三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

竹垣と和の庭

2006年09月10日 06時20分53秒 | Weblog

会津からちょっと離れて、秋田での取材。
ちょうどごく和風にしたい、という施主さんの希望に添った住宅で、
庭も、たいへんステキに造作されていまして、感嘆。
よく竹垣って、見ますけど、最近のものはプラスチック製で、
見た目だけ竹垣風、というものが多いんですけど(笑)
って、よくあるんですよね、最近はほとんどこれです。
この家では、ほんとうに真ものの竹を半割にして、ひもで組み上げている
正調の竹垣にしていまして、びっくり。
工業製品とはまったく違った素材の質感や陰影感が
こちらがわの印象のひだに染みわたって来るような感覚が得られます。
こういう背景的な部分までしっかり本物を使っていくと、
左側写真のように、庭全体が印象の奥行きに違いが出てくるものです。
住宅の内部に入る前に、まずはこの庭ですっかり目を奪われてしまいました。

ご夫婦とも秋田の出身の方で、
和風への強いこだわりがあったということ。
その意味では、庭の造作というのは日本の家の最重要ポイント。
居室側からみる庭は、その家のすみごこちを左右する部分。
内と外の仕分けが明確でなく、外部空間も室内に取り込んでいく
和風住宅の基本に沿って、こころをこめて設えたようです。
ちょうど、会津で大名のガーデニングを見てきたあとだったものですから、
よりいっそう興味深く、親近感を持って拝見いたしました。
やっぱり、一般のサイズのこうした庭にはシンパシーを感じます。
造園自体は、専門の造園屋さんが仕上げてくれたものですが、
毎日の手入れは愛着を持って自分たちがやっていくもの。
いろいろな植栽や、石灯籠、敷石の掃除などのたぐいまで、
こういう手入れというのが、自分たちの精神生活を整えてくれる作用がありますよね。
毎日、居室から眺める庭ですから、美しくしておきたい。
そして、その中で、季節の変化をいろいろな植栽が知らせてくれる。
暮らしへの愛着がどんどん深まっていく。
というような効果があると思うのです。
おのずと、自分たちの生活態度というものも、しゃんと背筋を通していかねばならない、
日本人と家、庭という関係って、そういうものが大きかったと思います。

なんとも清々しい気分にさせていただけたお庭拝見でした。
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