ふむ道,小道,数多く

趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

Henry Ⅷ:Chapter 5 A Perfect Builder of Pleasant Palaces

2010-08-17 23:44:05 | Kindle
Henry VIII: The King and His Court (Ballantine Reader's Circle)Henry VIII: The King and His Court (Ballantine Reader's Circle)
価格:¥ 1,734(税込)
発売日:2002-10-29

ヘンリー8世はイングランドの他のどの王様よりたくさんの城を持っていたそうです。特に大事な城はテムズ川沿いにありました。実はアセルスタンシリーズ等を読むとよくわかるのですが、ウェストミンスター宮とかロンドン塔とかへのアクセスは、船が1番だったんですよね。

ちなみに、これらの城は「大きな城」と「小さな城」の2種類。「大きな城」には、公務に使うホールがありましたが、「小さな城」はこじんまりしていて、王様のプライベートの狩猟やお気に入りと過ごす時に使われました。ヘンリー8世が相続した「大きな城」は、ウェストミンスター宮殿、ロンドン塔、グリニッチ城、リッチモンド城、エルサム宮殿、ウッドストック城、ウィンザー城です。また「小さな城」として17あるそうです。やっぱ王様金持ちだねぇ。(笑) ウィンブルドンなんかにもあったそうですよ。こないだ読んだコーベットシリーズに出てきたウッドストック城は、「大きな城」だったか。。これで終わりかと思いきや、さらに14の中世の城。あまりの多さに、さすがのヘンリー8世も、あまり使いきってなかったようですけどね。

しかし、城を建てるにあたっては、彼はパーフェクト、でございました。最初に、彼はとても勉強家だったとありましたが、建築学もしっかり学び、グリニッチ城のホワイトホールや、ハンプトン宮殿等で、自ら建物のデザインをする事もあったようです。建築現場に赴き、大工の兄ちゃん達に声をかけたりも。(やだダーリンのお父さんみたい(笑))悪天候が続く時は、自らビールとおつまみを持って現場に行って、大工さんを働かせたとか。。。

ヘンリー8世の時代、王家の宮殿にはそれこそ様々な装飾が施されていたそうです。現存する物は少ないそうで、もったいなあ。。実はこうした装飾は、外国から来た職工によって作られたのだそうです。当時イングランドの職人の世界は何故か非常に排他的。決して外国の職人を仲間に入れなかったそうですが、王家はそういう職人を自由に雇う事ができました。‥という事で、宮殿の装飾を担当したのは、フランス、イタリア、オランダ等から来た職人達でした。

もう1つ面白いお話が‥‥
イングランドでは、王様と言えども元々は雑魚寝。それを多少小さな部屋で家族やお気に入りと過ごせるようになったのは15世紀以降、しかしそれでも王様が1人になる事はなかったそうです。‥で、完全プライベート化を図ったのが、ヘンリー8世だそうです。(^^;) 。。。あ~なるほど! 思わず膝を叩いてしまったのは、映画LOTRのTTTのSEE! はっはっはっ、覚えてる~?(^o^;) エオウィン。大広間で寝てましたよね。それって戦時体制だからって事でなく、日常的にそうだったんですね。

ところで、当時の王室は、王と王妃で別々の居室がありました。大抵はおそろい(対称)のデザインで。それぞれ、謁見の間、私室、寝室、その他もろもろの個人的な部屋等から成ります。

歴代の王様が次第に個人のプライバシーを尊重するようになった為、(黄金館のような)大ホールというものはあまり作られなくなりました。イングランドではヘンリー8世のハンプトン宮のが最後だそうです。

1番贅沢に飾られるのは、謁見の間。王様はここでいろいろな人と会います。ややプライベートな執務室は大抵その奥だそう。そこでは王様が食事をしたり、お気に入りと(今で言う所の)打ち合わせ等をしたようですね。

さらにその奥に、完全に個人的な用事で使う部屋が控えていたそうです。

ヘンリーさんは庭いじりにも興味があったそうです。花の種類のあまりなかった時代ですが、珍しい植物や美しい植物をたくさん集めていたようです。残念ながらチューダー家の庭園は残ってないそうですが。。。


Henry Ⅷ:Chapter 4 This Magnificent Excellent and Triumphant Court

2010-08-17 23:42:29 | Kindle
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15世紀初頭、英国王室の宮廷は華やかさに於いてはちょっとイマイチだったようです。若くしてってか僅か生後8ヶ月(汗)で王位に就いたヘンリー6世にはその気がなかったようです。しかしエドワード4世は美術界にとっては良いパトロンだったそうで、ケチと言われた(笑)ヘンリー7世も宮廷で人々を楽しませる事の大切さは認識していて、最低限のお飾りはしたそうです。

しかし何と言ってもヘンリー8世!(笑) とにかく華やかな事では誰にも負けないという事のようです。(何かいろいろ有象無象がありすぎて細かく読む気が‥(笑))

特にヘンリーの結婚の繰り返しにより、ブリン家、セイモア家、ハワード家、パー家の受けた恩恵は大。もちろんこういう贔屓は安定した地位を手に入れられる物ではありませんが、これがチューダー王朝の基本だったそうな。1528年には、Castiglioneという人が、まあ邦題付けるとしたら「理想の廷臣」(笑)というような本を出版しております。支配者を操り政治的に影響を与えるには、雄弁さと教養と情報、さらに騎士として立派な事やマナーも大切だそうですよ。まあどこの国もいつの時代も一緒だね。(笑)そしてもちろん、この世界では健忘十数(おいポメラ(爆))じゃなくて権謀術数が大事。

