三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【戦争末期のひとびとの思い】

2018年01月21日 08時19分37秒 | Weblog
本日はちょっと住宅ネタをひと休み。まぁ歴史ネタ。
わが家の「断捨離」作業から発見した一葉の写真であります。
わたしが生まれる以前、今から75-6年前の光景。
1942-3年の北海道三笠市での様子です。
母は真ん中に写る祖母のとなりで産まれたばかりの兄か姉を抱いている。
母方の祖母の息子、軍服姿の伯父に召集令状が来て
そのときに、母の実家の前で撮られた記念写真。
こういう写真はたぶん多くの家系で保存されているに違いないでしょう。
明治維新からことしで150年ということで、ちょうど現在までの折り返しに
この写真の時点は相当することになる。
わが家系のひとびとの表情は、その顔かたちに記憶があるだけに
いっそうにその「とき・時代性」を痛切に感じさせてくれる。
幸いにして伯父はこの招集からなんとか命を保って帰還できた。
しかし夫を戦地に送り出す叔母の表情、息子を取られる祖母の表情からは
その空気感がなまなましく伝わってくる。
血縁の人々、男たちの表情にはきびしさが一様に伝わる。
「・・・であれば、次は俺か」と。
しかしそういう時間の中にも、暮らしのよろこびもふつうにある。
長兄を抱いた母は母親としてのよろこびを表情にたたえ、
同様に母の姉の叔母もまた子を誇らしげに抱いている。
戦時とはいえ、ふつうの庶民の暮らしもあったことが伝わってくる。
そんな悲喜こもごもの「生きた証」がそこにある。
背景になったこの母の実家の建築の断片にも深い記憶が残っている。
この「風除室」空間は農家としての土間的空間でもあり、
そこから上がってのストーブのある居間、
暖房を囲んでの空間にも、幼少期の記憶が積層している。

いま、大量の「モノ」の整理整頓、断捨離で
自分が生きてきた痕跡、その断面の無数と向き合っている。
住宅とか家というものと、人間の関係が
さまざまに可視化できる部分があって、ありがたいと思っている。
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【住宅建築は「どう生きるか」投企する機会】

2018年01月20日 07時16分29秒 | Weblog
きのうは地域工務店のグループ・ソトダン21のセミナー・新年会。
ことしはじめての地元住宅関係者のみなさんとの顔合わせ機会でした。
さまざまなみなさんと会話できてたいへん楽しいいっとき。
いま進行中の日本建築学会「地球の声」拡大委員会の件など、
ホットな情報交換もできてたいへん有意義でした。
セミナーでは、旧知のみなさんの発表があってそれぞれに興味深く拝聴。
そのなかでも年代的に近しい山之内裕一さんの発表には
深く頷くような語り口があって、味わい深かった。
やはりある年齢を重ねてくると、家を建てることと人生そのものとが
オーバーラップして感じられるようになってくる。
設計者と同意しながら進める住宅建築、その空間に刺激され、
それがそのまま、生きることに影響があるのではないかという問いかけ。
振り返ればわたしはいまの家に深く生き方への衝動を受けたと思う。
この家で暮らしてきて本当に面白かった。
そんな住体験を持つことは素晴らしい。そのことに気付かされた。

住宅は住む人の人生を左右する。
あなたが住んだ家は生きることを刺激してくれたか?

山之内さんはわたしと同じでブロック外断熱の家に志向性を持ったひと。
いまはあまり建てられなくなった建築だけれど、
わたしはこの荒々しい質感の空間でたのしく生きて来られた気がする。
建ててから27年、変遷はたくさんあるけれど、
あるプライドを持てるということは素晴らしいことだと思う。
若いときフランスの哲学者サルトルの「投企」というコトバに出会った。
なにごとかに自分の生き方をぶつけるというような
そういう鮮烈なイメージを刺激された記憶がある。
家を建てると言う行動は、そのような意味合いに近いかもしれない。
自分自身から出自してくる内面的な衝動が、
家というカタチに有形無形に仮託されていくように思われる。
一度「投企」してしまえば、あとは全力で生き抜いていくしかない。
家づくりにはそんなふうに捉えられる部分が抜けがたくある。
ブロック外断熱の家は、うれしいことに長期耐久性がある。
まだまだ腰をじっくり据えて戦える、そんな実感がある。
楽しい酒を飲むことができた。
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【リフォーム準備・断捨離を楽しくするメルカリ販売】

