明日は明日の風が吹く

60にしておひとりさまに。
この先、どんな人生になるのやら?

地の底から這いあがった気分

2024-03-20 | ひとりごと
2月、インプラントにするべく歯科でCT を撮った時、
「左の副鼻腔(上顎洞)に影が写っている」と指摘された。

副鼻腔は空洞なのでCT画像では真っ黒に写るのが正常なのだが、
私の画像は左側だけグレーにみえる。
「この時、風邪引いてました?」「いいえ」
グレーに見えるのは何か液体状のものが溜まっているかららしい。
「鼻水鼻づまり、ありませんか。顔が痛いとか」
「顔が痛い? え?」
「ふーむ。抗生剤3日分出しておくので飲んでみてください」
「副鼻腔炎ですか? 耳鼻科受診したほうがいいですか?」
「そうですね、ハイ」

というような会話があり・・・。

抜歯が済んで少し落ち着いたころ、そうだ耳鼻科に行かなくちゃと思い出した。
近くの良さそうな耳鼻科に予約を入れ、受診したのが2月末。

生まれて初めての耳鼻科受診。
鼻の奥まで器具を突っ込まれ、内視鏡も突っ込まれ・・・
「赤ちゃんでも痛くないですよ」とか言われたら痛くてもガマンするしかない^^;

「鼻の中は何もないね、きれいです」
でしょ。低くて丸いが、アレルギーも花粉症もない、機能的にはよくデキた鼻っすヨ。

「でも副鼻腔には何かおできのようなものが出来ている可能性ありますね。
 良性だけど放っておくと悪性になったりするかもしれないから取らないとね。
 こちらでもCT検査やりましょう」
腫瘍というワードは刺激が強いからおできなんて言い換えてるわ、
と漠然と思った私。そんなものが本当に出来ているとは到底思えないが。
ちょっと不安な気分になる。取るって手術ってことよね。イヤやなぁ。

クリニックでは検査が出来ないので、検査専門の診療所に行かなくてはならない。
幸いにも2日後の予約が取れた。
2日後、検査結果のCDを持って、再度耳鼻科を受診。
CT画像を見ながらDr.が説明する。
「歯医者さんの言う通りこっちだけ影がありますね。
 うーん、このへんだけ骨の厚さが分厚いから、骨の内側の粘膜に沿って薄く平べったい何かが・・・」
げっ、何それ

「昔は大変だったけど今の手術は鼻から内視鏡入れて出来ますから。
 日帰りでやるところもあるけど私は入院してもらって全身麻酔でやります。
 術後の管理が大事なので。ご希望なら阪大病院も紹介出来ます」
ちょ、ちょっと。ちっとも大丈夫じゃない。

「良性ですから。ガンじゃない」
なんでそう言い切れるんですか!生検しなきゃそんなことわからない、と言いたかったが、
そんな気力はなく、むしろその良性という言葉にすがりたい気分。
でもなんでこうなる?どういう話の急展開? なんで私が!?

「MRIもやりましょう。もっと詳しくわかります」
大抵がCTの次はMRI。だったら最初からMRI にしといてよ、と思う。
こちらは予約がたくさん入っていて検査日が3月中旬まで取れなかった。
そして結果を訊くのがまた一週間待たされて、やっと昨日のことだった。

この3週間の長いことと言ったら。
どんどん自分がネガティブ思考になっていくのがわかる。
何も食べたくない。何を見ても面白くない。
もし本当に腫瘍が出来ていたら、もし悪性だったら、
手術は痛いのか、どれぐらい入院するのか、費用はどれぐらいかetc.
エンディングノートを書かなくちゃ。
子どもたちに知らせる?息子はもうすぐアメリカだし、悪いことは言えないし。
孫たちが大きくなるのをあと何年見られるのかな・・・。
でもうちはガン家系じゃない、死ぬなら頭か心臓のはず、これは違う。
何が出来てるのか知らんけど、切ればいいんでしょ切れば。
なんぼでも切ったろうやないかい。最後はもう開き直った。

で、昨日のこと。診察室に入るなり、
「何もできてないですよ、よかったですね。MRIではっきりしました」

はぁー? 何も出来てないんですか?手術しないでいいの? 
何やのンもう~。はぁ~でもよかった~~。




検査報告書の所見には
「積極的に腫瘍や真菌症を考える所見は指摘できず、慢性副鼻腔炎による変化として説明可能」
「軽度の慢性虚血性変化(+)、頭蓋内に明らかな急性期病変や悪性病変(-)」
と書かれていた。

慢性副鼻腔炎との診断だが、何の自覚症状もない。
鼻汁も鼻詰まりもない。歯科でCTを撮らなかったらいつまでも気づかないままだろう。
「しばらくお薬飲んで様子を見ましょう」
「でも先生、腫瘍があるとおっしゃいましたよね。骨に沿って平べったいのがあると」
「かもしれないと言っただけで」
「ほんとに何も出来てないんですね。手術しないでいいんですね」
「薬飲んでも悪化したら手術するかもしれませんよ」

ゼッタイ見間違えたとは言わないのね (-"-;) 
散々怖いこと言ってくれたおかげでどれだけしんどかったか。
でもまぁ見方を変えれば慎重派。さらっと見落とす医者よりはいいか。

ということで、新しい病をひとつ得てしまったけれど、
今は地獄から生還したような気分であります。
MRIってすごいね。