今日も文化庁が作成している「ことば食堂」の動画からご紹介します。
今日ご紹介するメニューは5月15日に公開された第3話「敷居が高い」です。
「敷居が高い」の意味について、皆さんはどちらだと思いますか?
(ア)相手に不義理などをしてしまい、行きにくい
(イ) 高級過ぎたり、上品過ぎたりして、入りにくい
先ず、動画「敷居が高い」の内容からご紹介します。
飲み会の予約している高級料亭の前で、大学時代の友人の会話です。
動画では、先着した一人が料亭の看板を見て、以前この店で不義理をしたことから「敷居が高い」と独り言を言っているところに、二人目の友人が現れ、彼は財布の持ち合わせがないことから高級すぎて「敷居が高い」と言い、会話が噛み合わないという内容でした。
「敷居が高い」の「敷居」は家の門や玄関、部屋の出入口などの引き戸や障子、ふすまなどを開け閉めするために床に設置される溝のついた横木のことです。
ある場所に行きにくい、入りにくい気持ちを「敷居が高い」という言葉で表現することがありますが、この言葉は、もともと不義理や面目の立たないことがあって、その人の家に行きにくいという意味で使われているものです。
広辞苑にも、「不義理または面目ないことなどがあって,その人の家に行きにくい」「敷居がまたげない」と説明しています。
この言葉を、平成20年度の「国語に関する世論調査」で「あそこは敷居が高い。」という例文を挙げて,「敷居が高い」の意味を尋ねたところ次のような結果だったそうです。
(ア) 相手に不義理などをしてしまい,行きにくい・・・・42.1%
(イ) 高級過ぎたり,上品過ぎたりして,入りにくい・・・45.6%
(ア)と(イ)の両方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10.1%
(ア),(イ)とは全く別の意味・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.3%
分からない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.9%
調査結果からは、40代を境に,50代以上では本来の意味である「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」を選んだ人が50%を超えていますが、30代以下では「高級過ぎたり,上品過ぎたりして,入りにくい」を選んだ人が70%以上と多くなっているそうです。
現在は,本来の意味から「不義理や面目の立たないことをしている」という前提となる理由の部分が欠け,その家に入りにくい,という結果だけを残して用いられているようであり、その使い方が変わってきているということです。