三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

公園の樹を、わが家の庭木に

2007年05月05日 05時22分07秒 | 住宅取材&ウラ話
写真は、2年前くらいに取材した家。
設計者はこの写真のこんもりとしたヒバとおぼしき公園の樹木を
格好の借景と考えて、設計していることが明瞭でした。
こういう常緑樹は、葉っぱが冬になっても落ちないし、
そのうえ、公園に繁っているのでまず、切られる心配はない。
ということで、この緑をいかに室内空間に取り込むか、が
最大の設計ポイントです。
まるで、わが家の庭木感覚で設計意図に取り込めるんですね。
しかも、管理に要する費用は公共が負担してくれる。
こんないいことはない(笑)、っていうようなプランニングですね。

まぁ、公園に面した家って、だいたいは
こういうような考え方ができるわけですが、
やはり、樹木との配置関係をよくわきまえて設計しなければなりません。
一方で、公園なのでいろいろな視線にさらされたり、
迷惑な騒音などの問題も発生する可能性はある。
わたしの散歩道でも、途中、そういう問題で困っているような家も散見されます。
この家の場合は、主な生活空間を2階にもっていって、
不必要な外部からの視線を遮っています。
そうすることで、大きなピクチャーウィンド開口を取っています。
その窓のガラスも、三重ガラスなどを使えば、
室内側からの眺望には問題はないけれど
外部側からは、内側を見通しにくくする配慮も可能になってきます。
三重ガラスの場合、光の屈折作用が大きくなるんです。
わが家では、大きな三重ガラスサッシを使用していますが、
新築当初、よく、この屈折作用で、
野鳥が、ガラスに映り込んだ景色に錯覚して、
かわいそうにぶつかったりすることがありました。
たいていは気絶で、そのあと、復活してくれるのですが、
一度はそのままで、やむなく家の近くに埋葬した経験もあります。
1階も、防御的な壁面構成で、最低限必要な採光窓という感じ。
こういうような設計配慮を行うことで、
こうした敷地条件を完全に活かした、面白い住まいが可能になるのです。

北海道は、東北以南の他の地域と比較して、
こういう自然条件というか、自然との関係で、
家づくりに活かせるような環境がたくさんあると思います。
よく探せば、こういう面白い眺望を楽しめる家って、都市の中でも作れるもの。
ただし、土地探しのノウハウが一般ユーザーには
想像を超える部分のようなんですね。
このあたり、今後のテーマになるのかなぁ、って考えております。
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