三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

開口部の素材

2012年01月23日 07時33分44秒 | Weblog




北海道にいて、全国の住宅見るようになると
その違いはなんだろうかと考えるようになります。
で、そういうなかで一番大きな違いは、日本家屋の伝統的素材である
「紙」が北海道ではほとんど見られないこと。
まぁ、建具文化というモノ自体、
全国的にも衰退しつつあるようにも思いますが・・・。

しかし、障子などに使われている様子を見るに付け、
こういう繊細な感受性は、生活のシーンで日本人の心情に多くの影響を
与え続けてきたのではないかと
そういう風に思われてきてなりません。
紙のこうした建材は、たぶん、明治以降、
窓に透明のガラスが出現したことで、急速に衰退していったのでしょう。
実用と言うことで考えれば、
紙による建具の表装というのは、
風を通さずに、光を通したいという欲求から生まれてきたものなのでしょうね。
ガラスというモノ自体は江戸期にも知られてはいたでしょうが
それを住宅にふんだんに使うと言うことは想像も出来なかったのでしょう。
日本に洋館が建てられるようになって、一番変化したのは
窓のガラスだったのは必然の流れで
それを押しとどめようという考えはほとんどなかったに相違ない。

でも、この写真は宮城県のある古民家でのものですが、
建具の桟の繊細な格子模様が織りなす日本的デザインの「ゆりかご」感、
っていうようなものが感受されます。
子どもの頃、夢うつつにこうした格子模様を知らず知らずに眺めていて
タテ横ナナメと、頭のなかで繰り返し、なにかの
思考動作を繰り返していたように思う。
日本人が算数に強いのは、こういうエクセル的な格子模様を
生活の中で常に見続けていて、
それが習慣性になって、数学的な把握力が知らずに向上したのではないか、
そんな妄想を抱き続けていた記憶があります。
まぁわたしは、どちらかと言えば算数的素養は育たなかったのですが(笑)。
こういうデザインが日本の家屋からどんどん失われていくことに
やや、寂しさを感じ続けております。
コメント
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