5月末まで、緊急事態宣言が続くことになった。
全国レベルでみると、徐々に感染者数が減ってきている。
しかし、油断ができない。
現在は、8割削減で人々の行動が抑制されているが、徐々に解除されて最も危険である場所と私が考えているのが、高層ビルや高層ホテル、高層マンションいわゆるタワマンである。
なぜか?
エレベーターが超絶3密空間なのだ。
しかも、たった一人でもその状態で、スーパースプレッダーや軽症者をはじめ、新型コロナウィルスに感染した人がエレベーターに乗り合わせたとする。
そこで、感染者が大きな咳をしたらどうなるだろう?
飛沫は狭いエレベーターの箱内に、ばらまかれる。
同乗者は、そこで間違いなく感染する。
マスクでは防ぎきれないからだ。
同乗者だけだろうか?
何も知らないで、後からこのエレベーターに乗車してきた子供や大人は、小さな箱内に浮遊している新型コロナウィルスの飛沫を吸い込んだり、箱の壁や行き先階ボタンに触れたりして、容易に新型コロナウィルスに感染してしまうのだ。
しかも、高層階の住人や、勤務者、宿泊者、利用者ほど感染するリスクが高くなる。
エレベーターの乗車時間が長いからである。
このことのデータは既にある。
東京23区の1万人あたりの新型コロナウィルス感染者数マップである。
これを見ると(5月1日現在公開のデータ)、港区10.3人、新宿区8.7人、渋谷区6.5人、中央区5.1人となっている。
これに対して、周辺区の江戸川区1.6人、足立区1.5人、北区1.9人、板橋区1.6人、荒川区1.3人と周辺区が圧倒的に少ない。
この違いは、緊急事態宣言が出される前ならば、周辺区は住宅街で低層住宅が多く、流入が少ないということで説明できたであろう。
しかし、緊急事態宣言がだされてから、かなり時間がたっていることから、住宅街は低層が多く、ビジネス街は高層が多いというだけでは、説明として、不十分である。
そもそも、都心の港、渋谷、新宿、中央区には周辺の県から流入が1日当たり280万人もあるからである。
そもそも、密なのだ言われれば、反論できない。
緊急事態宣言が出て、7割ほど減ったとは言え。
そこで、この地図の都心周辺区の住宅街と思われている、杉並区と世田谷区を比較してみよう。
人口は、世田谷区のほうが杉並区の2倍以上あるが、人口1万人あたりの感染者数なので、人口は無視していい。
世田谷区の人口1万人あたりの感染者数4.1人。
杉並区の人口1万人あたりの感染者数3.1人。
ちょうど1人違う。
この差は、なんだろう?
世田谷区も杉並区も住宅街が多い。
しかし、世田谷区は246号沿いに比較的高い建築物が多い。
つまり、エレベーターの供用数が多いと思われる。
対して、杉並区は中央線沿いに駅前繁華街はあるが、世田谷区に比較すると高層ビル、高層マンション、高層ホテルは比較的少ないと考えられる。
平均すれば。
この違いが、感染者数の違い1人になって表れていると考えている。
以上述べたことから、エレベーターは3密が避けられない非常に危険な移動手段ということが言える。
したがって、エレベーター内の空間や壁等が新型コロナウィルスに汚染されないよう、細心の注意を高層ビルの管理者や勤務者、住民、利用者は払わねばならない。
具体的には、できるだけ少人数で乗車して、感染リスクを減らす。
エレベーターに何人くらい乗車しているか、外部から分かるようにする。
(これは、犯罪の危険もあるので、なかなか難しいが)
エレベーター内の空気が強制換気されるか、除菌されるような装置を早急に開発する。
など、緊急事態宣言解除に向けて、具体的な方策を早急に立てる必要がある。
そうでないと、エレベーターから新型コロナウィルスの感染が、急速に拡大するということが考えられるのである。
この問題は高層ビル、高層マンションだけの問題ではなく、デパート、ショッピングモールなどあらゆる場所に設置されているエレベーターについて言えることである。
我々が今できることは、できるだけエレベーターには乗らないようにするしかないが、現に居住したり、勤務したりする人にとっては、そうはいかない。
早急に、具体策を国や各府県、区、市が主導して立てていくべきであろう。
もちろん、民間も国の沙汰を待つのではなく、さっさと対策を立てる必要がある。
なぜなら、そんな危険なエレベーターのある高層ビル、デパート、ホテル、ショッピングセンター等は、誰も利用する気にならないからである。