シャープのスマートフォンが、客室備え付けの無料スマホ「handy(ハンディ)」として、サービス開始から半年強で、23万台を納入しているという。日本のホテルの全客室数が約87万室だから、半年で4分の1強のシェアを取ったことになる。都内のホテルに限れば、6割にも達する。

普及した理由は宿泊者にとっての利便性。国内電話のみならず、中国や米国など一部の国ながら国際電話も無料でかけられる。滞在中にホテルの外に持ち歩くこともでき、地図や動画を見たり、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に投稿するなど、インターネット接続も無料だ。アンドロイドユーザーなら、滞在期間中に自分のスマホと同じアプリをダウンロードして使うことも可能だ。

 ホテル側にとっては、レンタル料金が掛かっても、ハンディを導入していることが外国人客に対してアピールしやすいというメリットがある。ロイヤルパークホテルを皮切りに、リッチモンドホテルズやホテルオークラ東京、京王プラザホテル、変なホテルなどがすでに導入している。

このサービスを行っているのが、ハンディ・ジャパン。ハンディは香港のベンチャー企業、ティンク・ラボが2012年に立ち上げたもので、台湾の鴻海精密工業グループがこの会社に出資し世界展開を始めたことで、鴻海の傘下に入ったシャープにもチャンスが巡ってきた。

ハンディ・ジャパンのビジネスモデルだが、1台当たり月額980円のレンタル料金と広告収入で収益を稼いでいる。「国際電話では米国や中国などの回線をバルク(大量)買いしており、宿泊客から料金を頂かなくても採算が取れている」(野本歩・ハンディ・ジャパン・チーフマーケティング・オフィサー)という。盗難の問題もさほど深刻ではなく、先行する香港でも3%弱。宿泊客の名前や住所などを把握している上、GPS(全地球測位システム)でスマホの位置情報検索ができるから東南しても盗人の素性が分かりからだという。

 

ホテルにしても月額980円レンタル料なので、気楽に導入できて顧客も喜ぶと言うことで、大躍進。発想次第で世に役立つビジネスができるということか?