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この写真は、イタリアのある都市のショップのトイレの手洗いである。
思わず、シャッターを切った。
壁のタイルの色、輝き、光沢・・・
芸術である。
コックは最新のセンサー式でもないし、石けんだってふつうの液体である。
しかし、その壁のタイルのあまりの美しさに、思わず魅了された。
これがイタリアなのだ。
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今朝、今まで懸案だった我が家の玄関のタイルを掃除した。
築30年の我が家をリフォームしたのは去年。
しかし、玄関のたたきのタイルは手を入れなかった。
そのため、タイルは黒いタールが一部にこびりついていた。
だが、30年だからしかたないかと半分あきらめていた。
それに、特にタイルがかけているわけではないし、使う上で支障はない。
ただ、玄関のアプローチとフロアをリフォームしたので汚れが多少目立っていた。
まず、玄関のたたきのタイルから掃除をはじめた。
はじめにざっとほうきで掃除をした後、シャワーでざっと汚れを洗い流す。
たわしとハイテク洗剤「汚れおち~る」を使ってごしごし洗い始めた。
短パンにシャツなので膝をタイルに付けて、ごしごし洗う。
タイルが水でぬれているので気持ちいい。
しかし、黒いタール状の汚れがなかなか落ちない。
2~3回あらってみてもだめ。
しかたがないので、たわしの根本にある金属製の「輪」の部分でこすってみた。
すると、きれいに落ちるではないか。
「輪」は、たわしをかけるだけでなく、汚れを落とすのにも使える
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さて、たわしの「輪」が使えることが分かったので、今度は玄関の外のアプローチ。
こちらは、去年リフォームしたところ。
いままで、セメントの打ちっ放しであったところをタイルにした。
明るい色にした。
ちょうど写真のタイルの色をもっと薄くして、ざらっとした感じのタイルに。
ところが、明るくしたのはよかったのだが、汚れが目立つようになってしまった。
だが、タイルをたわしでごしごしきれいにしているうちに、だんだん楽しくなってきた。
金属(鉄)のさびは、落ちにくいのだがこれもたわしの「輪」を使うと少しずつきれいになる。
だんだん、「芸術家」のような気持ちになって「タイルを彫刻」している気分になってくる。
そのとき、
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そうか、イタリア人は「きれいにすることを楽しんでいる」のだ。
そして、「きれいにした結果を見てもらうことも楽しんでいる」。
効率だけを追求して、「きれいになった結果」だけを重視していたが、そうではない。
きれいにするプロセスも十分楽しむことができる!
アッハ体験出来た私は、きれいにすることがますます楽しくなった。
「きれいにしなければならない」という義務感から、「きれいにすることも、見てもらうことも、楽しむ!」に変わった一瞬だった。
うちの玄関とアプローチは、我が家だけで使うのではない。
通りがかった人にも見てもらい、「楽しんでもらう」こともできるのだ。
自分が楽しみ、人にも楽しんでもらう。
イタリア人は人生の達人だ!