豆本三昧我褸芥(がるぁくた)ノート & 美人画あれこれ

日本の名作文芸と東西の名画の自作豆本の内容紹介のほか、その資料として集めている東西の美人画をいろいろ紹介しています。 

Queen Tomyris

2013年11月11日 | 今日の美女
 サロメ余話ということになろうか、サロメと題されたベロネッセの絵に次の作品があった。ヘロディアスに献上する場面と見えなくはない。


 しかし、これは間違いなのである。次の絵とほとんど同じであり、右の女性はサロメでも王妃ヘロディアスでもない。
   Gerolamo Brusaferro


 ルーベンスにも左右反転した、同じ場面の作品も見られる。
   Peter Rubens 二作品
  

 以下をざっと眺めても判るように、サロメ、またはヘロディアスと間違えそうな絵がほかにもある。
 さて、この女性は紀元前六世紀ごろのマッサゲタイという国の女王トミュリスである。始めキュロスという王のペルシャ軍に攻められて敗れ息子を失ってしまう。トミュリスは報復を決意して再度戦い、ついに勝利を得て敵のキュロスは戦死してしまう。戦前に「血に飢えた汝に、血を堪能させてやる」と宣言していた女王はキュロスの首を斬りおとして血液の入った容器の中に投げ込むといった話である。
 マッサゲタイというのは遊牧民族のようだから衣装にしても最下段の絵やモノクロの版画の方がそれっぽいのではないかと思う。それにしても、女王様が部下の前で素っ裸ということはないだろうけど。首を入れる血の入った容器というのも、サロメのような平たい盆や皿ではなく、版画のような皮袋というのが元の記述らしい。したがって壺や深い入れ物であればサロメの絵ではないのである。最後のトミュリスは若すぎないかしらねェ。
 
 
  Michiel van Coxcie                        Giovanni Antonio Pellegrini ?           Jean-simon-Berthelemy
    

  Pietro Ricch                                         Antonio Zanchi
  

  Giovanni Antonio Pellegrini            作者不詳                  Mattia Preti
    

  作者不詳                                        Mark Skalinski
  


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