らざる得なくなる。
「負の連鎖」の始まり...


この欧州全体で深刻化する「葛藤」は、第3章以降でフランスの苦闘を通して表現される。
・女性抑圧のシンボルか宗教の自由か?「ベール論争・禁止法」
・平等と言われつつも、移民に立ちはだかる壁
・採用に関して「匿名履歴書」の導入にまつわる顛末…


そして第5章、シャルリー・エブド事件の衝撃 へ到達する…

このテロの死亡者の中に、実はイスラム教徒もいたことが記述されている。
自分の努力で這い上がり、警官だったアフメド・ムラベは、撃たれ、倒れたところに止めを刺される。
シャルリー編集部の校閲記者ムスタファ・ウラドは60才の生涯を編集部で終わらされた。

最終章では、移民への「自由」と「寛容」が失われつつある欧州の姿を、各国の政党の勢力図の変化を捉える。
いかに「憎悪」が世論を変えてしまっているかに戦慄してしまう...


結論:こうして欧州全体で深刻化する「負の連鎖」をよりリアルに理解できる好著。

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