三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

氷柱のあるなし

2012年01月18日 06時52分34秒 | Weblog





青森から帰還いたしました。
札幌ははるかに雪が少ないなぁと実感いたしております。
きのうも書きましたが、やはり北海道の都市としては
岩見沢が積雪の代表選手のようですね。
まぁしかし、青森の雪の多さは半端でない。

なんですが、見慣れた雪景色なんだけれど、
北海道で見ている住宅街の雪景色とはどこか違う?
って、気付いたのが「氷柱」であります。
北海道も雪は多くて寒いのだけれど、
最近住宅街を見ていると、ほとんどみかけなくなったのが氷柱なんですね。
まぁ、たまには非住宅の建物で「おおお」というようなのを
見かけることがあるくらいで、
一般住宅ではあんまり見ることがない。
ところが、青森の市内ではむしろ、氷柱が出ていない建物の方が少ない。
印象で言えば、北海道の40年前くらいの風景が展開している。
そうですね、わたしがまだ子どもの頃のような雰囲気に近い。
当時、除雪が追いつかない道路では
歩道は消えてしまっていて、うずたかく積み上げられた雪山の尾根を
子どもたちや、歩行者は歩いていたんですね。
道路脇の雪山から滑り降りるのもひとつの楽しみでもあった(笑)。
まぁだんだんクルマの通行量が増えて危険になっていったのですが。
青森の市街を見ていると、
そのころのことがオーバーラップしてくる。
巨大化した氷柱がいまにも落下しそうな形相で迫ってくる。
まぁ、住宅性能の基本のような話なんですが、
断熱気密がしっかりしていない建物では、室内の暖房熱が屋根面を温め、
雪が融けて、その水分が屋根端部で氷柱を形成するのですね。
すがもりと言って、その水分が建物内部に滞留するようになると
(ってそれが普通なんですが)
建物構造材が腐食していくことになります。
構造の劣化スピードは加速が付いたようになっていく。
北海道が、そこからなんとか抜け出したいとやってきたことが
そのまんま、現代、今、残っているのが現実の東北や北陸、信州や
北関東、中部高地地方、九州北部、総じて日本海側地域、寒冷地日本の現実なのですね。
いや、全国どこでも同じかも知れない。

こういうごく単純な住宅性能のイロハすら、
一般のみなさんはもとより、住宅事業者が無理解であるのが現実なんですね。
ある本州系の「ログハウス」屋さんが北海道に支店を出して
パンフレットを作っていて、その表紙に
自社施工建物の屋根端部の氷柱を撮影した写真を掲載して
「北国らしい風物・・・」というように宣伝していたのを仰天して見た記憶があります。
またある建築家が、やや寒冷地に建った自分の建築作品に氷柱ができるのはどうして?
と、わたしに聞いてきたこともあります。
無理解なんですね。
一般ユーザーは本来知らなくてもいいことだとは思うのですが、
しかし、一般のみなさんも自分の「資産」についてのことですから、
そういう認識は持つべきでもあります。
こういう環境の中で、長期にわたって耐久性を持った建物は
どのように普及させるべきなのか?
道遠し、という実感を持たざるを得ませんね。
コメント
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