1カ月ほど前だっただろうか、
ふとBSのNHKを見ていたら、中国地方の放送局制作の番組を流していた。
話題は、神楽のブームについて。
広島県や島根県など、中国地方一帯では
たくさんの「神楽団」が組織され、それが維持され続けていて
今日でもたくさんの神楽の奉納が続けられている、
というローカルな話題。
北海道にいたら、およそこうした「民俗」とは縁遠い生活。
そもそも百年と言わず、十年前にお隣さんはどこに住んでいたか、
お互いにまったく話題にもしないし、
そういう他者への深い興味など、迷惑がられるだけで、
ましてやそうした関係性を土台にした「祭り」というものが
成立し得ないような、クールな現代性が支配的。
このことは、明治以降の社会において
北海道と東京が先導するようにして
日本一円に広がっていった「希薄な社会関係性」の拡散だったのだと思う。
それに対して、
現代の今日社会で、なお、神楽を中心とするムラ共同体的な関係性への
希求が存在している、ということに素直に驚きを持つ。
どんなものであるのか、見てみたい。
そういった思いが募っておりました。
なので、新住協の総会がことしは広島で行われると聞いて
矢も楯もたまらず、「神楽」の公演日程を探しておりました。
しかし探すまでもなく、インターネットの検索で「神楽」と入れるだけで、
すぐに探し当てることが出来ました。
ちょうど、2日土曜日、正午頃から真夜中23:00ころまで行われる
「第33回中国地方選抜神楽競演大会」という大会のことが検索できました。
それも、開催場所は戸河内ふれあいセンターという
広島からは小1時間ほどクルマでかかる山村。
そんなローカルな場所で、こういう大会が開かれるというのです。
「民俗」好きなこころが強烈に刺激され、
毎日、指折り数えて待っていた次第であります(笑)。
いや、すごい。
いやはや、なんともいえずにすごい。
まずは、その大会のパワーに圧倒されますです。
小さな山村の小学校の体育館のような建物に
まぁざっと500人以上は集まっていたでしょうか。
みんな座布団を持参して、食べ物のいっぱい詰まったクールボックス持参で
家族連れで、ワイワイがやがや、こどもたちはハネ転び回っている。
まことに人間社会のにぎやかさそのものの会場風景。
そういったなかに、
凜とした空気を充満させる、舞や笛・太鼓。
「どんなものか」というような物見遊山、冷やかし半分のようなものは
あっという間にきれいさっぱり消し飛んで山の彼方空遠く。
グイグイ引き込まれて、時間が経つのが惜しい惜しい。
もう帰りたくない。
そんな気分にさせられてしまったのですが、
まさに断腸の思いで、次なる憧れの地、
出雲大社めがけて移動せざるを得ませんでした。
演目で見られたのは4つほどでしたが、
さっそくDVDを購入させていただいて、
民間の素人神楽団のみなさんの熱演ぶりを観賞したいと思います。
民俗としての、神楽についてのお話しは
また次の機会に、というか、明日以降に書きたいと思います。
まずは、その感動さめやらぬ思いをお伝えいたしました。