2018年01月19日 06時34分41秒 | Weblog
「まだ何も売れてないけど」
「いまのとこスキーウェアが一番食いつき、いい…!」
「この値段で売れたら、送料手数料引いて、利益は・・・」
っていうような家族LINEからのお知らせが来た。
わが家のこどもたちはデジタルネイティブなので、
手伝ってくれているわが家のリフォーム前の「断捨離」整理整頓で
大量に出てくる自分たち自身の「想い出の品」類を
最近のnet利用アプリ「メルカリ」で販売する楽しみを見出している。
「メルカリ」は、スマホから誰でも簡単に売り買いが楽しめるフリマアプリ。
これがなかなかのアイデアで、わたしもすっかりハマっている(笑)。
主役は娘であります。
こういう整理整頓には女性的感受性の方が似合っている。
わが家のことはおおむねわかっているので、整理がテキパキ進む。
息子の方は、「よしやるぞ!」と掛け声は良いけれど、
すぐに昔のマンガ本に興味が行って、気がついたら寝転んで読んでいる(泣)。
一方の娘は派手さはないけれど、着々と「メルカリ」販売素材を発掘する。

「売れた( ^ω^ ) 発送した( ^ω^ )」
ほんの数時間後、さっそく売れ始めたらしい(笑)。
その後も、思わぬ品が売れたりして、話題が盛り上がる。
ほかにも売れるモノがあるかもと、全員目の色が変わってくる(笑)。
こういう引っ越しや整理整頓、断捨離はモチベーション維持が難しい。
長年にわたっての生活の結果なので、有象無象の品々に埋没している。
これは処分する、これは保存するという仕分けと移動作業が延々と続く。
根気のいる作業なので、息子のような反応もムリはない。
そういうのに叱咤激励というのも有効かも知れないけれど、
わが家の不要品から価値を生み出す、
それを販売して小遣い程度でも稼ぎ出す、というモチベーションはより有効。
「お〜い、これも売れないかなぁ?」
「そうだね、いいかも。とっといて」
っていうように、ある種の楽しみが生まれてきています。
一応遅くとも3月までにはこの断捨離作業を終わらせて、
いつでも工事着手可能なように準備が必要なのですが、
次から次へと整理箇所、ポイントが出てくるものなので、
お尻が間に合うのかどうか、という進捗状況。
自分自身こういう体験をしてみて、住宅ビジネスとして
「リフォーム」の奥の深さも感じさせられますね。
設計については知り合いの設計者にお願いしているのですが、
依頼している当方が、自分自身のことなので「目利き」が効かない部分がある。
ちょうど首から上の部分みたいで、自分では明瞭に見えない部分が大きい。
というか、リフォームって基本的「建築条件」の変動幅が大きい。
まずは建て主の生活設計の整理整頓が基礎になるけれど、
「新生活での必要最小限のモノの量」という最低設計条件確定にも、
実際にやってみないと分からない部分が多すぎる。

そういう延々たる作業に、この新たな一服の清涼剤・楽しみは、
家族の絆も感じられて、まことにうれしいものがある。
「メルカリ」、なかなか侮れませんよ(笑)。
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【1.29 “地球の声”デザイン拡大委員会@北海道】

