コンサートを聴いている時、どこを見ているか・・・ということを友人・知人と話したことがあります。
ある知人は、オーケストラのコンサートであまり知らない(自分にとっては退屈な)曲が演奏されているときに、
「楽団員さんの髪型をひとりひとり見ていった」と言ってましたし、
ある友人は、「非常に動きの大きいひとりの団員さんに目が釘づけだった」と言っておりました。
たしかに、オケのときは、すわる客席の位置によって、管楽器や打楽器が死角になったり、
指揮者の真下で、どうかすると飛び散る汗をかぶりかねないような状態になったりします。
よく知っている曲なら、「次の楽器は?」とか
「ここのソロが聴きどころ」というわけでおのずと目がそちらにいきますが(テレビの場合はカメラがアップにしてくれることが多いですね)、
あまり知らなかったりすると、それこそひとりずつ髪型を見てしまったりすることもないわけではないです。
私の場合もいろいろで、「ひたすら指揮者」のときもあれば、
メロディーや中心になって演奏している楽器奏者を見ることもあります。
なんせ、自分の弾ける楽器がオケのなかにはないので、
なにか特定の楽器を集中して見る(聴く)ということはほぼありません。
楽器が少なくなってくると、その点はだんだん絞られてくるわけで、
ソロリサイタル、とくにピアノになると、見る相手はひとりです。
ソロリサイタルでトータル90分あるとすると、
じっと見つめている間にドレスの色・デザインは覚えてしまい、
その日弾かれたプログラムとともに(全部が記憶に残ることはあまりないかも。印象深かった1~3曲程度)、
どうしても服装はインプットされてしまいます。
同じ方のリサイタルに何回も出かけていると、着用されたほぼ全部のドレスを覚えております。
ほかに見つめるものがないので当然と言えば当然なのですが・・・・。
もちろん目を閉じて音だけ聴いている時間もけっこうありますし、
会場のどこかほかに目をやっていることもあるわけですが、
よほど「そのつもり」で、指や手・腕をみたり、表情をずっと見たり、ペダルを見続ける以外は、
漫然と姿を眺めるので、どうしても服装の印象は残ります。
ときには、どこぞがきつそうだった・・・・とか、
若いころのドレスっぽかった・・・・とか、
どうでもいいようなことまで記憶に残ってしまい、逆につらかったりもします(笑)。
聴くほうとしては、いい演奏であればもうそれでいいわけなので、そういうことはどうでもいいといえば、どうでもいいことなんですけど、
私のような無頓着な人間ですら、けっこう記憶してしまう事柄です。
プロで活躍されている方がどうなのかはよくわかりませんけど、
ふつうに考えて、ソロリサイタルの際は、かなりのプレッシャーと戦っておられることでしょうし、
まだ経験の浅い方だと、最後の最後まで曲を仕上げるので頭がいっぱいで、
とりつかれたような状態のまま、とにかく「演奏の際に、神経に触らないような服を」ということで、
身なりにかまう気力を全部演奏に向けて、出てこられることもあるかと思います。
でも聴き手は
「さて、今日はどんなお姿で~♪」と待ち構えていたりするわけで、・・・こわいですねえ~(笑)。
というわけで、聴き手としては、もう見放題、聴き放題、(まれに言いたい放題)でありまして、
それはわざわざお金出して演奏会場に出向いて、2時間近くを過ごすわけですので、
聴衆としてのマナーさえ守れば、こちらがどう聴こうが自由なわけですけど、
これがいったん(たとえ発表会であれ)、聴かれる側になると、
こんな恐ろしいことはないわけです(汗)。
無料のコンサートにしても、会場までの交通費に加え、往復を含めた数時間を頂戴しているわけですので、
「タダだから」というのはあくまでもこちら側の言い分でしかなく、
やはり「失礼にならない程度に」というラインは、演奏そのものでも、その他の点でも、誠意をもって守りたいと思っています。
・・・・・言うは易く行うは難し・・・・・