Slaughterhouse-Five 価格:¥ 636(税込) 発売日:1991-11-03 |
ある時、ローズウォーターは、カラマーゾフの兄弟の人生について知るべきだ、しかし、それでもなお不足だ、と、言います。
またある時、彼は、皆これからは素敵な嘘をたくさんつなねば、そうでなければ生きる価値がない、と、精神科医に言ってました。
ビリーのベッドサイドテーブル上で生きている物2つ。2錠の薬と口紅の付いたタバコ。水は死んでて、空気が逃げようとしているけど、泡は弱々しくコップの壁を上れない。。タバコは精神を病んで入院していたヘビースモーカーのお母さんの。ビリーはどうもお母さんが苦手な様子で、彼女が来るといつも頭から毛布を被ってます。それはお母さんが悪い人という意味ではなく、厳しいこの世に生を授けたから。
ローズウォーターが帰ってきました。ベッドのきしむ音が彼が体が大きいけど強くはないという事を語ります。そこへビリーのお母さん。ローズウォーターはお母さんに挨拶して、彼女をdearと呼びます。これは彼の実験で、何とか生きる喜びを見いだそうとするものでした。
彼(ビリー)はいつか毛布を被るのをやめてにっこり微笑んでハローと言ってくれるのよ。ママに会えて嬉しいよって。
今日言ってくれるかもしれませんよ。
いつもそう祈っているわ。
それは良い事です。
人がどれだけ祈りに支えられているか、皆知ったら驚くわね。
それ以上の真実はありませんよ。
あなたのお母様はここによくいらっしゃるの?
母は亡くなりました。(So it goes.)
ごめんなさい。
少なくても良い人生でした。
それを聞いてほっとしたわ。
はい。
ビリーの父親も亡くなったのよ。(So it goes.)
男の子には父親が必要ですね。
…というような会話が、お祈り好きな女性と、空虚な男との間に繰り広げられたのでした。
ビリーの母は、ビリーは検眼医科の教授の娘と結婚する、と、ローズウォーターに話します。
ビリーが再び目を覚ますと、捕虜収容所のベッドの中。脇にはかわいそうなエドガー・ダービー。すると今度は少し未来のダービーの姿が…それはドレスデンの瓦礫の中、銃殺隊の前。4人の銃殺隊のうち、1人は空のカートリッジを充填していました。
医者代わりのイギリス人の大佐がビリーの様子を見に来て、ダービーと言葉を交わします。この2人以外は皆、髭を剃ったそうです。ダービーは45才、大佐は43才、髭を剃った若い兵を見て、大佐は、この戦争は大人がやっているとばかり思っていたが、戦っているのは赤ん坊だ。子供十字軍だ、と言います。
ダービーは、イギリス人大佐に、どうやって捕虜になったのかを話しました。彼らの部隊は木の茂みに追いつめられ、敵から砲弾やナイフや釘やカミソリを雨霰のように浴びせられ、味方の多くが負傷したか命を落としたと言います。(ビリーはそれを聞きながら、地球人が他の地球人を抹殺したい時は恐ろしい天候を作り出すもんだと思ってます)ドイツ兵が、頭に手を回して出てこい、さもなくば全員死ぬまでまた攻撃するぞと言ったので、出て行ったとの事です。
ビリーはまた戦後の病院に戻りました。母はいなくなり、婚約者のバレンシア・マーブルがいます。彼女は検眼医科の教授の娘で、お金持ちでしたが、食べる事を止められない太った女の子で、今も三銃士キャンディをほうばってます。彼女は日本式に言えば牛乳瓶眼鏡をかけていて、指には大きなダイヤの指輪。実はこれはビリーがドイツで得た戦利品です。しかし、ビリーの病の原因は彼女にもありました。
彼女は何か欲しいものは?と聞きますが、ビリーは隣のローズウォーター氏から好きな本をいくらでも借りられるので何もいらないと答えます。
ローズウォーターが読んでいたのは、Kilgore Troutの、The Gospel from Outer Space
。宇宙からの訪問者が、キリスト教とは何故残酷になれるのか、を、問う話で、彼は新約聖書の記述が原因ではないかと結論。ゴスペルは最も身分の低い者にも慈悲を与える事を教える物だと考えます。しかし、実はゴスペルは「誰かを殺す前にそいつが良いコネを持ってない事を確かめろ」と教えています。
訪問者は、キリストについても物語の間違いは、人々は誤った人をリンチした、良いコネを持ってない人達をリンチすべきだったと思います。
訪問者は、キリストは誰でもなく、神はただの路上生活者を義理の息子にしたと歌うゴスペルを地球人にプレゼントしました。