PAPちゃんねるへようこそ!

PAP-JAPAN代表、川井眞理のお仕事(以外もてんこ盛り)日誌

高齢者犯罪が急増、背景に高齢化率アップと孤独

2006-05-08 | シニア情報
5月21日号の「読売ウイークリー」に、『高齢者犯罪、逮捕4万人の孤独と怒り』という記事が掲載されています。昨年、交通事故を除く全検挙者のうち65歳以上が初めて10%を超えたそうです。この15年では件数が6倍になっており、窃盗(万引き)や殺人のほか、放火容疑、威力業務妨害(暴力による脅し)など、内容に粗暴なものも目立つとか。犯行の根底には「むしゃくしゃした」「面白くなかった」など他の年代と変わらない理由が多く並び、゛弱者゛どころか、意外にも゛凶暴な加害者゛としての高齢者像が浮かび上がります。
 実は、私は数年以上前から、新聞の社会面にある高齢者犯罪の記事が気になって仕方がありませんでした。現代社会はシニア層が心身共に非常に若々しくて人口も多い、となれば高齢者犯罪が増加、凶悪化しても何ら不思議はないと考えていたからです。案の定、記事は一般に人格が円熟すると思われている高齢期に、そうではない短絡的でわがままな高齢者が増えていることを証明する結果になりました。
 同記事の最後に、高齢者の犯罪に詳しい福島大学大学院教授の生島浩教授が、「高齢者犯罪のベースにあるのは孤独。6割を占める万引き犯である高齢者は、無意識のうちに社会の注目を集めたがっている。高齢者にとっては罪名よりも、(犯罪者になることで)家族が目をかけてくれた(向けてくれた)という満足感の方が勝っている」と分析、「年をとったのでわきまえる、常識がつくというのは神話。さまざまな人間関係を重ねた高齢者は、その分、憎悪、欲求、欲望、カネに対する執着も強い」と言っています。些細なことでキレる高齢者も多く、介護疲れが引き金になるケースも増えているとか。
 以前、介護の現場にいる人の書いた本にあった、「高齢者は砂糖、醤油などを混ぜた調味液のうち、(エゴを薄める)水分だけが蒸発したようなもの。他の味(個性)はむしろ強まり、濃くなっている」という意味の言葉が改めて思い出されます。アンチエイジングもいいですが、超高齢社会ではむしろ向老期にある人は介護生活や孤独にあってもなおかつ平常心を保てるような、己の心をコントロールする法を学ぶ方が先決のような気がします。
※上記の調味液の話は、゛生活リハビリ゛の考え方を提唱した三好春樹さんという理学療法士の方が書いた「じいさんばあさんの愛し方」という本に出ています。