風の数え方

私の身の回りのちょっとした出来事

ポンポンいかだ(3)

2006年02月08日 | 静岡
最近、ポンポンいかだの音を聞いていない。
ふと気がついたのは数日前だった。
最後に音を聞いたのは、姿を見たのは……はっきり思い出せない。
去年の秋ごろだったろうか。



子どものころから、私は巴川を行くいかだを「ポンポンいかだ」と呼んでいる。
本当はなんという名前なのか、今もって知らない。
父が運転する50ccのカブも「ポンポン」と言っていたから、モーターで動く物を何でもそう呼んでいたのかもしれない。

巴川を上っていくいかだの行く先も知らず、ただ、いつも目で追うだけだった。
いつかこの船に乗り、川から清水の街を眺めてみたいと思うこともあった。

いかだの姿をずっと見ていないことに気がつき、行く先を調べてみた。
合板会社の貯木場らしいが、木材をこのように運搬する必要がなくなってしまったようだ。
もう、「ポンポンいかだ」は見られない。

時折、外で大きなモーター音が響く。
もしかして、いかだが…と思い、急いで窓を開けると、それは、近くでビルの解体をする重機の音であったり、清水港上空を飛ぶヘリコプターの音であったりする。

いかだは、来ない。
それでも、私は耳をそばだててしまうのだ。

コメント (10)