三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

坪庭

2007年11月26日 05時43分19秒 | 住宅取材&ウラ話

最近では北海道の畳敷きの部屋数って、
さらに減少しているのではないか、と思われますが、
それにともなって、和風の外部装置、たとえば写真のような坪庭も
実際には大変少なくなっているだろうと思います。
この家は宮城県石巻市で、冬場、寒いけれど雪は多くはない地域。
まぁ、全国的な傾向でもあるとは思います。

確かに写真のような坪庭って、
雪がたくさん降って、しかも凍結したり
屋根からの落雪がうずたかく堆積したりした状態では
どのように保守管理すべきか、見当も付きませんよね。
丸ごと雪囲いするしかないでしょうね。
そういうメンテナンスがユーザーになかなか受け入れられない。
でもやはり、こういう坪庭って、日本人的な文化。
なんでもミニチュア化させてしまうミクロコスモスの世界とでもいえる。
石と竹、縄、植栽というような単純な構成で、
自然を取り込む感覚は、われわれの祖先の感受性の豊かさを表している。

こういう坪庭を見ていると、独特の時間が流れていて、
これは「つくばい」だと思われますが、
たとえば鹿威し、もしくは添水(そうず)と呼ばれる
水を竹に溜めて一杯になったら水を落とすと同時に音を鳴らす装置など、
まことに水と緑の豊かな国土性を表してもいる仕掛け。
一定時間を定めて水が満ちるさま、落ちるさま、
その背景の石と緑という素材感を愛でる。
こういう単純な装置で、記号のようなワンセットになっているのだと思います。
こういう文化性ってすごいものだと実感します。
なんでも矮小化させる盆栽のような文化って、
江戸期の都市生活者たちの自然への思いが生み出したものだ、
という説を聞いたことがあるのですが、
実に創造的な国民性を表現したものではないでしょうか。
暮らしを精一杯に楽しもうという思いが伝わってくるような気がします。
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