「俺はもういらんのだよ」
「昔のことを知っている奴はうとましいのだ」
司空裴寂が理由にならないような罪で免ぜられたのは貞観三年のことだった。
僧法雅が妖言を吐き、その言葉を聞いたにもかかわらず上言しなかった。
それが謀叛にあたるというのだ。
寂が謀叛の準備や謀議をしたわけでもなかった。
「太宗は自分の地位が固まったので俺が邪魔になったのだ」
寂と並ぶ唐建国の功労者である劉文靜はとっくに誅殺されている。
「まだ爵位が残っているだけましかもしれん」
寂は一族とともに郷里に帰っていった。
しかしさらに追い打ちがかけられた。
狂人が寂に天命があると言ったといういいがかりである。
「俺がなにをしたというんだ、キチガイがそう言っただけだろう」
しかし太宗は爵位を取り上げ、はるか嶺南に寂を流した。
寂は流地でつぶやいた
「狡兎死して走狗煮らるというのは本当だな」
「命があるだけましかもしれん」
確かに太宗は命までは奪わなかった。
「昔のことを知っている奴はうとましいのだ」
司空裴寂が理由にならないような罪で免ぜられたのは貞観三年のことだった。
僧法雅が妖言を吐き、その言葉を聞いたにもかかわらず上言しなかった。
それが謀叛にあたるというのだ。
寂が謀叛の準備や謀議をしたわけでもなかった。
「太宗は自分の地位が固まったので俺が邪魔になったのだ」
寂と並ぶ唐建国の功労者である劉文靜はとっくに誅殺されている。
「まだ爵位が残っているだけましかもしれん」
寂は一族とともに郷里に帰っていった。
しかしさらに追い打ちがかけられた。
狂人が寂に天命があると言ったといういいがかりである。
「俺がなにをしたというんだ、キチガイがそう言っただけだろう」
しかし太宗は爵位を取り上げ、はるか嶺南に寂を流した。
寂は流地でつぶやいた
「狡兎死して走狗煮らるというのは本当だな」
「命があるだけましかもしれん」
確かに太宗は命までは奪わなかった。