◎ 「新吉原年中行事」
実は、英泉の揃った作品は昨日でおしまいで、今日のは訳ありである。
年中行事なら各月で12枚のはずだが、この作品は二月が欠けているかわりに三月と十一月が各2枚あって13枚なのである。
多分二月も有って見付からないだけなのだろうが、三月は花見時、十一月は酉の市で吉原は書き入れ時なので増やしたのかもしれない。
脇道にそれるが、「酉の市の売れ残り」という言葉があって、「逆美女=醜女」を意味する悪口である。
酉の市は大酉神社の祭礼で縁起物のおかめの面のついた熊手が売られる。つまりおかめ、おたふくでしかも売れ残りという訳である。
これには裏があって、神社と吉原はすぐ近くなので吉原のどこの店も客が入るが、そんなときでも売れ残るブス遊女という意味もある。
そんな次第で、売れ残りどころかすぐ売れ「逆ブス」が1枚おまけについたことで ご容赦されたし。