2018年01月18日 06時37分00秒 | Weblog


日本建築学会「地球の声」デザイン小委員会と北海道の建築界との
やりとりが続いていますが、今月末1月29日には札幌で
「“地球の声”デザイン小委員会・拡大委員会@北海道」と題して
セミナー形式のイベントが決定しました。
日時:2018年1月29日(月)18:00-20:30
場所:北海道大学建築都市デザイン・スタジオ MUTSUMI HALL
(北海道札幌市北区北13条西8丁目) 申込不要・入場無料。  
主要テーマは-北海道における『環境住宅』の実践事例をもとに議論する-
「建築デザインにおいて『環境を考える』とは?」
主催:日本建築学会 地球環境委員会 「地球の声」デザイン小委員会
<参加予定メンバー:塚本由晴、川島範久、能作文徳、金野千恵、
常山未央、海野玄陽>
共催:北海道大学工学研究院建築都市空間デザイン部門、JIA北海道支部
以下、主催者側から寄せられた趣意書(要旨)をお知らせします。

〜新建築住宅特集2016年6月号の『環境住宅』特集における作品群
および巻頭論考「自然と繋がるDelightfulな建築へ」には
さまざまな意見が寄せられた。「環境」系建築家の作品には
外皮性能(高断熱高気密)をないがしろにしているものが未だ多いのでは?
コストパフォーマンスを考えていないといった批評も見られました。
そのような批評を踏まえ、建築学会の「地球の声」デザイン小委員会では
公開の拡大委員会を発売1ヵ月後に建築会館で開催。そこでは性能とデザインの
敵対的図式で捉えるのではなく(性能担保は当然として)
その先の建築のあり方を問題にしなければ、といった議論が交わされた。
「環境配慮」や「サステナビリティ」は、ともすれば原理主義に陥り、
多様であるべき具体的な議論を十把一絡げに片付けてしまう危険性をはらむ。
そこで様々な地域(気候風土・文化歴史)において様々な考えのもと、
「実践」をベースにした『環境住宅』の多様な可能性を議論する機運が生まれた。
2017年11月24日には東京・建築会館で堀部安嗣氏、竹内昌義氏、藤野高志氏、
末光弘和氏に登壇いただき、第2回の公開拡大委員会を開催。
しかし東京在住の建築家だけで議論するのでは至らない何かがあるのでは?
という不安を払拭するまでには至りませんでした。
そもそも当初の『環境住宅』特集への批評も北海道から多く寄せられたもの。
日本の中で最も寒冷な北海道では、1950年代より防寒住宅研究が開始され、
1969年には日本初の断熱性能基準「北海道防寒住宅建設等促進法」が示された。
このように、北海道は「高断熱・高気密構法による温熱環境制御」に
日本で最も早い時期から取り組んできた先進的な地域。
そこで今回は「地球の声」デザイン小委員会が札幌に場所を移し、
北海道で実践されている建築家の方々を交え、東京でのこれまでの話題を
共有するとともに、北海道の多様な実践を紹介いただきます。
建築デザインのエコロジカルな転回をどのように捉えるのか、
それによって実践はどう変わっていくか?幅広い議論を期待します。〜以上。

というようなことですが、
既報のようにわたし自身から発出の部分が大きくあり、文中で触れられている
「『環境住宅』特集への批評も北海道から多く寄せられた」のは拙ブログが起点。
その経緯から今次企画には人的仲介、見学住宅アテンドなど協力しています。
従来、建築・環境分野は北総研や荒谷登先生、鎌田紀彦先生などの研究者が
北海道の寒冷気候対応の住宅建築工法を実践的に解明してきた流れがあり、
それを支える地域としての「希求」がベースにあった動きなのだと思います。
こうして開発された最重要の「要素技術」が高断熱高気密であり、
この技術はいまの寒冷地における「基本」として存在していると同時に、
今日、北海道起点のこの要素技術は本州以南地域で大きく受容され、
日本の住宅技術革新の中核と位置づけられていることは自明だと思います。
そうした状況の中、この技術開発のメインカレントとは従来やや距離感のあった
いわゆる温暖地建築デザインの立場からの「環境住宅」アクションが見られた。
これに対しわたしどもは、前述のような視点から一定の意見を持っているものです。
住宅メディアとして、この動向には関心を持っている次第。
この企画への多数のみなさんの注目、参加を期待しております。
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【アメリカボストンでも家は寒い。断熱改修最前線】

