自分勝手なことを、もったいぶってくどくど言いったり、偉そうに言いたてることを「御託(ごたく)を並べる」と言いますが、皆さんのお近くにこのような方はおられませんか?
私が現役の頃は、先輩や上司にこのような人が少なからずいて、辟易したことを覚えています。
そこで今日は言葉について調べてみました。
「御託(ごたく)を並べる」の御託とは、ご託宣を省略した言葉で、ご託宣とは託宣の尊敬語、託宣とは、神が人に乗り移り、または夢などに現れて、その意思を告げ知らせることです。
神のお告げの話をする人は偉そうな態度に見え、その話はもったいぶって長々と続くことから、御託(ご託宣)は傲慢でくどくどと言う意味になったそうです。
そして「並べる」は「文句を並べる」のように「次々に言う」「述べたてる」と言った意味で、その長さに辟易したところから、自分勝手に長々としゃべる様をいうようになったそうです。
なお、勝手なことを言って暢気にしていることを「太平楽(たいへいらく)」と言いますが、これは雅楽の曲で、いかにも悠長な曲に聞こえることから生じた語であり、また、よどみなく長々としゃべり続けることを言う「長広舌(ちょうこうぜつ)」は、仏の三十二相の一つ、「広長舌」(大きな舌)が変化した語と言われています。
御託(ごたく)も太平楽(たいへいらく)、そして長広舌(ちょうこうぜつ)もしゃべっている本人は得意満面の気持ちでしょうが、聞かされている人たちにとっては有難迷惑な面がありますね。
(参考)
「仏の三十二相」とは、仏が備えているという32の優れた姿・形を言います。
即ち、手過膝(手がひざより長い)、身金色、眉間白毫(みけんびゃくごう:光を放つと言われる白い毛)、頂髺相(ちょうけいそう:頭頂に隆起がある)など。