ここのところ「里山住宅博inつくば」での住宅取材記事を連発。
やっぱり住宅をウォッチして感じたことを書くのが楽しい。
またあした以降、つくばでのいろいろな住宅取材記を書きます。
本日は、別の自然観察テーマ。
札幌で生きていて、この地の自然の呼吸感、空気感を愛している。
個人のそういう体験のなかでも1、2を争うような「イベント」が
北海道神宮周辺、円山自然林のなかのオオウバユリの開花であります。
別にこのオオウバユリたちはわたしが「丹精」込めて
育成しているものではない。
けれど、それをはるかに超えて実感としての
「共生感」をわたしに与えてくれる存在だと思っています。
オオウバユリはアイヌの人たちのいのちを支えてきた
貴重なデンプン質をその根で涵養している存在。
いわばアイヌ民族のソウルフードでありますが、
湿気のある森の中で群生しているたたずまいは、
まるでこの地域の自然のなかの「森の妖精」とでもいえる印象。
花芽がにょっきりと顔を出し、それが大きく膨らんでいき、
ちょうどこの時期に花芽が大きく重たげに分枝する。
その様子は、まるで小さな妖精たちがその愛らしさで
ひとびとを誘い込むかのようなのです。
この時期、ちょうど夏の空気感がこの地を覆う。
北海道は比較的に大陸的な乾燥感が感じられるのですが、
そういうなかで湿潤な空気感をたたえているのが、
このオオウバユリの存在だと思っています。
この円山の自然林は、明治の開拓初期に「開拓技官」として
北米マサチューセッツなどから来訪してくれたアメリカ人たちが
その貴重な「原始の森」を自然公園として保存してくれたことに始まる。
それがそのまま、北海道総鎮護の森としての北海道神宮と連なって
いまでは190万人都市さっぽろの「静謐な秩序観」の中心に位置する。
東京で言えば「皇居の森」に相当するような存在。
たぶん、日本人の心性のなかにこの「静謐な秩序観」への帰依がある。
こういう存在を意図し、存続させてくれたエトランゼたちの
深い思いに感謝したいといつも思っています。
さて、オオウバユリたちのいのちの躍動は
まだまだこれからの「開花」というクライマックスにつづく。
心躍る日々であります。