2018年01月17日 06時22分21秒 | Weblog



先日のPHIJPセミナーからのひとこま。
今回はアメリカボストンで断熱改修に取り組んできたBRIAN BUTLERさんの
事例発表がたいへん興味深く、また共感できた。
この住宅はBRIAN BUTLERさんの自宅だそうで、
かれは他の業界から新規参入で工務店を始めたのだそうです。
で、家が寒くてなんとかならないかと、自宅をモデルケースにして改修した。
2枚目の写真などみると、まったく日本の状況と似たようなもののようです。
一気に親近感がわき出したような発表でした。
ボストンは北海道に「寒冷地用住宅」を「教えてくれた」地域ですが、
その先生の地域でも断熱についてはお寒い事情ではあるようです。
日本では現行省エネ基準に適合した住宅というのは5%しかない、
とされていますが、アメリカでも事情は大差がないようです。
たしかに札幌の時計台も近年大規模に改装しましたが、
その状況を見聞きすると寒冷地住宅としてはなかなか厳しいモノがある。
北大の近くにある北米様式の迎賓館、清華亭などを訪れると酷寒ぶりに驚く。
断熱は、やはり近年になって世界同時的に急速に普及した技術なのですね。
写真では、とにかく付加断熱の充実ぶりが目を引きますが、
一番下の「気密が7倍向上した」という説明が印象的。
北米パッシブハウス基準では、断熱の重要性もさることながら、
気密性の向上に非常にセンシティブに取り組んでいるとされていた。
断熱材の厚さを極端に追求するというより、
より重要な技術目標として、建物からの熱の逃げを抑える気密が
明確な数値目標をもたせて業界的に追究していると。
一方で日本では、最近気密性能は性能基準からはずされた。

極端に言うと厚い断熱は確保していても、気密に配慮していない住宅でも
数値的には日本では基準を満たすことが可能になっている。
気密性能数値競争に走りやすい住宅ビジネス環境への反省の意味があるのか?
そうであったとしても、一定の数値化は必要なのではと思わされる。
住宅での内部気候をコントロールするためには
気密レベルがある程度確保されている必要がある。
会場では、この間の基準設定の論議の過程についても討論がありました。
気密についてはその測定の方法についても論議があるけれど、
なんにせよアメリカではいま、こうしたビルダーが既存住宅改修の
ひとつの基準指標として気密性能の数値化に取り組み、
ユーザー説得の大きな材料としてきている現実があるそうです。
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【食事カロリー管理効果抜群アプリ FoodLog】

2018年01月16日 06時07分09秒 | Weblog
きのうは年に一度の「健康診断」受診日。
いまの健康状態が全的に把握できる最大の機会であります。
それと、ここ3カ月程度しっかりと食事制限に取り組んできて
なお、年明け以降はiPhoneアプリFoodLogという食事管理も行っての
いわば用意万端で臨んだ健診であります。

結果は、驚くほどの効果でした(笑)。
個人情報なので詳細な記述は致しませんが、
健診医の診断に寄れば、まったくの「健康体」とのこと。
まぁ肥満とか、1,2の留意点はあるのですが、
ほとんどの数値で昨年を大きく上回る改善ぶりであります。
という結果でしたので、こちらも定期健診のかかりつけ医さんにも、
報告と結果書類を見せるためにハシゴで訪問。
そこで、先生とこのアプリのことで盛り上がっておりました。
先生もiPhoneユーザーであり、さっそくダウンロードして
自分でも使ってみて、良ければ患者さんに勧めたいということ。
わたし的にはこのアプリ、本当に使っていて楽しい。
それが目を見張るほどに食事管理に効果があると実証できて
まことに晴れやかな気分であります(笑)。
先日もご紹介しましたが、このアプリ、使い方はきわめて直感的。
いくつかのアプリを使い慣れていれば、すぐに使える。
というか、基本機能でかなり満足度が高い。
わたしの場合、よく単品食材を入力して、その分量を入力するケースが多い。
普段食って、わたしの場合、自分で料理するケースが多いので、
一般的なメニューにはないケースが多いので、
けっこう詳細に食事内容を「分析」できるメリットがあるのです。
ただ、そういう詳細分析がきわめて直感的操作で可能なので、
ルーティン化しても、非常に楽しく日々使っていける。
きょうの摂取カロリーが常に頭に入ってくる、目に見えるというのは、
やる気を刺激するし、たいへん科学的で納得できる。
実はこうしたアプリ、わたし自身企画したことがあって、
それを実際にやったひとがいるということが、まことにウレシイのです。
調べてみたら、東大卒で独立した人のようで、
優秀な「画像認識」についてのオーソリティのようでした。
毎日のカロリー管理に、オススメいたします。
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【古代アンデス展 人類史のミッシングリンク】

