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伝記作者として有名なウォルター・アイザックソンによる、RNA研究 を描いた本。
まだ読破中ではあるものの、ネタ的にまさに「最新」なので、あえて。
なぜ最新か。
主人公は 2020年 ノーベル化学賞 を受賞、米国カリフォルニア大学バークレイ校 ジェニファー・ダウドナ
冒頭、彼女の犯した失敗から本は始まる。
コロナウイルスの急激な拡大でキャンパスが閉鎖されたその日、息子を迂闊にもイベントに送り出してしまったのだ!
幸いそのイベントも中止となったため、事なきを得たものの、この事件をきっかけに彼女が覚醒する。
「コロナウイルスを倒す」
その日は、2020年 3月13日。
彼女の功績のスタート点は、1986年に遡る。
DNA研究がレッド・オーシャン化する一方、RNA研究 に実はチャンスがあるのではと上司に宣言。
大勢のやっていることは決してしない」方針を持っていた上司はダウドナの申し入れを 即 受け入れる。
そして、徐々にダウドナが望む人材が揃い始め、そうしているうちに天からアイデアが降ってくる。
助手がサンプルを入れた機器が故障(涙)
だがそれがきっかけとなり、「台無し」になったと思われたはずのサンプルが「成長」していたのだ!
その25年後にも、また「神が舞い降りた」かのような偶然の出来事からアイデアが生まれる(汗)
この頃にはグローバルに研究が進んでいたダウドナのチーム、なんて強運なんだ!
そうして、ダウドナノーベル賞受賞の基となった、ゲノム編集技術 キルスパー・キャスパー9 を発見。
(後に キルスパー・キャスパー9は、CRISPER クリスパー という通称で呼ばれるようになる)
酵素名:キャスパー9 はウイルスを見つけては切り刻むタンパク質で、コロナを倒す武器になったのだ。
そして科学雑誌に発表を発表、これがきっかけで世界規模の大競争が始まる(汗)
ここから本のトーンが大きく変化する。
サイエンスの開発領域を中心とした「求道的」な方向から、人間のドロドロした「欲望」GREED が大きく絡んでいく…
そう、一つの「業界」が誕生したことによって、そうなったのだ。
世の常ではあるものの、(上巻)ですら後半部分はそんな展開に。
さて、(下巻) はどうなるのか?!?(汗)
結論:コロナ禍というマイナスすらプラスに転じている(かもしれない)RNA研究の進歩、は必読!