◎ レト
レトはアポロとダイアナの母なるがゆえにジュノーの憎しみも格別で、産前産後ともに苦難の連続を強いられ各地を逃げ回った。
その苦難の絵も以前に纏めてあるがその際には気付かなかった話である。
左はアポロとダイアナを寝かしつけるレトをジュノーが見つめている問題ない絵である。
右のティアポロが厄介の種なのである。手前の逃げていく女性が誰だか分らない。
まずこの絵のタイトルは「ジュノーとルナ」でレトではない。ルナは月の神ダイアナの事だがダイアナは処女神で赤ん坊と逃げる謂われはない。
ジュピターの関わった他の女性とした場合、抱えている赤子は胎内の嬰児を表現しているようだが、これは太陽神アポロと見るべきで、レト以外考えられない。レトだとすると双子として生まれるはずのダイアナがいない。前に居るチビはオチンチンがついてるからチビ天使である。右上に居る二人はジュピターとマーキュリー。
結局分らず仕舞なのだが、今回はジュノーがいろいろな女性に苦難を与えたことが分ればよいということでご了承あれ。
Marcantonio Franceschini Battista Tiepolo
◎アルクメネ
王女にして英雄ヘラクレスの母。
ジュノーは、特にジュピターの愛を受けた人間の母子には激しい憎悪を燃やしていたからヘラクレスも例外ではない。
ただジュピターはヘラクレスに特別な思い入れがあって、将来特別な存在にすべくジュノーの乳を呑ませることにした。
もちろんジュノーは承知するはずがないので、女神の眠っているときに乳を含ませた。目覚めた彼女が驚いてヘラクレスを撥ねのけたので乳房から流れ出た乳が川となった、すなわちミルキーウエイ天の川である。
Peter Paul Rubens Jacopo Tintoretto
ジュノーは幼いヘラクレスを殺すべく二匹の毒蛇をゆりかごの中に入れたがヘラクレスは二匹を両手につかんで絞め殺した。
成長後もジュノーはヘラクレスに十二の苦難を課したりして苦しめるが、ヘラクレスはすべてをはねのけるのである。
Pompeo Batoni Noel Coypel
◎ 「ヴィーナスがジュノーに帯を貸し与える」というタイトルだが、具体的な話は分らない。ウ゚ィーナスの帯を身につけると魅力的になるということらしいのだけれど、自尊心の高い最高女神がそんな人様のものなど借りなくてもよさそうなものだが・・・
Guy Head Vigee Le Brun Benjamin West
Joshua Reynolds Andrea Appiani