2018年01月15日 06時17分14秒 | Weblog
先日の東京出張の空き時間には「古代アンデス展」を見学。
わたし的に、表題のようなイメージが強くあります。
現生人類以外にも人類はあり、その痕跡も多数あるのですが、
やはりグレートジャーニーを成し遂げた現生人類で考えれば、
わたしたち日本列島での地域的展開とは別に「その先に行った人たち」という
はるかな遠祖の方たちのことも気にかかってくる(笑)。

人類の歴史というのは、従来、大きな断絶があって
いわゆる世界史では高々5000年前後が最古のエジプト文明からのスタート。
それは文字記録が残る「農耕文明」のことであるという限界がある。
それに対して、考古学や最新のDNA解析的に裏付けられ始めた
現世人類史というような8万年前後の歴史が、
やや分離的、断絶的なものとして存在し、最新知見が続発している。
この図のような「グレートジャーニー」に沿った解析分野ですね。
またさらにローカルエリアでの「日本史」というような領域も存在していて、
統合的にそれらを把握するような視点は、まだ不明な部分が多い。
どうも従来の「歴史学」というのは抜けがたく「文書主義」で硬直していて
それが日本史のみならず「世界史」でもその傾向が強く
いまどんどんと最新テクノロジーを駆使した「考古学」の発展によって
駆逐、ないし肩身が狭い状況になってきている。やがてこれら諸領域は
考古の進化によって統合され、巨大領域「人類史」になるのか、
いまわたしたち現代は、そのとば口に立っているようにも思います。
そういったなかでこの古代アンデス文明というのは、それらの
未解明な部分が「繋がってくる」重要な部分ではと直感できる。
アフリカを現生人類が出発して、中東地域でその方向が大きく2つに分かれ、
西に向かった西洋人と、より多数のアジア方向に向かった人類。
それを8万年前とすれば、極東アジアの弧状列島地域、日本列島に
この波動が到達したのが、2万年以上前と思われる。
そこからさらに先に向かった人たちがいて、やがて1万数千年前までに
南アメリカ大陸南端まで到達したとされる。
そして古代アンデス文明がそこで展開した。
その時期わたしたち日本列島地域では、独特の縄文文明が起こり、
長く1万年以上続いた末に、再度アジア地域からのコメ農業文明が波動し、
独特の日本列島社会が形成され、日本史が展開された。
それとほぼ平行するように、アンデスでは古代文明が花開いた。
われわれ日本人からするとたぶん縄文的DNAから類推可能な
人類痕跡がこの古代アンデス文明なのではないか。
この文明から伝わってくるDNAレベルの「感受性」が
振り返って日本の縄文的な部分と繋がってくると感じる直感がある。
その遺された人間文化に深く興味をそそられている次第です。
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【投資金額超の中古住宅価格の実現には?】

2018年01月14日 08時08分16秒 | Weblog


一昨日のPHIJPの様子について、いろいろ反響が寄せられています。
工法というか、米国での「住宅改修」4要件の「連続性」について
興味を持たれるケースが多いようです。
とくに「気密の連続」という点では多くの意見が書き込まれています。
欧米では日本とはやや違っているようにいつも感じているポイント。

