さて、今回の出張のメインは
新住協総会への出席であります。
新住協という組織は、北海道の工務店グループが
在来木造という標準技術の中で、高断熱高気密という住宅技術を
どのように具体的に工法開発すべきか、
その実践的手法の研究開発のために、室蘭工大の研究者である鎌田紀彦教授を
先導者として、一連の運動として取り組んできた組織。
そういった過程で、気密化についての手法を開発し、
意味のある断熱工法技術を開発し、世に広めてきた。
北海道で取り組み始めた、室内温熱環境のコントロール可能化技術が
徐々に東北に浸透し、さらに南下の様相を見せてきた。
いま、さまざまなエネルギー問題が噴出する中で
そうした問題への根本的な対策としての「断熱重視」技術が
暖房効率対策からスタートしながら、いまや、
「暖冷房」の総合的な環境エネルギー対策の切り札になってきている。
それが、新住協組織がどんどんと「南下」している現実として結果している。
昨年の京都に引き続いて、ことしも総会が広島で開催されたのは
このことをよく証立てていると言えるでしょう。
そういった現実を踏まえて、
ことしの鎌田教授の基調講演においても、
冷房負荷の削減、全館冷房の基本的方向性が明確に打ち出されていました。
これまで主に寒冷地において研究開発されてきた住宅技術をベースにして
蒸暑地域でも、本格的な研究開発実実践が開始されます。
具体的な手法はすでに開発されており、
それをどのように実態としての工法技術に高めていくのか、
実証的な段階に立ち至ったということが出来るでしょう。
まさに「寒さ・暑さ」から人間を守る住宅、というものに
大きな目標が定められてきた、というように言えると思います。
一方で、鎌田紀彦室蘭工大教授の「退官」を2年後に控え
来年の総会は、先生の研究の主要舞台であった室蘭で行われることが決まりました。
いずれにせよ、やはり現代の日本の住宅技術の主軸が
この新住協運動であることは明らかだと思います。
その動きがさまざまに波及していって、
日本全体の住宅の流れというものが決定していくのではないか。
そういった印象を強く感じた総会であったと思います。
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