若い人でも「ひょんなこと」と言う言葉を使用するのでしょうか?
私はよく使いますが、今日はこの言葉について調べました。
「棚からぼたもち」とか「ひようたんから駒」というように、想像もしなかったことから、思わぬ場面が展開することがありますが、そんなことを、「ひょんなことから」とも表現しますよね。
この「ひょん」という言葉は、古語の「ホヨ」あるいは「ホヤ」に由来するそうです。
「ホヨ(寄生)」や「ホヤ(寄生木)」は、ほかの樹木に寄生して生長する「やどり木」の古名のことです。
古代の日本では、「やどり木」は信仰の対象とされていたようで、大伴家持が天平勝宝2年(750年)正月2日に行われた宴の席で「ホヨ」を詠んだ歌があります。
「あしひきの 山の木末(こずえ)の ほよ(寄生)取りて 挿頭(かざ)しつらくは 千年寿(ちとせほ)くとそ」があります。
訳:あしひきの(枕詞) 山の梢の 寄生木(やどりぎ)をとって、髪に挿すのは 千年の長寿を祈っての気持からなのだ。
この時33歳だった大伴家持も、ホヨ(寄生)に強い生命力を感じて、長寿を祈るこの歌ったものと言われています。
やどりぎは冬の間にも鮮やかな緑色なので、万葉の人々は強い生命力を感じ、尋常でない力をもつ木としてあがめられていたようです。
その不思議さがやがて「意外な」、「妙な」、「突飛な」という意味でも使われ、形も「ヒョン」と変化して、「ひょんなこと」になったと言われています。