なんですが、わたし的にはユーザー側目線重視なので、
海外、とくにアメリカでの中古住宅市場についての興味が旺盛であります。
よく言われるようにアメリカでは住宅は「普通」その投資金額を上回って
中古住宅として売買が成立しているマーケット。
30万ドルで購入した住宅は、ふつう30万ドル程度で再販売されていく。
ここで持ち主が投資金額以下に「損する」というケースはむしろレアとされる。
それに対して日本では「普通」30万ドル・3000万円投資して得た
住宅が十数年後には、15万ドル・1500万円以下でしか売却できない。
日本のこの「常識」は世界的には「非常識」。
このことに対して海外の方は驚き、日本の不動産購入をためらうという。
わたし的にはこの現実をなんとかしたいというのが、
今後の大きなテーマになってくると思っています。
日本の中古住宅市場が「投資するに足る」ものに変わっていくことは、
中長期的に日本が経済的に繁栄し続けていくためには欠かせない条件。
海外からの「健全な不動産投資」があれば、日本の地盤沈下は避けられる。
不動産以外の、政治的安定性とか生活文化総体としての魅力は
世界の中でも最高位に位置するのが日本だと思います。
空前の海外からの観光需要は、飛行機移動の世界的な低価格化と
長期にわたる円安傾向の大きなメリットだと思います。
このふたつの要因は、日本の少子高齢化社会にとって
欠かせない「突破要因」を作っていく可能性が高い。
加えて日本社会の中で、不動産のこの現状が改革されれば、
反映する東アジアでも宝石のような位置を占め続けることが可能。
歴史伝統要因では長期にわたっての平和的継続性があったことで、
古くからの伝統文化が数千年単位で保持されているのが日本の最大資産。
奈良の大仏に蝟集している中国のみなさんは、
多くの戦乱はあっても千年を超えてこういう宗教建築が永続していることが
奇跡的だと思っているのだろうと思います。
かの国は、繰り返し王朝が「全否定する革命」を繰り返してきたのでしょう。

ただ、不動産市場だけは日本はいびつになっている。
たぶん高度経済成長期に、土地価格が以上に膨張したことで
その上に建てられる建築への価値感に
民族ごとすっかり鈍感になってしまったのかも知れない。
日本社会で住宅投資することがそのまま資産形成になり、
30万ドルは換金可能な「資産」として3000万円相当であれば、
そこに大きな「安心感」が醸成され,善循環が生まれるだろうと思います。
そのために今回のアメリカからの情報をしっかり読み取っていきたいと思います。
写真下は、プレゼンで見せられたアメリカでの既存住宅への
「性能の数値ポイント化」のセールス的「可視化」データ。
アメリカでの現行住宅性能基準に対する
ある集合住宅地での各戸別の「エネルギー消費」割合数値のようでした。
性能要件を数値化して直感的に把握しやすくしている。
こういう数値把握をユーザーに示し、さらにデザイン要素で需要を喚起していく、
そういった不動産市場を、どうやったら日本で作れるか、
問題はそういうことではないかと思う次第です。
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【身近な気候多様性 パラダイス関東&北海道】

2018年01月13日 06時54分35秒 | Weblog


もう何回往復しているのか、と思いますが、
やはり北海道の「となり」は東京なのだと強く感じます。
飛行機という移動手段がコスト的にも非常に身近になって、
北海道の人間が訪問する先としては
東京がいちばん行きやすくなって久しいのだと思う。
で、冬の時期に移動する度に、ため息の出るような相違を感じる。
関東の冬はやはり適度な寒さがあって、基本的に好天が続く。
写真のようなダイナミックな関東平野の色彩感が
五感に迫っても来る。
この国の発展を考えて、歴史が徐々に関東地方に首都を動かしてきたのは
やはりこの広大な関東平野の四季感覚が惹き付けたのではないか。

