割愛する
「割愛する」と言う言葉があります。
この「割愛」と言う言葉を皆さんはどのように使われているでしょうか?
平成23年度に文化庁が行った「国語に関する世論調査」に、この言葉の意味についての質問があったので、今日はその結果をご紹介します。
平成23年度に行われた文化庁の調査の中に「割愛する」とは、どちらの意味だと思うか?という質問に対し、調査結果は次のようになっていました。
本来の意味である(イ)と答えた人の割合17.6%で、本来の意味ではない(ア)と答えた人が65.1%と、圧倒的に多かったそうです。
割愛する例文:説明は割愛した。
(ア) 不必要なものを切り捨てる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・65.1%
(イ) 惜しいと思うものを手放す・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17.6%
(ア)と(イ)の両方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.7%
(ア),(イ)とは全く別の意味・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.3%
分からない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12.3%
「割愛する」とは、本来は【惜しいと思うものを手放したり省略したりする】で「不必要なものを省く」ことではではありません。
元々は仏教語で「悟りを開くために邪魔になる愛着やこだわりを断ち切る」ことから来ているのだそうです。
「愛着を断ち切る。恩愛や煩悩を捨て去る。」「惜しいと思うものを思いきって捨てたり、手放したりすること。」即ち、愛着が割かれることが「割愛」のもともとの意味ということです。
従って、ただ単に「省略する」という意味ではなく「本当は省略したくないのだが事情により残念ながら省略せざるを得ない」というニュアンスになります。
例えば「(結婚式の披露宴で)その他多数の祝電を読むのは割愛させて頂きます」とか「(会議で)この説明は割愛します」などと使われていますが、結婚式の祝電の披露や会議の説明を省略するものを『惜しい』と思うか、それとも『不必要』と思うのか、人それぞれだと思いますが、それによっては(イ)であったり、この調査結果のように本来の意味でない(ア)であったりするかもしれませんね。