江戸・京・大阪の三女性を並べた作品。
◎ 三人を一枚に描いたもの。
利信・重長は袖に都市名が記されている。
歌麿の「三ケ乃津」は三都のこと。上から江戸・大阪・京のようだが無記名なのではっきりしない。当時は髪型で区別できたのかもしれない。
奥村利信 西村重長 喜多川歌麿



葛飾北斎

◎ 三都の並び順に注目されたい。
石川豊信 タイトルの最後に「左・中・右」とあるので問題ない。

鳥居清倍 後ろの暖簾に都市名があるが 最上部の「左右」が逆で指定通りにすると不自然な構図になる。

鳥居清満 江戸と京が入れ替わるが、やはりこれも左右が逆でこの理由がわからない。

歌川国貞 上の丸内の文字が右から「全盛遊」「三津の」「合い拳」となるし配列もこの順しかない。拳とは「狐拳」で両手の仕種で勝ち負けを争うゲーム。この場合は仕種をする前段階のようである。

歌川国貞 これも上と同様で、「大阪・庄屋」「江戸・狐」「京・猟師」のアイコの状況。

※ この絵は 「江戸、鳥居清満」「京と大阪、鳥居清広」の作品である。
最初に見た時はAの並び、左から「京・大阪・江戸」の順であった。
しかしこれだと顔の向きが互い違いで纏まりがない。するとB「大阪・江戸・京」の並びのものに出会った。
江戸と京は別人の作だがほぼ同じ構図なのでCの「大阪・京・江戸」の 並びにしても見た目には大差ない。
さて、どの並びが適切と考えられようか。特にBとCではどちらでもいいと思うのだが。
A

B

C

●私の推定では「B」。理由は作者。
清広は清満の門人であるから師の作品を中央にして左右に分かれる並びが、土地の位置関係による配列のCよりよいのではないか。
さればこそCは見当たらないだろうし、Aは特に何も考えないで並べたとしか思えない。