キャサリン・オブ・アラゴンの侍女達の中には、この時代の宮廷というとお馴染みの貴族さんの名前がひしめいておりますね。後に王妃になるブリン家、パー家、ハワード家からもお手伝いがぞろぞろ(笑) 独身女性ばかりでなく、既婚女性も大勢います。(ここが日本の大奥とは違うね)前の王妃エリザベス・オブ・ヨークに仕えた女性や、イサベラ女王の侍女だった人も混じってます。

王妃の侍従長は通常男性です。
王妃の侍従長は、Thomas Butlerというバラ戦争の退役軍人。ただ実質この人天下り?(^^;) 実務はRobert Poyntzという人がほぼ全てやっていました。キャサリン王妃はマーガレット・ボーフォートの秘書だったGriffin Richardsという人をそのまま採用。

スペイン人の秘書は医師(薬剤師)等僅かに8人。他は皆スペインに帰ったそう。それって王妃に魅力がなかったのか、要らないと言われたのか、‥‥。英国人の召使いを積極的に使っているようなので、後者なのかな。

面白いのは、フランシスコ派修道士Fray Diego Fernandez。キャサリン(スペイン的にはカテリナだな)の恋人とまで言われた懺悔者です。相当見るからにあぶなっかしげな坊さん(笑)だったらしく、舅ヘンリー7世も警戒してたとか。

侍従長は、宮廷を取り巻く人々のうち誰に宮廷内に住まわせるか、食事を供与するか、等に責任を持ってました。しかし宮廷に押し寄せる人の数は膨大で、あるお城では召使い達は仕事部屋の上の屋根裏で寝起き。しかし中には一部自分専用の部屋を王様の複数のお城に持ってたちゃっかり者も。シャロットシリーズに登場するウルジー卿も、こうした特権階級(お城もらってたもんね)の1人です。

一般的な家来に与えられる部屋は「うさぎ小屋」トイレも共同というのもあったようで。。そんな部屋でももらえば天国。宮廷に顔を出さなくては出世もままならないそうです。
場所が狭いので犬は厳しく制限。女性用の愛玩犬のみOKだったそうです。ちなみにドハティ小説にたまに出てきますが、当時、犬は戦闘用の種類がいたり、結構恐ろしい動物とされていましたので、あまり大っぴらに飼われると、確かに迷惑ですよね。

他の動物についてはそれほど厳しくなく、ウルジー卿は猫を飼っていたし、国王夫妻も猿とか、麝香猫、マーモセット等をペットにしていたそうです。で、ヘンリー8世は(がらにもなく?(笑))カナリア、ナイチンゲール、フェレット等も飼っていたようですね。そしてお好みの犬は、ビーグル、スパニエル、グレイハウンド‥猟犬系ですね。グレイハウンドは、別に名前のように灰色というわけではなく、小顔で足長、腰がきゅっと締まったスタイルの良い犬ですね。
ペットの犬達は、肉を与えられずパンだけ。で、猟犬としての本能を目覚めさせないようにしていたとか。彼の死後、クロゼットから犬の綱が65本出てきたそうで、犬は好きだったようですね。

さて、当時の英国王室は、ライバル?フランス王室に比べ、「おおらか」だったそう。(^^;) 女性は男性と挨拶する時、口にキスする習慣があったそう。(え! それは伝統だったか! あの~何かLOTRの出演者、某王様、王妃様、執政様同士でお口キスを交わしていたのを見た事ありますけど~)エラスムスさんはこの習慣に大喜び。(笑)
男女間で起こるべき事はいくらでも起きそうな予感。

一方、女性と言えばやっぱり騎士道。ヘンリー8世自身もアーサー王伝説のファンでした。この騎士道精神が、彼の女性に対する態度の源でもあったようです。


Henry Ⅷ:Chapter 3 A Prince of Splendour and Generosity

2010-08-17 23:39:20 | Kindle
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ちょっとへぇえ~な記述発見。(私の読み違いでなければ)中世以降の統治者(王または女王)は、自分の事を"we"と呼ぶ人が多いとの事。日本語に訳す場合は「朕」とかになってしまうのでわかりませんけど。その理由は、いわゆる、死すべき運命=普通の人間である自分と、永遠に続く王家の権威を象徴する自分と、2人の自分を意識しているからという事だそうです。そこが下々と違うという事。ビクトリア女王が"we"を使っていたというのは聞いた事ありますけど、それって早くに亡くなったご主人を重ね合わせていたのではないか、って解説されていたのですが、実は、それこそ朕と同じように、王様女王様が慣習として使っていた言い方だったのね。

でも現在の英国女王エリザベス2世って、そういう言い方してましたっけ? ‥まいっか。

何はともあれ、王より偉いのは神のみ。王の言葉は神の言葉。だから中世で最も重い罪は反逆罪でございます。

ちなみに王様に話しかける時に使う"Your Majesty"を確立したのはヘンリー8世だそうでございます。それまでは"Your Grace"や"Your Highness"が一般的だったそうです。

ドハティさん等がたまに発言する「Bluff King Hal」というあだ名は、彼の死後に付けられた物で、生前はそう呼ばれる事はありませんでした。(^^;) 生前は人気者だったようです。



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