今週は国貞の百枚揃いの大物を全作予定している。
上掲はこの作品の豆本で、数年前に作ったものの画質が良くなかったのだが、最近比較的見苦しくない画像が入手出来たので、先日全作を交換して作り直した完全改訂版である。
タイトルから、百人一首各歌の内容を江戸風に見立てた画集のように思われるが、そうした作品は始めの方で、やがて無関係な過去の作品が使われたりして国貞総集編のような体裁のものになってゆく。
本日の作品のような、読み札と取り札、巻子本形式の解説と、「衣干すてふ」と衣裳を手にする女、「紅葉踏みわけ」の紅葉狩りの女といった歌の内容に関連させたスタイルが当初の基本の形であったようだ。この関連性を見付けることも作者との知恵比べと言った鑑賞者の楽しみであったらしい。
秋の田の ・ 春過ぎて ・ 足引きの ・ 田子の浦に
奥山に ・ かささぎの ・ 天の原 ・ 我が庵は
花の色は ・ これやこの ・ わたのはら ・ 天つ風
筑波嶺の ・ 陸奥の ・君がため ・ 立ちかれ