Slaughterhouse-Five 価格:¥ 636(税込) 発売日:1991-11-03 |
全体が210ページほどの本ですが、今87ページ。5章はここから約50ページの長大な章でございます。
Tralfamadore星人にとって、星は光る点ではなく、どこから来てどこに行くのか見えるそうです。また地球人は2本足でなく、ヤスデに見えるそうです。前の足は赤ちゃんで、後ろに行くほど老人の足、なんだって。
ビリーはTralfamadoreへの円盤で、本を読みたいと言います。彼らはマイクロフィルムはたくさん持ってましたが、映写機を持ってませんでした。1冊だけ、博物館行き予定の「人形の谷」という本がありましたが、ビリーはすぐ読み終えてしまい、他にも何かないか聞くと、Tralfamadoreの本はあると言います。ビリーには理解できないだろうと言われますが、とりあえず1つ見せてくれと所望。
すると、幾つかの本を貸してくれましたが、それぞれは星で区切られたシンボルの固まり…(む、想像できん)それはテレグラムのようなもの(現代的に言うとインターネットね)で、Tralfamadore星人は本を順番に読むのではなく、1度に読んでしまうそうです。中に描かれているたくさんの一瞬のシーンに人生の深さを感じて感動するのだとか。
ビリーは12才に戻ります。家族でグランドキャニオンに旅行。谷底が見える場所(Bright Angel Point)で両親は楽しんでいるようですが、ビリーはちょっと苦手。(^^;)フランス人観光客が、レンジャーにたどたどしい英語で「ココハジサツオオイデスカ~」と聞くと、「年に3人」So it goes.
So it goes.実はこの本を原書で読むと頻出の、誰もが気になるこの短い一文。どうもほぼ必ず誰かの死のシーンに付いてくる…日本語に訳すとすると「合掌」がしっくり来るのかな。
また時空を飛んだビリーはグランドキャニオンと同じ旅行中のCarlsbad Caverns。ここもビリーはちーと苦手(笑)ガイドのレンジャーは、明かりを消して本当の暗闇にすると言います。明かりが消えると、何かがビリーの横をふうっと。お父さんの蛍光腕時計でした。
ビリーは、またシラミ取りステーションに戻ってきました。衣服はきれいにはなってなかったけど、付いていた小さな虫などはきれいに取り除かれました。So it goes.(やっぱ「合掌」の意味で使われているんだなあ)凍っていたコートは解凍されました。でもこれはビリーには小さすぎ。どうも明らかに、サーカス等の見世物の小さな人用のコートっぽい。しかも弾丸の穴だらけ。(汗)(ひょっとするとSo it goes.は(汗)の意味かも?でもここにはSo it goes.はない;)その人のウェストの辺りでひらひらするようなデザインだったけれど、それがビリーのわきの下辺り。ドイツ兵達は、何かまるで、第2次対戦で1番おかしな物を見たかのように、笑いまくりました。
その後アメリカ兵は、1人1人名前を台帳に登録。そこに登録されてようやく、彼らは法律上「生きている」という事に。
アメリカ兵が動き出した時、騒ぎが勃発。1番後ろにいたアメリカ人が何気につぶやいた一言が、英語のわかるドイツ兵のガードの気に障ったそうで、いきなり殴り倒されました。
ビリーは名前を登録した時、鉄のタグを受け取りました。このタグは、付けている人が亡くなった時に、2つに割って一方を遺体に、一方を墓に付けるそうです。
タグを付けたアメリカ兵は門から門へ案内されます。ビリーのすぐ側にウェアリーの仇を誓ったポール・ラザロ。しかし彼は今は強烈な腹痛で仇討ちどころではありません。その隣にはエドガー・ダービーがいました。彼はかつてリーダーになる事を期待されていましたが、今はチェコの国境。。やがて彼らはある倉庫の前で止められます。ドアが開くと、中から50人ほどの英国兵。
英国兵達はそこに4年間捕まっていました。彼らは富裕層ですが、皆少なくても1回の脱走歴があったそうで、ついに周り中お腹の空いた英語を全く理解できないロシア兵、という環境に放り込まれたのでした。彼らの小屋は十分な食料とチェス等の遊興器具。(笑) 彼らはアメリカ兵を歓迎?して迎え入れると、彼らをYankと呼び、Jerryは逃げてると言います。「Jerryって誰の事だ?」といぶかしがるビリー。
ビリー達は夕食のテーブルへ。食器は空き缶でしたが、一応暖かいミルクとチョコレートとタバコと蝋燭と石鹸、等をもらいました。ただし、蝋燭と石鹸は、ユダヤ人等の脂でできているんだよね。So it goes.(汗)
ビリーはテーブルの端で、水色のカーテンのついかピンクのアーチ、時計、2つの黄金の王座、バケツとモップ、を発見。これはシンデレラ劇用だそうです。(^^;)
ビリーはうっかり?ストーブに近づき過ぎた為、コートが火事に。そんな中、彼は電話があればママに無事を伝えられるのになあと思ってます・・
イギリス人達はビリーを見つけると火を消してくれて、同情心一杯に、(そのコートは)一体どうしたのだ?と聞いてくれます。ビリーが、それは「彼ら」から与えられたと説明すると、「Jerryか?」Jerryとはドイツ人の事だった(^o^)しかしイギリス人にいじられるのが好きでないビリーは無愛想。「それは故意に君を侮辱しているのだ。彼らにそのような事をやらせてはいけないよ。」ビリー思わず立ち上がり、舞台の側へ。
ちょうどシンデレラ上演中。出演は全て男性。どういうわけだか、ビリーにはおかしくておかしくてたまりません。しまいに彼は笑いを越えて、ひきつり笑いに。ついに、病室に運び出されてしまいました。
ビリーの傍らには、アメリカ兵が1人ボランティアで付き添いました。ドレスデン爆撃で死すべき運命(So it goes.)の、エドガー・ダービーです。彼はThe Red Badge of Courage(Stephen Crane)という本を持って座っていました。既読だそうですが。
モルヒネを打たれたビリーは、庭でキリンと一緒の夢。キリン達は桃を食べてました。ビリーもキリンで、固い桃を食べてました。キリン達はビリーを仲間として受け入れます。すると2頭のメスがビリーにすり寄ってきて、キスまでしてくれます。何故か彼女達の角はベルベットのドアノブでした。(笑)
ビリーはそのままタイムスリップへ。終戦後3年のレイク・プラシッドの病院です。彼は大学で検眼学を学んでいる最中に発病しました。クラスメート達は、その原因が戦争とは思ってませんでした。ビリーが幼い頃プールで投げられたり、その後すぐにグランドキャニオンに連れて行かれたせいだろうと思ってました。
隣は歩兵隊長だったエリオット・ローズウォーター。Kilgore Trout(→Vonneguさん創作!)という作家のSFが好きです。
ビリーはKilgore Troutを気に入りました。
ローズウォーターはビリーの倍頭が良いですが、ビリーと同じように戦争体験(14才の少年を誤射)から心を病んでました。2人は共感し合い、協力して人格再構築する事にしました。