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趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

Murder Wears a Cowl:ひとやすみ

2013-09-15 11:32:36 | Athelstan・Doherty
Murder Wears a Cowl (A Medieval Mystery Featuring Hugh Corbett)Murder Wears a Cowl (A Medieval Mystery Featuring Hugh Corbett)
価格:¥ 1,087(税込)
発売日:1993-04-01

本が厚くなって2冊目。とても楽しんでます。
話もいよいよ中盤,起承転結の転が始まった所。次の章ではコーベットがフランスのスパイ(コーベットは認めてないけど旧友かも(笑))ドゥ・クラオンに会いに行って,話を聞いてきます。

さて,ドハティ小説のお約束では,もう既に犯人は登場しています,が,今回ちょっと登場人物が少ないですね。果たして簡単にわかってしまうのでしょうか?(⌒-⌒; )

実は,コーベットが知らず,読者が知っている事があります。犯人を目撃したアグネスです。彼女は友人イサボーが殺された時,犯人(おそらく娼婦連続殺人の)に会ってますね。アグネスは,この犯人の事を「holy」な人物と言ってます。holyと言えば,まず思い浮かぶのは聖職者ですね。しかしアセルスタンならともかく,今回登場している聖職者は,皆僧衣に食べ物のシミが付いてる,堕落した生臭坊主ばっかりなので,彼らの中の誰かとは考えにくいですね。また,ロンドン市の捜査官ケイドの事を,娼婦がholyとは言わないでしょう。(別シリーズで言うとアセルスタンはholyだけどクランストンはちょっとちがいますよね)しかもアグネスは,これを相談するメッセージをウェストミンスター寺院に送ってます。読んだ当時は何故?と思いましたが,もしアグネスが見たのがマーサの姉妹のメンバーだったら?とすると,しっくり来ます。ケイドはとりあえず,連続殺人の犯人ではなさそうです。

しかし,アグネスのメッセージはウェストミンスターに届く事はありませんでした。あの不真面目な小姓のせいですね。で,ここが謎なのですが,メッセージが届いてないのに,彼女の「benefactor」から,教会に来るようにと「返信」が来ます。おそらく,彼女はウェストミンスターに出したメッセージへの返事と勘違いしたんですね。犯人はアグネスのbenefactorの名を語ったのでしょうか。犯人がいつもと違って娼婦の自宅へ行かなかった理由は,後でコーベットが言ってますが,犯人は,娼婦が自室へ入れるほど信頼できる人物,なのですが,アグネスはもうその人物を犯人と知っているので,自宅へ行くわけにはいかないのです。

で,連続殺人の犯人はおそらくマーサの姉妹のメンバーでしょう。高級娼婦ばかり狙う,女性の大事な所を切り取ってしまうほど娼婦を憎んでいる動機も,身分の高い未亡人なら,堕落した修道士や市の捜査官よりよほど自然に理解できます。

ではサマービル夫人の事件はどうなのでしょうか? 彼女の事件は5月11日ですが,13日にはいつものように娼婦連続殺人が起き,イサボーが犠牲になっています。もし連続殺人と関係があるとして,犯人が,サマービル夫人に何かを知られてしまったとして口封じを狙ったのだとすると,随分忙しい事になりますね。またこの場合はメアリー・ネビルが疑われます。実はコーベットシリーズには,コーベットやラナルフが心を奪われるような美しい女性が犯人というパターンが結構あるので,この線は有力です。
でも,連続殺人とは全然関係ない説もありますよ。僧衣纏っても僧に非ずとは,僧衣を着ている人が必ずしも僧ではないとも言えますが,僧衣着た坊さんでありながら坊さんとは思えない事をするという意味にも取れます。彼女はウェストミンスターの僧達の良からぬ行いを見て殺されたのかもしれません。ただし,ラグワートの証言によれば,犯人は彼女の知り合いで,信頼されている人物です。ってか,それは読者も皆知ってます。果たして,食いしん坊の修道士の中にそういう人がいるのでしょうか?


ベネディクト神父の事件は,手口が全然違うし,何より,他と違って男性を狙った事件だし,娼婦連続殺人とは異なるように思えます。

…という事で,結論出ませんが(わからなくなったので勝手にまとめます(笑)),後半見守って行こうと思います。


Run!Run!Run!