で、きのう夜9時頃に札幌に帰還しました。
お出迎えは自宅周辺の積雪、10数センチでしょうか。
ここ数日は福井県などの積雪がまさに災害的な猛威だそうで、
東京での会合でも福井県から来られた方から、
「北極から来ました」と自虐されてしまった。
まぁ、札幌はそれほどでもなくて幸いなのですが、
それでも夫婦で小1時間ほど自宅周辺の除雪作業であります。
まぁ元気なうちは一種の健康維持運動でもありますから、
そう苦にはなりませんが、たっぷり汗ばむほどの作業量ではある。
都内の移動から飛行場への移動でしっかり運動したあと、
最後のシメで除雪運動が待っていた(泣)。
しかし、それを果たして迎える除雪されたわが家周辺の光景も
まことに清々しい独特のいごこちを感じさせてくれます。

こういった季節での気持ちのゆとりをもたらせてくれるのは
やはりなんといっても、冬の北海道の住宅のいごこち品質のよさ。
断熱気密が、多様な気候のなかで暮らせる楽しさを
たのしいコントラストで浮き上がらせてくれる。
わたしたちは、昔の人たちがまったく想像もできないような「快適」を
ごく普遍的に実現できているのだと実感しますね。
さてひと休みして、本日も重要な打合せであります。
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【多様な気候対応パッシブハウス PHIJPセミナー】

2018年01月12日 06時34分05秒 | Weblog


さてきのうは東京出張にてアメリカパッシブハウスの事例紹介、
とくに断熱改修を中心とした紹介とアメリカパッシブハウス研究所の
認定基準についてのセミナーを取材してまいりました。
同セミナーには、ご案内していた東京大学・前真之准教授も参加され、
アメリカボストンで活躍されている建築家・岡田早代さん、
施工のビルダーを経営されているBRIAN BUTLERさん、
日本のPHIJP理事である京都工芸繊維大学の芝池先生などの講演、
その後のパネルディスカッションなどで意見交換を行いました。
意見交換はさらに会食機会を捉えて続行し、
活発な日米交流が展開されていた次第です。
岡田さんはもちろん、BRIAN BUTLERさんも日本語が堪能で、
技術的な細部では英語単語なども交えながら、意見交換が有意義に実現。
実務の住宅改修に関わる報告では、北海道での事例とごく近似した
手法、原則的同一性が随所に確認できて、経験知を共有できました。
また、かれらが活躍しているボストンは開拓期以来、
北海道ときわめて縁が深く、彼の地の建築関係者が「開拓技師」として、
多数北海道に来てくれていた故事があります。
アメリカ北東部と北海道の気候的類縁性が高いことを表しています。
そういうことなので、わたし的には見聞きするすべてが共感できた。
会場での前真之准教授も交えた意見交換では
彼の地での「気密重視」の手法について、気密を捨象した日本の基準との
対比について討論があり興味深いものがあった。
北海道では国の基準がどうであれ、基本通り気密が最重視され
普遍的な構法技術原則になっており、まったくアメリカに同意するところ。
アメリカ側の講演では、上に掲示の下図の各層の「連続性」が繰り返し
強調されていました。北海道の気密層の連続概念とも共通する。

今後、詳細な取材まとめを行っていきたいと考えていますが、
とくに芝池先生の講演で指摘の世界の気候傾向分析、やはり興味深い。
大洋と大陸の位置関係によって、大きく地球レベルで気候が変位するという。
大西洋と太平洋、それに対して陸地がどのように位置取りするかで
いわば「蒸暑」と「乾燥」に大きく気候区分されるとされている。
ヨーロッパ北米西岸は基本的に大西洋に対して東側に位置しているのに対し
北米東岸地域は西側に位置している。
同様に極東人口密集地域である日中朝3民族地域は太平洋に対して西側。
この位置取りと地球の自転方向が大きな変位を生むとされていた。
このことは最近話題の古代アンデスの気候区分でも顕著。
太平洋に面した西側は砂漠気候なのにアンデス高地を挟んで反対側の
大西洋岸方面地域では湿潤なアマゾン地域が広大に広がっている。
こういった巨視的な判断からも、北米東岸地域とアジア極東地域には
きわめて類縁性の高い共通基盤があると思われますね。
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